同期の御曹司様は浮気がお嫌い
6
「もういいって! これ以上は分不相応だから」
「そうかな? 波瑠には相応しいよ。どれも似合って可愛い」
真顔でそう言う優磨くんに言葉が出ない。
「でも……」
目の前に優磨くんが立つといつも以上に顔が近い気がする。
「ヒールが高いと波瑠の顔も近づくね」
恥ずかしくて微笑む優磨くんから顔を逸らしてしまう。
「波瑠、こっち向いて。とっても可愛いよ」
「お世辞はいいって……」
「お世辞じゃないよ。似合ってる。いつも可愛いけど特別可愛い」
何度も可愛いと言われたら困ってしまう。そんなこと言われたことがないのに。
「あの……なれたかな?」
「ん?」
「今の格好なら優磨くんに相応しくなれたかな?」
目を丸くした優磨くんは笑って私を抱きしめる。
「相応しいなんてもんじゃないよ。俺にはもったいないくらい可愛い……」
「ありがと……」
消え入りそうな声でも優磨くんにはしっかり聞こえたようで、頬にキスをされる。
「今すぐしたい……」
「え?」
何を、と聞き返そうとすると優磨くんの手が背中から腰、そしてその下へと滑る。
「だめっ……だめだって!」
慌てて優磨くんの肩を押す。
「もう帰ろう……」
「帰ったら続きを、ってこと?」
「そうじゃなくて!」
顔を真っ赤にするとキスで口を塞がれる。
「んー……」
声を出しても舌を絡ませられて言葉にならない。ぎゅうっと肩を押し返してやっと唇が離れる。
「帰ろうよ……」
もう一度言うとやっと車に乗ってくれる。
マンションに戻るころには空は暗くなりかけている。
紙袋を二人で両手いっぱいに持ち、書斎の向かいの部屋に置くと室内が狭く感じるほどになる。
「さて、ご飯にしようか。何食べる? 冷蔵庫見て優磨くんが食べたい……」
言いかけて体が優磨くんの腕に包まれる。驚く暇もなく体を持ち上げられた。
「優磨くん!?」
膝の裏と背中を抱えられてお姫様抱っこされている。
「ちょっと!」
見上げた優磨くんは微笑んでいる。
「続き、するんでしょ?」
「違うって!」
寝室まで運ばれベッドに優しく下ろされる。優磨くんが私の体を跨いで見下ろす。
「待って……ご飯作んなきゃ」
「後でいいよ」
ブラウスのボタンが外されていく。私が手で払おうとすると優磨くんのあいた手が私の両手をベッドに拘束する。
買ったばかりの服の前を開かれると優磨くんの唇が首から胸にかけて滑るようにキスをする。
「ゆうま……やっ……」
抵抗するように体をよじる。すると優磨くんは唇を離して、意地悪な顔をして私を見下ろす。
「嫌? じゃあやめる?」
耳元でそう言いながら耳たぶを軽くかじられる。
「んっ……」
恥ずかしい。優磨くんとこんなことをしているなんて。
嫌なはずなのに、もう「嫌だ」とはっきり言葉にできない。
「じゃあここは?」
答えない私の耳の下に優しいキスをする。くすぐったくて頭を左右に振る。
「そう……じゃあこれは?」
優磨くんの手が胸に触れ優しく包まれる。
「やっ……」
「どこがいい? 波瑠のどこなら触れていいの?」
「ぜんぶ……」
「全部いいの?」
優磨くんの手がスカートの下から太ももに触れた。
「ちがっ……」
目が潤んでくる。
私を見つめる優磨くんの表情が色っぽくて、全部ダメだと言えなくなる。
「じゃあどこなら触れて舐めてもいいの? 波瑠が自分で言って」
「ひど……」
酷いと言う前にキスをされる。答えさせない気なのかと思うほどに唇を荒々しく貪られる。息をするのもやっとだ。
「答えないなら、俺の好きにするけど」
「だめ……」
「じゃあもうやめようか」
「え?」
「このまま波瑠から離れる。それでもいいの?」
僅かに唇が離れても優磨くんが喋るたびに動く唇が私の唇に軽く触れる。それぐらいの距離を保ったままお互い見つめ合う。
「今日の優磨くん……いじわる……」
「波瑠が俺を好きって言うから悪いんだよ」
理不尽すぎる言葉に文句を言う前に再び唇が重なる。
「このままやめてもいいの?」
そう言いながら私の体中を這う手は動くのをやめる気などないようだ。今更どうにもならないほど私の体は熱くなってしまった。
「やめないで……」
優磨くんに離れられたら、持て余したこの熱はどうすればいいのだ。
ふっ、と笑った優磨くんは「もう止まらないけどいい?」と問う。だから私は目を潤ませながら「うん」と返事をした。
『止まらない』と言う言葉とは反対に、優磨くんの動きは何もかもが優しくて、私は大事にされているんだと全身で感じられた。
