魔王の子供に転生した女子高生、悪魔が怖くて魔界から追放される。しかし天使様に見初められ人間界で無双する。

にんじん太郎

第196話 神守聖王国オリュンポス パート5


「私はこれで失礼します」


サクラが、ジュピターのテーブルから離れる。


「もう行くのか」


ジュピターは寂しそうに言う。


「何か大事なお話しをしているみたいなので、邪魔したら悪いと思ったのです」

「気にするな。お前のアドバイスは的確だった。なので、遠慮せずにゆっくりとしたらいいぞ」

「はい。わかりました。それではもう少しジュピター様のお側に仕えさせていただきます」


サクラここで席を外すと怪しまれると思ったので、もう少しジュピターの相手をすることにした。


「ブラカリの町へは、ここからだとどれくらいかかるのだ」


ジュピターはヘルメスに問う。


「3日もあれば問題ないと思います」

「そうか、それなら明日出発しよう。『珍宝』の力を持ってすれば、ブラカリの町など容易く攻略できるな」

「そうでございます。『金玉』の動向は気になりますが、今は王都に滞在していると思います。『金玉』が、ブラカリの町の救助に来たら面倒になりますので、バレないように、王都の付近を通らない方がよろしいと思います」

「確かにな。そうなるとディービルの森を抜けることになるのか・・・あの森には、太陽騎士団の団長ケレスをフルボッコにした獰猛な魔獣がいるらしいな」


ケレスをフルボッコにしたのは私である。なのでそんな魔獣は存在しないのである。


「そうなります。しかしジュピター様なら簡単に倒すことができましょう」

「そうだな。ディービルの森を抜けてブラカリの町を目指すことにしよう」

「ジュピター様、無理をなさらないでくださいね」


とサクラが言った。サクラは少し違和感を感じていた。ヘルメスはジュピターをわざと危険なところへ連れて行こうとしていると感じたのであった。


「俺はこの国最強の男だ!どんな魔獣が現れても俺が全て退治してやるぜ。ガハハハハ」


ジュピターは大笑いするのであった。


「ヘルメス、なぜ、ジュピター王子様を危険なところに連れていくのだ」


ヴィスタは小声でヘルメスに問う。


「兄上は何も心配することはないのです。全て私にお任せください」



こうして、ジュピターはネプチューン侯爵領に行くのをやめて、ブラカリの町へ向かうことにしたのであった。

その後、一緒に泊まろうと宿屋へしつこく誘うジュピターを、なんとか説得して、サクラはソールの元へ戻ってきたのであった。


「とりあえず、宿屋へ戻りましょう。宿屋で全て話しますわ」


ソール達は、宿屋に戻ることにした。

宿屋では、のんびりとマーニがくつろいでいる。


「ジュピターから得られた情報を説明します」


サクラはソール達に、先程の話しを説明したのであった。


「神剣がネープチューン侯爵様に、渡らなくなったのはよかったわ。それに『珍宝』レベルなら、ブラカリの町の獣人達には勝てるとは思えないわ」


とソールが答えた。


「確かにそうね。でもヘルメスの話しを聞いていると、ジュピター王子をわざとディービルの森に誘い込んでる感じがしたのよ」

「ヘルメスが、ジュピター王子を裏切るかしら?」

「ありえるわ。『珍宝』のメンバーは、ジュピター王子のわがままな態度に耐えきれなくて。コロコロとメンバーは変更をしているわ。ヴィスタ、ヘルメス兄弟がメンバーになったのも去年のことよ。信頼で結ばれているとは到底思えないわ」

「『珍宝』を裏切ることは国王を裏切ることと同じことになるわ。そんな危険を冒してまで、誰のために動いているのかしら」

「ネテア王妃様の指示ではないわ。それなら残るのは・・・」

「イージス伯爵様ね」

「そうなるわね」

「あくまで推測の段階だけど、警戒はしておかないとね」

「そうね。急いで伝令を使ってネテア王妃様に知らせるわ」

「私達は、『珍宝』に見つからないように、朝早くにこの村を出た方が良いわね」

「そうね。ジュピター王子の嫌われぶりから見ると、誰もジュピター王子に私達のことを話すことはなさそうだからね」


ソール達は、その日は早めに床についたのであった。



「ヘルメス、何を考えているのだ。これではデレク王様になんて伝えればいいのだ」


ヴィスタがヘルメスに言い寄る。


「兄上はジュピターのことをどう思っているのですか」

「デレク王様の指示が絶対だ。ジュピター王子様のことはどうでもいい」

「兄上、何も言わないで私に全て任せください。この国は今、大きく動き出しているのです。誰に協力するかで、今後の全てが変わります。俺は必ず勝つ方に協力すると決めています」

「それはデレク王様が、負けると言うことなのか」

「そうです。このままでは確実に負けます」



次の日、ソール達は朝早くに村を出た。そして2日後ガッリーナの町に着いたのであった。


「マーニ、運転お疲れ様」


元気よくサクラが言った。


「・・・」

「マーニ、町に入ったらゆっくりと休むといいわ」


ソールが言う。


「ありがとう。ゆっくりと休ませてもらうわ」


マーニが答える。


「私たちがガッリーナ町に着いたことは、門番を通じてすぐにネプチューン侯爵様に伝わるはずよ。みんな気を引き締めるのよ」


とソールが緊張な面持ちで言う。


「そうね。ここはもう敵地ね。でも堂々としていないと、逆に怪しまれるわ。まずは冒険者ギルドに行きましょう」

「わかったわ」


マーニは宿屋に向かい、ソールとサクラは冒険者ギルドに向かったのであった。

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