第50話　神守教会との戦いパート2

「ルシスありがとう。少しコツをつかめてきたぜ」

「私もよ。これで、強くなれるメドがついたわ。あとは特訓を頑張るだけだね。明日も、ソールとの会談の後、ここで、特訓をしましょう」

「私も、それでいいと思いますわ」


翌朝、私たちは、冒険者ギルドへ向かった。冒険者ギルドに入ると、ディーバ様に案内されて、昨日と同じ部屋へ向かった。


「来てくれてありがとう。もうすぐ、金玉の2人も来るから、椅子に座って待っていて」

「はい。わかりました」


私たちは、席に座り、出してもらった飲み物を飲みながら、待つ事にした。しばらくすると、金玉の2人も入ってきた。


「これで、全員そろったわね。じゃあ、ソール、あなたから、彼女らに、今回のブラカリ襲撃の件を説明してくれる」

「はい、ディーバ様」

「おい、バッカスのやつは、いないのか」

「その件も一緒に説明しましょう。まずは、ラストパサーの皆さん、ご協力してくれる事に感謝します。バッカスの件では、大変失礼な事をした事も、ここで詫びさせていただきたい。本当に申し訳ありません」

「いや、気にしなくていいぜ。それより、詳しく知りたいぜ」

「バッカス及びゾーイの2人ですが、神守教会のスパイとして、金玉のメンバーに入っていたのよ」

「どういうことだ」

「神守教会は、ブラカリの魔石技術と聖魔教会の事を、調べていた。そこで、私は、ある情報を流すことにしたのよ。それは、金玉は聖魔教会と繋がりがあると・・王国で、1番強いと言われる冒険者が、聖魔教会と繋がりがあるとなると、神守教会としては、由々しき事態であった。その真相を探るために、神守教会の教皇は、金玉のメンバーに、あの2人を送り込むことにしたのよ」

「なぜ、その様なことしたのだ」

「それは、神守教会の動きを把握するため、神守教会の幹部クラスの連中を、仲間に加えることで、いろいろ情報を手に入れたかった。バッカスは扱いやすくて、とても助かったのよ。少しおだててやれば、なんでも、ペラペラと喋るからね」

「あいつは、そんな感じだよな」

「しかし、ゾーイは、慎重な人だったので、情報は、あまり得ることは、できなかったわ。対象的な2人だったわ」

「それで、用済みになって、捨てたのか」

「そういうことよ、バッカスから、得た情報と、私たちが、独自で調べた情報を精査した結果、ブラカリ襲撃は確実に起こると判断したのよ。パースリのゴブリン襲撃により、ブラカリ襲撃の日程もかなり早くなったみたいだわ」

「内戦状態になるのか」

「そうならないように、早めに主力部隊を叩くことにしている。パースリの襲撃事件後、他種族への恐怖を感じるものが、増えてきている。それに乗じて、神守教会は、信者を増やそうとしているが、しかし、パースリの町を解放してくれたのも、他種族がいるラスパの君たちです。そのことを、王女様が、国民へ訴えている。それにより、国民の不安も少しは解消しているのよ」

「俺らも、役に立っているのだな」

「だから、神守教会も少し焦り出して、いるみたいだわ。せっかくの好機を潰されたくないみたい。それで、襲撃の時期を早めたみたいよ」

「そう言うことか」

「そして、今回の襲撃の指揮をするのが、王国騎士団の副団長のアレス。アレスはバッカスと同じ神の子なる。バッカスと違って、日々の訓練を怠らず、王国最強の戦士と言われている。しかも、面倒なことに、アポロ公爵が、今回の侵攻に協力するらしい。総勢3000名の大部隊になるみたいなの。しかし、ほとんどが、ただの兵隊なので、さほど問題はないのですが、ただ、アポロ公爵の護衛団、太陽騎士団の300名は、手強いかもしれないわ」

「あのアポロか・・・」

「アポロ公爵ってどんな人なのですか」


わたしは気になったので、聞いてみた。


「アポロ公爵も神の子らしい・・・でも力は未知数よ。アレス、バッカスもアポロ公爵の太陽騎士団の出身になるのよ。太陽騎士団は、神の子を団長におき、団員も凄腕の神技の使い手を集めた、戦闘のスペシャリスト集団よ」

「かなり、手強そうだな。それで、どのように戦う予定だ」

「アレスの相手は私と、マーニでおこなうから、ラスパのメンバーには、ブラカリの町の護衛をお願いしたいわ。ブラカリの町は、獣人もいて、護衛は問題ないと言われているが、念のために、配置しておきたいのよ。そして、ルシスちゃんには、別のお願いがあるのよ」

「私は、何をしたらいいの」

「ルシスちゃんは、空を飛べるのだろう。しかもかなりの高速で」

「はい。速いですよ」

「しかも、オークの大群を一瞬で倒したとも聞いているわ」

「倒しちゃいましたね」


やっぱり、あの時、アメリア様達に見られていたみたいだ。


「そこで、お願いがある。ルシスちゃんには、先行してもらって、アポロ公爵の援軍を遅らせてほしい。空から、攻撃したら、安全だろう。そして、できるだけ、時間を稼いで、神守教会の主要部隊との合流を遅らせて、欲しいのよ」

「遅らせるだけですか。なんなら、殲滅してもいいよ」

「頼もしいな。できる範囲でお願いしよう」


それなら、私1人で、王都の神守教会を殲滅した方が、早いかなと思った。


「できる限り頑張ります」

「ありがとう」

「ルシス、大丈夫か？あまり無理はするなよ」


トールさんが心配してくれている。


「大丈夫ですよ」



「アポロ公爵の援軍は、ルシスちゃんが、侵攻を遅らせ、私とソールでアレスの相手をする。ラスパの3人は、ブラカリの町を護衛することで良いかな」

「ああ構わないぜ」

「そしたら、ディーバ様は、トメイトの援軍の阻止と、リアムの動きを封じてください」

「わかったわ」



会議が終わり、私たちは、ブラカリの町を目指した。魔力制御の特訓は、馬車の中でもできるので、3人は、馬車の中で、魔力制御のイメージトレーニングに励んでいた。

ブラカリの町の門には、あのモフモフのトラの獣人のティグレさんがいた。私は馬車を駆け降りて、モフモフへダイブした。やっぱりモフモフは最高だ。

「また戻ってきたのか、お嬢さん」

「はい。モフモフが恋しくて」