シャワーを浴びるころには外は真っ暗になっていた。
先に浴びて夕食の準備をしていた私は髪を濡らして出てきた優磨くんにドキリとする。スウェットだけ穿いて上半身裸で出てきた彼の体は薄暗い部屋では気づかなかったけれど、程よく筋肉がついて引き締まっている。私を軽々と抱いて移動していたし、何かで鍛えているのかもしれない。
この体に抱かれたのかと思うと恥ずかしくなって優磨くんから目を逸らす。そんな彼は私に近づくと後ろから首にキスをする。
「ちょっ……」
耳元で「甘い声を出す波瑠も可愛かったよ」と囁くから照れて何も言えなくなる。優磨くんがこんなに私に触れて可愛いと囁いてくれるなんて、同期としての関係のままなら想像できなかった。
遅い夕食を食べると片づけている間に優磨くんはソファーに寄りかかりウトウトしている。
「優磨くん? もう寝たら?」
「うーん……」
口を軽く開けてまた寝ようとする優磨くんの顔を見つめる。
最近疲れてそうだったし、今日も休みなのに出かけて申し訳なかったな。優磨くんってホントすごく綺麗な顔してる……まつ毛長い。
じっくり観察していると「何見てるの?」と優磨くんの目が開く。
「あ、いや……疲れてそうだなと思って」
「まあね、運動もしたし」
ニヤつくから「もう!」と肩を軽く叩く。
「あのね、優磨くん今夜からベッドで寝て。その方がよく寝られるよ」
「波瑠の隣で毎晩寝てもいいってこと?」
はっと口に手を当てる。そう言えばそうだ。優磨くんがベッドで寝るということは私の隣に寝るということ。
「私は書斎に移るから……」
「もう恋人なんだしいいでしょ」
そう言って優磨くんは起き上がる。
「俺は先にベッドに行くね。波瑠もちゃんと俺の横で寝るんだよ」
微笑むと私にキスをして寝室に入ってしまう。
片づけを終えて寝室に行くと優磨くんはまだ起きていて、私を手招きする。
「波瑠、来て」
ベッドに上り優磨くんの腕に抱かれるように横になる。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
私を抱いたまま優磨くんはすぐに寝てしまった。やっぱり疲れているんだ。
優磨くんの寝息を聞きながら私もゆっくり目を閉じた。
「そうかな? 波瑠には相応しいよ。どれも似合って可愛い」
真顔でそう言う優磨くんに言葉が出ない。
「でも……」
目の前に優磨くんが立つといつも以上に顔が近い気がする。
「ヒールが高いと波瑠の顔も近づくね」
恥ずかしくて微笑む優磨くんから顔を逸らしてしまう。
「波瑠、こっち向いて。とっても可愛いよ」
「お世辞はいいって……」
「お世辞じゃないよ。似合ってる。いつも可愛いけど特別可愛い」
何度も可愛いと言われたら困ってしまう。そんなこと言われたことがないのに。
「あの……なれたかな?」
「ん?」
「今の格好なら優磨くんに相応しくなれたかな?」
目を丸くした優磨くんは笑って私を抱きしめる。
「相応しいなんてもんじゃないよ。俺にはもったいないくらい可愛い……」
「ありがと……」
消え入りそうな声でも優磨くんにはしっかり聞こえたようで、頬にキスをされる。
「今すぐしたい……」
「え?」
何を、と聞き返そうとすると優磨くんの手が背中から腰、そしてその下へと滑る。
「だめっ……だめだって!」
慌てて優磨くんの肩を押す。
「もう帰ろう……」
「帰ったら続きを、ってこと?」
「そうじゃなくて!」
顔を真っ赤にするとキスで口を塞がれる。
「んー……」
声を出しても舌を絡ませられて言葉にならない。ぎゅうっと肩を押し返してやっと唇が離れる。
「帰ろうよ……」
もう一度言うとやっと車に乗ってくれる。
マンションに戻るころには空は暗くなりかけている。
紙袋を二人で両手いっぱいに持ち、書斎の向かいの部屋に置くと室内が狭く感じるほどになる。
「さて、ご飯にしようか。何食べる? 冷蔵庫見て優磨くんが食べたい……」
言いかけて体が優磨くんの腕に包まれる。驚く暇もなく体を持ち上げられた。
「優磨くん!?」
膝の裏と背中を抱えられてお姫様抱っこされている。
「ちょっと!」
見上げた優磨くんは微笑んでいる。
「続き、するんでしょ?」
「違うって!」
寝室まで運ばれベッドに優しく下ろされる。優磨くんが私の体を跨いで見下ろす。
「待って……ご飯作んなきゃ」
「後でいいよ」
ブラウスのボタンが外されていく。私が手で払おうとすると優磨くんのあいた手が私の両手をベッドに拘束する。
