魔王の子供に転生した女子高生、悪魔が怖くて魔界から追放される。しかし天使様に見初められ人間界で無双する。
第204話 神守聖王国オリュンポス パート13
二層に戻ると、至る所にハデスがいるのであった。
「ハデスの大群・・・気持ち悪いわ」
マーニが呟く。
『爆炎黒陽斬』
ソールは、目障りなハデスの偽物を、燃え盛る炎で焼き尽くす。
『雷鳴』
マーニも、鬱陶しいハデスの偽物に、落雷を落として、焼き尽くすのであった。
「これで、ハデスの偽物もいなくなったわね」
「そうみたいね」
二層にいたハデスの偽物は、全て焼き尽くされたのであった。
★アトランティス地下遺跡の近くの建物内
「ハデス、中の状況はどうなっているだ」
ネプチューン侯爵がハデスに問う。
「アレスが裏切り『金玉』と共に行動をしていました。そして、二層のゾンビ達は全て倒されていました。今は、ユーピテル様とアレスが戦っています」
「そうか、ユーピテル様に任せておけば、問題はないだろう。しかし、『雲朕』は姿を消して、『珍宝』の行方もわからなくなった。当初の予定とは、だいぶズレてきているな」
「はい。『珍宝』がキャロトの村に到着したとの連絡はありましたが、その後の行方がわかっていません。このままでは、雷霆が手に入りません」
「そうだな。『珍宝』もユーピテル様の餌にする予定だったが、どこへ消えたのだ」
「何か不測の事態でも起きたのでしょうか?」
「あのバカ王子のことだ、雷霆を盗んで逃げたのであろう」
「しかし、デレク国王にそむいてまで雷霆を盗むでしょうか」
「無能のデレクの子供だ。十分に考えられるだろう。あとはアポロから神剣が届くのを待つだけか」
「はい。雷霆は、もう時期届くと思います。アレスは裏切りましたが、ユーピテル様がいれば問題はないでしょう」
「お前の能力で、もっとユーピテル様を自由に扱えないのか?」
「申し訳ありません。神の子の力が強いほど、自我が残ってしまうみたいなので、アレスとユーピテル様を自由に操作できることはできません。しかし、私には危害を加えることはできません」
「お前の命だけは安泰と言うことだな」
「はい・・・そうなります。でも復活させてあげたので、その恩義に背くとは思えません」
「何を言っているのだ。現にアレスは裏切ったのではないか!お前の力でアレスを死体に戻すことはできないのか?」
「魂を奪い返せば死体に戻ります。しかし、アレスは王国騎士団の副団長でした。簡単に魂を奪うことはできません」
ハデスの死者を操る能力は、最強だと思っていたネプチューン伯爵の考えは甘かったのであった。アレス、ユーピテルを自在に操って、この国を乗っ取ろうと計画していたが、思いの外2人に自我が残ってしまったので、自由には扱えないのであった。しかし、2人はネプチューン侯爵との協力は約束してくれた。でも、アレスはすぐに裏切り、ユーピテルもいつ裏切るかわからない。ネプチューンの計画は少しずつ崩れていたのであった。
「アレスの処理は、ユーピテル様にお任せしよう。まずは、『金玉』をどうするかだな?アレスに『金玉』を倒してもらう予定だったが、アレスの裏切りでそれは不可能になった。ユーピテル様は今はアレスの相手をされている。ハデス、お前なら『金玉』を倒すことはできるか」
「無理です。私は戦闘タイプではないのです。私は隠れてゾンビを操って攻撃を仕掛ける遠隔操作タイプです」
「わかっておる。冗談で聞いただけだ。とりあえず屋敷に戻って、アポロから神剣が届くのを待つとしよう」
ネプチューンとハデスは逃げるように屋敷に戻るのであった。
★アトランティスの地下遺跡に戻ります。
「本物のハデスは、どこにも見当たらないわ」
ソールが言った。
「それなら、アレスの恋の行方が気になるから、三層に戻りましょうよ」
マーニがつぶやいた。
「ハデスは逃げたみたいだし、これ以上探索しても無駄みたいだわ。急いで、アレスの援護をしましょう」
「愛のために戦う戦士に、手出しは無用かもね!」
マーニがキッパリと言った。
ソールは無言で三層に引き返したのであった。
「しぶとい奴らだな」
ユーピテルがボロボロの剣を振りかざす。剣先から斬撃が放たれる。
「ジュノチンは俺が守る」
アレスがジュノの前に立ちはだかり、斬撃を体で受け止める。
神技で強化されたアレスの体は斬撃を跳ね返す。
「まだそんな力が残っているのだな。それならこれは受け止めれるかな」
『炎天下』
ユーピテルは神の子の力を発動した。
アレスの頭上に大きな火の玉が現れて、三層を氷の大地から、灼熱地獄に変化させた。
ジュノとアレスは、神技を発動して暑さを凌ぐ。
しかし、アレスの頭上の火の玉はどんどん大きくなっていく。
『超爆発』
ユーピテルが『超爆発』と言った途端、アレスの頭上の火の玉が破裂した。
「ジュノチン」
アレスはジュノに覆い被さるようにしてジュノを守る。
『ゼログラビティー』
火の玉が破裂して、アレスに襲いかかる前に、宙で炎が止まる。
「2人の邪魔はさせないわよ。さぁ、アレス、ジュノを強くだき締めるのよ。そして、再度告白するのよ。危機的状況な時ほど、愛は盛り上がるのよ」
マーニは、我ながらいい演出をしたと思って、嬉しそうにしているのであった。
『爆炎黒陽斬』
ソールは剣を振りかざして、燃え盛る黒炎をユーピテルに放つ。
『黒風白雨』
凄まじい風と槍のような雨が、黒炎を消滅させる。
「邪魔をするな」
ユーピテルが怒鳴る。
「あなたの方こそ、邪魔をしないでくれるかしら」
マーニが激しく怒鳴りつける。
「俺がどんな邪魔をしたのだ」
ユーピテルはマーニに問う。
「アレスとジュノの恋よ」
「・・・」
ユーピテルは話を理解できていない。
「アレスはジュノに恋をしているのよ!見てわからないの。なんて鈍感な人なのかしら」
マーニはおかんむりである。
「すまない・・・そういう事には疎い方なので」
ユーピテルは謝罪した。
「あなたはアレスを追い込んで、いい演出をしたわ。でも、ちゃんとアレスにジュノに気持ちを伝える場面を作らないといけないと思うのよ。それに、ジュノの方からアレスに何か告白するかもしれないわ。それなのにあなたは、追い討ちをかけるように攻めるなんて、信じられないわ」
マーニはユーピテルに説教をするのであった。
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