魔王の子供に転生した女子高生、悪魔が怖くて魔界から追放される。しかし天使様に見初められ人間界で無双する。

にんじん太郎

第99話 鬼の島パート7



私は、ロキさん達のもとへ戻って、トロールキングは強すぎたので、雷光石は、諦めたと嘘をついた。


「ルシスでも、トロールキングは無理だったか」

「はい、いくら攻撃しても再生するので、断念しました」

「良い判断です。ルシスちゃんが無茶をしなくてよかったわ」


ロキさん達が、私を気遣って、優しい言葉をかけてくれるのが、少し心苦しかった。私は、のんびりと温泉を堪能していただけで、何もしてなかったからである。


「ロキお姉ちゃん、トールお姉ちゃんは、3鬼神を倒したんですね。すごいです」

「苦戦したが、倒したぜ。しかし3鬼神の1人、雷神は、ルシスが橋で倒したオーガだったんだぜ」

「そうなんですか。先に倒しておいてよかったです」

「そうですね。3鬼神が揃っていたら、勝てなかったかもしれないわ」

「たしかに、あいつらは、連携した戦いには、慣れているみたいだったしな。3鬼神が、同時に来られたら、危なかったぜ」



私たちは、雷光石を探すことにした。三途の川の河口付近には、至る所で、フラッシュフライの小さな灯りが光っている。しかし、雷光石をドロップするフラッシュフライは、変異種のみである。変異種の見分け方は、フラッシュフライの頭のおでこに、変という文字が刻まれているらしい。

なので、一体、一体を確認しないといけないのであった。


「オーベロン王にを3個、サラちゃんに3個で合計6個の雷光石が必要よ」

「そうだな。サラも少ないと駄々をこねて、妖精の森に来ないかもしれないから、その数が妥当だろう」


6個も雷光石を探すのは、かなり大変そうである。トロール達が、大勢で探してもなかなか見つからなかった。しかし、私には、アズライール様の能力がある。私は、アズライール様の能力を使って、無数のゴーレムを作った。そして、ゴーレムたちに、雷光石を探させたのであった。

「ロキお姉ちゃん、トールお姉ちゃん、探索はゴーレムさんに任して、私たちは、三途の川温泉に入りませんか」

「それは、良い考えですね」

「そうしようぜ」


私は、2人の分の水着を作っていたので、2人に渡して、三途の川の温泉をのんびりと堪能した。そして、簡易の家を近くに設置して、その日は、ここで泊まることにしたのであった。


翌朝、起きると、簡易の家の前で、たくさんのゴーレムが、私が出てくるのを待っていた。ゴーレムに、雷光石のことを確認すると、雷光石を7個も手に入れることが、できたみたいである。

私は、ゴーレム達に、労いの言葉をかけて、もとの土の塊に戻した。


「ロキお姉ちゃん、ゴーレムさん達が、雷光石を7個も、探してくれました」

「予定より多めだね」

「はい。これで、私たちのノルマは達成ですね」

「そうだね」

「ルシス、一個多いなら、俺に食べさせてくれないか」


トールさんは、雷光石が、本当に甘くて美味しいのかを、確かめてみたいのであった。


「どうぞ、トールお姉ちゃん」


私は、トールさんに雷光石を一つ手渡した。

トールさんは、雷光石を口の中に入れて、飴玉のように舐め出した。


「・・・・」

「トール、どうしたの。美味しいの?」

「・・・・」

「美味しくないのですか?」

「うめーーーーーーーーーーーーーぞーーーー」


トールさんは、美味しさのあまり、最初は声が出なかったのであった。


「こいつは、プリンに匹敵するくらいの美味しさだ。こんな石ころが、こんなに甘いくて、美味しいとは、信じられないぜ」

「私も、食べてみたいわ」

「ルシス、ロキにも渡してやれよ、オーベロン王とサラには、2個ずつでいいだろう。だからルシスも食べてみろよ」


トールさんが、あれほど大絶賛するのだから、私も食べてみたくなったのである。こんな石ころが、本当に美味しいとは、思えないのである。それに、私の自慢のプリンに匹敵するとは、認めたくないのであった。

私とロキさんは、雷光石を口の中へ入れた。


「・・・・」

「・・・・」

「どうだ、口の中で、甘味が大爆発するだろう」


ほんとだ、雷光石を舐めると、最初は少しピリッとするが、そのあとは、優しい甘味が石から溢れ出てくる。これは、本当に美味しいのであった。あの大辞典の内容は本当であった。

しかし、私たちが食べ終えた、雷光石は、クラちゃんが食べた後のような輝きはない・・・人間には、反応しないようである。

私たちは、あまりの美味しさに、我を忘れて、残りの雷光石まで、食べてしまったのであった。


「ルシスどうする」

「ルシスちゃんどうしましょう」

「・・・・・」


ヤってしまった。トールさんやポロンさんならまだわかるが、私とロキさんまでも、我を忘れて、食べてしまうとは、大誤算である。血の池地獄の雷光石はクラちゃんが、全部持って帰っているだろう。しかも。配下となったトロールキングの説明も面倒だ。仕方がないので、もう少し、三途の川で滞在することにした。


「2、3日、ここで滞在しましょう。またゴーレムも作るので、私たちは、のんびり温泉に浸かって、今までの旅の体を、癒しましょう」

「そうしようぜ」

「賛成です」




「ロイヤルオーガ様、冒険者達が、三途の川付近で、家を建てて、滞在しています。それに血の池地獄では、クラーケンの目撃の情報が入っています。どうしますか」

「クラーーーーーーーケンだと!!!!!!!」

「はい。大きなイカが血の池地獄で、のんびりと温泉に浸かっているそうです。トロールキングも顔面蒼白になって、クラーケンのマッサージをしているみたいです」

「トロールキングには悪いが、クラーケンのことは、聞かなかったことにしよう」

「では、三途の池の冒険者はどうしますか。冒険者のうち1人は、クラーケンと仲良くしていたとの目撃情報があります」

「・・・・」

「ロイヤルオーガ様どうしますか」

「うむ。なかったことにしよう。鬼の島は、いつもと変わらず平穏だ。ただ、血の池地獄と、三途の川の河口には、近づかないようにしようではないか」


ロイヤルオーガは、完全にビビっていた。伝説の神獣クラーケンなんて、相手にできるはずなど、ないのであった。

そして、クラちゃんは、雷光石を食べ足りなかったので、しばらく鬼の島に滞在していたのであった。



          

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