買ったばかりの服の前を開かれると優磨くんの唇が首から胸にかけて滑るようにキスをする。
「ゆうま……やっ……」
抵抗するように体をよじる。すると優磨くんは唇を離して、意地悪な顔をして私を見下ろす。
「嫌? じゃあやめる?」
耳元でそう言いながら耳たぶを軽くかじられる。
「んっ……」
恥ずかしい。優磨くんとこんなことをしているなんて。
嫌なはずなのに、もう「嫌だ」とはっきり言葉にできない。
「じゃあここは?」
答えない私の耳の下に優しいキスをする。くすぐったくて頭を左右に振る。
「そう……じゃあこれは?」
優磨くんの手が胸に触れ優しく包まれる。
「やっ……」
「どこがいい? 波瑠のどこなら触れていいの?」
「ぜんぶ……」
「全部いいの?」
優磨くんの手がスカートの下から太ももに触れた。
「ちがっ……」
目が潤んでくる。
私を見つめる優磨くんの表情が色っぽくて、全部ダメだと言えなくなる。
「じゃあどこなら触れて舐めてもいいの? 波瑠が自分で言って」
「ひど……」
酷いと言う前にキスをされる。答えさせない気なのかと思うほどに唇を荒々しく貪られる。息をするのもやっとだ。
「答えないなら、俺の好きにするけど」
「だめ……」
「じゃあもうやめようか」
「え?」
「このまま波瑠から離れる。それでもいいの?」
僅かに唇が離れても優磨くんが喋るたびに動く唇が私の唇に軽く触れる。それぐらいの距離を保ったままお互い見つめ合う。
「今日の優磨くん……いじわる……」
「波瑠が俺を好きって言うから悪いんだよ」
理不尽すぎる言葉に文句を言う前に再び唇が重なる。
「このままやめてもいいの?」
そう言いながら私の体中を這う手は動くのをやめる気などないようだ。今更どうにもならないほど私の体は熱くなってしまった。
「やめないで……」
優磨くんに離れられたら、持て余したこの熱はどうすればいいのだ。
ふっ、と笑った優磨くんは「もう止まらないけどいい?」と問う。だから私は目を潤ませながら「うん」と返事をした。
『止まらない』と言う言葉とは反対に、優磨くんの動きは何もかもが優しくて、私は大事にされているんだと全身で感じられた。
シャワーを浴びるころには外は真っ暗になっていた。
先に浴びて夕食の準備をしていた私は髪を濡らして出てきた優磨くんにドキリとする。スウェットだけ穿いて上半身裸で出てきた彼の体は薄暗い部屋では気づかなかったけれど、程よく筋肉がついて引き締まっている。私を軽々と抱いて移動していたし、何かで鍛えているのかもしれない。
この体に抱かれたのかと思うと恥ずかしくなって優磨くんから目を逸らす。そんな彼は私に近づくと後ろから首にキスをする。
「ちょっ……」
耳元で「甘い声を出す波瑠も可愛かったよ」と囁くから照れて何も言えなくなる。優磨くんがこんなに私に触れて可愛いと囁いてくれるなんて、同期としての関係のままなら想像できなかった。
遅い夕食を食べると片づけている間に優磨くんはソファーに寄りかかりウトウトしている。
「優磨くん? もう寝たら?」
「うーん……」
口を軽く開けてまた寝ようとする優磨くんの顔を見つめる。
最近疲れてそうだったし、今日も休みなのに出かけて申し訳なかったな。優磨くんってホントすごく綺麗な顔してる……まつ毛長い。
じっくり観察していると「何見てるの?」と優磨くんの目が開く。
「あ、いや……疲れてそうだなと思って」
「まあね、運動もしたし」
ニヤつくから「もう!」と肩を軽く叩く。
「あのね、優磨くん今夜からベッドで寝て。その方がよく寝られるよ」
「波瑠の隣で毎晩寝てもいいってこと?」
はっと口に手を当てる。そう言えばそうだ。優磨くんがベッドで寝るということは私の隣に寝るということ。
「私は書斎に移るから……」
「もう恋人なんだしいいでしょ」
そう言って優磨くんは起き上がる。
「俺は先にベッドに行くね。波瑠もちゃんと俺の横で寝るんだよ」
微笑むと私にキスをして寝室に入ってしまう。
片づけを終えて寝室に行くと優磨くんはまだ起きていて、私を手招きする。
「波瑠、来て」
ベッドに上り優磨くんの腕に抱かれるように横になる。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
私を抱いたまま優磨くんはすぐに寝てしまった。やっぱり疲れているんだ。
優磨くんの寝息を聞きながら私もゆっくり目を閉じた。
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