魔王の子供に転生した女子高生、悪魔が怖くて魔界から追放される。しかし天使様に見初められ人間界で無双する。
第71話 ターニプの町パート2
私たちは、門の横にある詰所で、報告を待っていた。許可を得るには、かなり時間が、かかるらしい。私は暇なので、門番に日本酒を出してあげた。
「仕事中に、お酒を飲んでも大丈夫なのですか」
「ああ、問題ないぜ。ドワーフにとってお酒は、パワーの源だ。適量なら許されている」
ドワーフにとっての適量とは、どんなものなのか?かなりの量を飲んでいるように見えるが。私たちもやることもないので、ここでお昼ご飯を、食べることにした。
「ハンバーグが、食べたいぜ」
トールさんは、最近ハンバーグがお気に入りだ。チーズも作るようになったので、チーズインハンバーグを出してあげた。
「このチーズという不思議な食べ物には、驚かされたぜ。ハンバーグ中からドロっと溢れ出るこの液体は、初めはビックリしたが、トロトロ食感で、しっとりとした独自のクセのある味は、やみつきになるぜ」
「なんだその食べ物は、俺にもくれないか」
ドワーフが、チーズインハンバーグを食べたそうに、ヨダレを垂らしている。
「どうぞ召し上がってください」
私は、ドワーフにチーズインハンバーグを差し出した。
「こいつは絶品だな。お前達は、こんな美味しい物が作れるのか。俺たちドワーフは、金属の加工には、自信があるが、料理に関してはお手上げ状態だ」
「そうなのですか。それなら好きなだけ食べてください」
「なら、遠慮なくもらうぜ」
このドワーフの門番は、仕事をしなくて、大丈夫なのかな。今は、この人しか門番はいないのに、仕事をぜずに、詰所でお酒を飲みながら、食事をしている。今なら、勝手に中へ入れそうだが、エルフがいると、町が大混乱するので、それはやめておくことにした。
私たちが、楽しく食事をしていると、詰所に、赤い鎧をきたドワーフが入ってきた。
「お前達が、日本酒というお酒を持ってきた冒険者か」
「そうです。ラストパサーという冒険者です」
「そうか、それより、スルタ、仕事もせずに、何を食べている。しかもそのお酒は・・・まさか日本酒か」
「ドッレ様、今は仕事より大事なことがあるのです。ドッレ様も日本酒を飲んだのなら理解できますでしょう。しかも、このチーズインハンバーグという食べ物を、食べることより重要なことなど、存在しません」
「チーズインハンバーグだと・・・なんだその食べ物は!この香ばしい香りが、そのチーズインハンバーグとやらの正体か?俺にも食べさせろ」
私はとりあえず、ドッレというドワーフに、チーズインハンバーグを差し出した。多分この方が、ドワーフの偉い方なのであろう。ご機嫌をとっておいた方が良いと判断した。
「スルタのいう通りだな。こんな美味しい物があるのに、仕事などしてる場合ではないな」
いやいや、仕事をしろよ。と私は心の中で思うが、口には出さないでおこう。これで全てが、上手くいくのなら、ちょろいものだ。
「そういえば、自己紹介をしていなかったな。俺は、このドワーフの国を治める七巨星王の1人、ドッレだ。お酒の提供に感謝する。そして、エルフの入場の許可を出そう。しかし交換条件がある」
「もっと、お酒が欲しいのですか」
ロキさんが交渉してくれている。
「それもあるが、もう一つ、こちらからお願いがあるのだ。エルフの呪いを解除してほしい」
「エルフの呪いとは、どういうことですか」
「エルフの呪いとは、150年前のエルフとドワーフの全面戦争は、竜人の介入により、未然に防がれた。しかしその時に、ドワーフの王妃が、エルフの呪いによって、眠りから覚めることのない、昏睡状態になってしまったのだ。その後、王妃は、目覚めることなく亡くなってしまった。ドワーフの王属制度は廃止されたが、元王族は、名誉王族として、ある程度の地位は確保されている。エルフの呪いは、名誉王族の女性に受け継がれ、今も名誉王族の女性が、眠りの呪いのため、寝たきりになっているのだ」
「ポロンそれは知っているのか」
「はい。聞いたことがありますわ。150年前に、ドワーフの王子に殺されたと言われる、エルフの王女の護衛隊長が、その後消息不明になっていますわ。その護衛隊長をしていたのは、王女の弟のアビスですわ。アビスはダークエルフになって、王女の復讐のため、ドワーフの王女を、眠りの魔法で、死ぬまで夢の世界へと、閉じ込めていると、聞いていますわ」
「その通りだ。アビスというダークエルフが呪いの首謀者だ。しかし、アビスの居る、ブロッケン山は、無限の霧の山であり、視界がほとんどない。しかも、その山には、ワーウルフが居て、容易に近づくことができないのだ。そこで、同じエルフの者に、アビスを説得して、呪いを解いてもらいたいのだよ」
「難しですわ。ダークエルフになったアビスは、話し合いのできる相手ではないわ」
「ダークエルフとエルフは何が違うのですか」
私は、気になったので、ポロンさんに聞いてみた。
「エルフは、妖精と契約して、妖精の力を借りることができますわ。しかしダークエルフは、妖精に自分の体を差し出して、自分の願いを叶えてもらうのです。アビスは自分の体を、精霊に差し出すことによって、妖精と一体化して、王女の復讐を成し遂げたのですわ。しかしその代償として、アビスの体は、妖精に乗っ取られたと思います。なので、話し合いは不可能です」
「呪いを解くことは不可能なのか」
「アビスは、サンドマンと言う眠りの妖精に、体を支配されているので、サンドマンを倒したら、呪いを解くことができるかもしれませんわ」
「そうか。それなら、サンドマンを倒そうぜ」
「そうですわ。150年続いたエルフとドワーフの対立を、解消するためにも、倒さないといけないですわ」
「呪いを解く依頼は了承しましょう。しかし、こちらからも条件があるのよ」
ロキさんが、ドッレの依頼を受ける代わりに、こちらの要望も伝えることにした。
「条件とは?この町に入る以外に、何か用があったのか」
「そうです。私たちは、竜光石を、加工できる人を探しています。もし知っているのなら教えてほいしい」
「お前達は、あの伝説の竜光石を持っているのか」
「持っています。守護聖竜から、もらいました」
「そうなのか・・・お前たちは、凄腕の冒険者なのだな。それなら、エルフの呪いもなんとかなりそうだな。竜光石の加工できる者は知っているぞ。エルフの呪いを解くことができたら、教えてやろう」
「これで、交渉成立ですね」
「そうだな。期待しているぞ」
私たちは、馬車を使って、ブロッケン山を目指すことにした。サラちゃんを使えば、すぐに行けるのだが、一日一回しか召喚できないので、明日、召喚することにした。それまで、馬車で近くまで行くことにした。
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