魔王の子供に転生した女子高生、悪魔が怖くて魔界から追放される。しかし天使様に見初められ人間界で無双する。

にんじん太郎

第202話 神守聖王国オリュンポス パート11


地下三回の三層に降りると大きな扉が待ち受けていた。そして扉の前には2体のゾンビがいた。


「あれは、ドウェイン教皇にヘクター司祭ではないか・・・」


ジュノがつぶやいた。


「ジュノチン、よく気づいたね。ドウェインとヘクターはネプチューンの力を借りて、ブラカリへの再戦を企てていたのよ。でも、ネプチューンは神守教会を追い出されたことを根に持っていたから、ネープチューンの手によって、あっけなく殺されたみたいよ」


アレスは、ジュノに可愛く説明をした。


「ジュノチン・・・いい響きだわ」


マーニが嬉しそうに言う。

2人のゾンビが、アレスとジュノが仲良く手を繋いでるのを見て、ニタニタ笑った。


「俺を笑うな」


ジュノが、剣を抜いてゾンビを叩き切る。ジュノは、無理矢理アレスに手を握られてイライラしていたので、ゾンビに八つ当たりしたのであった。

しかし、ゾンビはいくら切り裂いても死ぬことはなく、切り裂かれた体は、じわじわと繋がっていくのであった。


「やはり、いくら切っても無駄なのか・・・」

「ジュノチン、何をイライラしているの。ゾンビを倒したいのなら、ビッグゾンビスライムを成仏させた時のように『乙女の祈り』を使うといいのよ」


アレスがアドバイスをするが、ジュノは、なぜビッグゾンビスライムが倒されたのか知らないのである。


「『乙女の祈り』とはなんのことなのだ?」


ジュノは呟く。


ソールがジュノの元にいって説明した。


「俺の『魅了』にそんな使い方があったのか!」

「そうよ。あなたに『魅了』にはゾンビを浄化させる力があるのよ。この力があれば、ユーピテルを成仏させることができるかもしれないわ」

「ソール、それは難しいかもしれないぞ。雑魚のゾンビ達と違って、俺やユーピテル様は神の子だ。ジュノチンの『乙女の祈り』で魂を浄化することは容易ではないはずだ」

「そうかもしれないわ。でもある程度ダメージを与えることができれば、浄化させることも可能かもしれないわ」

「そうかもしれない・・・しかし、そのある程度ダメージを与えることが難しいと言っているのだ」

「そこまでユーピテルは強いのね」

「そうだ。お前達はこの国の最上位のC1ランクの冒険者だ。でもユーピテル様はAランク冒険者だ。Aランクに到達した者は、ユーピテル様しかいないのだ」

「そうだったわね。この扉の先にはそんな化け物がいてるのね」

「ソール、怖くなったか?今ならまだ引き返せるぜ」

「ここで引き下がるわけにはいかないわ」


ソールとアレスが会話をしている間に、ジュノは『乙女の祈り』を使ってドウェイン教皇とヘクター司祭を浄化させたのであった。


「俺にこんな力があったなんて驚きだ」


ジュノは『魅了』に浄化の力があること驚いていたのであった。


「ジュノチン、浄化させたのね」

「ああ」


「もし、私が暴走したら、ジュノチンの『乙女の祈り』で私を浄化してね」


アレスは、笑顔で言った。


「そうだな・・・」


ジュノは静かに答えた。


「素敵・・・」


マーニは2人の話を聞いてウットリとしていた。


「中へ入りましょう」


ソールは静かに言った。

アレスが大きな扉を開いた。

その瞬間、アレスの体真っ二つに切り裂かれた。


「誰だ、勝手に俺の墓跡に入ろうとするのは!」


扉の奥から凄まじい斬撃が飛んできて、アレスの体を真っ二つに切り裂いたのであった。

そして扉の奥には、金色の髪の美しい青年が立っていた。


「アレス!!!」


ジュノが叫ぶ。


「ジュノ、アレスはゾンビよ。切り裂かれたくらいでは死なないわ」


ソールが言った。


「そうだったな」


ジュノは少し取り乱していた。


「それよりも、自分の心配をしなさい。あの斬撃をくらったら命はないわ」

「そうだな」


『ライトニングストライク』


マーニは扉の奥の男に向かって迸る雷を落とした。


「神技『反射』」


マーニが繰り出した雷は男を反射して、マーニの方へ向かってきた。

マーニは風魔法を使って、宙に浮いて雷をかわした。


「あんな神技初めてみたぞ」


ジュノが呟く。


「あの男がユーピテルね」


ソールが言う。


「そうだぜ。あのお方がユーピテル様だ」


真っ二つにされたアレスが答えた。


「アレス、何しにきたのだ」


ユーピテルが静かに言った。


「ユーピテル様、私はあなた様を倒しにきたのです」

「俺を倒すだと・・・それは不可能だとお前が1番知っているだろう」

「もちろんです。しかし、私には守るべき人ができたのです。その人のためなら、不可能だとわかっていても、戦わないといけないのです。それが、私の選んだ道なのです」

「アレス、俺が力を完全に取り戻したら、この世界は俺のモノになるだろう。俺の手下として生きていけば、欲しいものはなんでも手に入るぞ」

「私が欲しいものは、ユーピテル様でも用意することはできないのです。私が欲しいものはジュノの笑顔です。ジュノの笑顔を曇らせるユーピテル様を、私は倒すことに決めたのです」

「アレス、力があれば欲しいものは、なんでも手に入るぞ。そのジュノの笑顔とやらも手に入ることができるはずだ。それでも俺と戦うのか?」

「ユーピテル様は間違っています。力尽くで得たものには、何の価値もありません。私は愛でジュノの笑顔を勝ち取りたいのです」

「アレス、お前とは仲良くやっていけると思っていたが、間違いだったみたいだな・・・ならお前の愛の力か、俺の恐怖の力かどちらが正しいか勝負してやろう」

「望むところです。愛は必ず勝つことを証明してみましょう」


「がんばってアレス!」


マーニは力強くアレスを応援しているのであった。

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