《完結》転生したら、火、だった件。迫害された魔術師ちゃんが、魔神さまと崇めてきます。神なら信者を作っちゃおうぜ!
31-2.プロメテの帰還
「無事でしたか!」
オレがプロメテを連れて、礼拝堂に戻ると、ディーネが、慌ただしく駆け寄ってきた。
「心配をかけて悪かったな」
申し訳ないのですよ――とプロメテが頭を下げた。
「心配しましたよ。しかし見つかったのならば良かった」
と、ディーネはみずからの着ていた紅色のコタルディの袖で、プロメテの濡れた髪を拭き取っていた。
なぜプロメテが消えていたのかは、なんとなく察しているのか、詳しくはセンサクして来なかった。
繊細な問題だったので、説明しにくかったし、尋ねてこないのは、ありがたかった。
「かなり大規模に捜索してくれていたみたいだな」
「これからソマ帝国との決戦だというタイミングで、うちの大司教にもしものことがあれば大問題ですからね。まぁ、見つかったのならば良かった。捜索隊を引き上げさせましょう」
「そうしてくれ」
ディーネはタルルに何か言っていた。
タルルはディーネの命令を受け取ると、すぐに礼拝堂を出て行った。
捜索隊を引き上げさせに向かったのだろう。
「こうしているあいだにも、アイリはかなりの数の信徒を集めています」
と、ディーネがあらたまって切り出した。
「ゲームを中止にはできないか?」
と、オレはディーネに提案してみた。
「私もそうしたいですがね。プロメテちゃんが勝手に姿を消したのに、ゲーム中止というわけにはいかないでしょう。それではアイリが納得しません」
「まあ、そうだよな」
だろうとは思った。
言ってみただけだ。
大丈夫なのですよ、やれるだけやってみるのです――と言って、プロメテは礼拝堂を出て行った。
「後半戦ですね」
「ああ。もう午後の鐘が鳴るまで、そんなに時間はなさそうだな」
「もう大丈夫だろうとは思いますが、警護の者を増員させておきましょう。また何かあっては大変ですから」
「頼む」
「これからプロメテちゃんが巻き返すのは難しいでしょうね」
と、ディーネは物憂げに、礼拝堂のイスに腰かけていた。
「アイリが勝ってしまったときは、オレのほうからアイリを拒否しよう。アイリを大司教に据えるわけにはいかない」
「プロメテちゃんの失踪には、アイリが関係しているのですか? もしそうなら、ゲームを中止させる口実にもできるかと思いますが」
「酷いことを言われたらしい。だが、あくまで言われたってだけだ。実際に言われたのだろうが、アイリが言った証拠もない」
「そうですか」
「やはりオレは、あのアイリという少女を好きにはなれんな。オレの子どもを身ごもったというのもウソのはずだし、プロメテを傷つけたことも許せん」
アイリが、プロメテにたいしてどんな暴言を吐いたのかは、オレはこの耳で聞いたわけじゃない。
だが――。
変だ、とは思う。
どうやらアイリは、オレの召喚の事で、プロメテを、なじったらしい。
しかしどうして、オレが転生前の記憶をなくしていることを、アイリは知ってるのだろうか?
魔術師だからか? そもそもアイリは、本当に魔術師なのか?
わからん。
とにかく今は、このゲームと銘打った布教活動が終わるのを待とうと決めた。
オレがプロメテを連れて、礼拝堂に戻ると、ディーネが、慌ただしく駆け寄ってきた。
「心配をかけて悪かったな」
申し訳ないのですよ――とプロメテが頭を下げた。
「心配しましたよ。しかし見つかったのならば良かった」
と、ディーネはみずからの着ていた紅色のコタルディの袖で、プロメテの濡れた髪を拭き取っていた。
なぜプロメテが消えていたのかは、なんとなく察しているのか、詳しくはセンサクして来なかった。
繊細な問題だったので、説明しにくかったし、尋ねてこないのは、ありがたかった。
「かなり大規模に捜索してくれていたみたいだな」
「これからソマ帝国との決戦だというタイミングで、うちの大司教にもしものことがあれば大問題ですからね。まぁ、見つかったのならば良かった。捜索隊を引き上げさせましょう」
「そうしてくれ」
ディーネはタルルに何か言っていた。
タルルはディーネの命令を受け取ると、すぐに礼拝堂を出て行った。
捜索隊を引き上げさせに向かったのだろう。
「こうしているあいだにも、アイリはかなりの数の信徒を集めています」
と、ディーネがあらたまって切り出した。
「ゲームを中止にはできないか?」
と、オレはディーネに提案してみた。
「私もそうしたいですがね。プロメテちゃんが勝手に姿を消したのに、ゲーム中止というわけにはいかないでしょう。それではアイリが納得しません」
「まあ、そうだよな」
だろうとは思った。
言ってみただけだ。
大丈夫なのですよ、やれるだけやってみるのです――と言って、プロメテは礼拝堂を出て行った。
「後半戦ですね」
「ああ。もう午後の鐘が鳴るまで、そんなに時間はなさそうだな」
「もう大丈夫だろうとは思いますが、警護の者を増員させておきましょう。また何かあっては大変ですから」
「頼む」
「これからプロメテちゃんが巻き返すのは難しいでしょうね」
と、ディーネは物憂げに、礼拝堂のイスに腰かけていた。
「アイリが勝ってしまったときは、オレのほうからアイリを拒否しよう。アイリを大司教に据えるわけにはいかない」
「プロメテちゃんの失踪には、アイリが関係しているのですか? もしそうなら、ゲームを中止させる口実にもできるかと思いますが」
「酷いことを言われたらしい。だが、あくまで言われたってだけだ。実際に言われたのだろうが、アイリが言った証拠もない」
「そうですか」
「やはりオレは、あのアイリという少女を好きにはなれんな。オレの子どもを身ごもったというのもウソのはずだし、プロメテを傷つけたことも許せん」
アイリが、プロメテにたいしてどんな暴言を吐いたのかは、オレはこの耳で聞いたわけじゃない。
だが――。
変だ、とは思う。
どうやらアイリは、オレの召喚の事で、プロメテを、なじったらしい。
しかしどうして、オレが転生前の記憶をなくしていることを、アイリは知ってるのだろうか?
魔術師だからか? そもそもアイリは、本当に魔術師なのか?
わからん。
とにかく今は、このゲームと銘打った布教活動が終わるのを待とうと決めた。
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