《完結》転生したら、火、だった件。迫害された魔術師ちゃんが、魔神さまと崇めてきます。神なら信者を作っちゃおうぜ!
12-5ドワーフの聖火台
「と――いうわけです。これから出陣の準備をいたします」
「戦か……」
「おや。魔神さまは、戦が好きではありませんか?」
オレの沈鬱な声音を聞き取ったようで、ディーネはそう尋ねてきた。
「まぁ、人がたくさん死んだりするようなことは、あんまり好きにはなれん」
「私は、戦が好きなんですよ」
「意外だな」
知識があり、難民たちの受け入れも積極的におこなっている。そんなディーネが戦好きというのは意外だった。
「こう見えても、私は生まれながらの戦闘狂なんですよ。もしも男に生まれていたら、戦を求めて傭兵になっていたかもしれないと思うほどです。これは性分なのでしょうね」
と、ディーネは、ふふっ、と笑った。
「オレはどうすれば良い?」
「魔神さまにも、協力していただきたい。災厄級からこの都市シェークスを護った、あの神威を貸していただきたいのです」
おい、魔神さまにもしものことがあったら、どうするんだよ――と、レイアがディーネに言った。
「むろん。危険は承知です。が、どうしても《製鉄工場》を手に入れておきたいのです。このタイミングでソマ帝国が、ドワーフの里に攻めるのも、《製鉄工場》を、こちらに渡さぬようにする意図かと思われます」
「ふむ」
ソマ帝国は排他主義の宗教国家であり、いずれはオレのことを排斥しようともしてくるのだろう。
ならば、オレも出向くべきだろう。
「それに、ドワーフの里にあるのは、《製鉄工場》だけではありません」
「ほかに何かあるのか?」
「このオルフェスにある聖火台。5つのうち1つがあります」
その言葉に食いついたのは、プロメテだった。
「聖火台があるのですか」
と、弾かれたように立ち上がっていた。
「ええ。ドワーフたちは、すこし特殊な一族です。オルフェス最後の魔術師にたいしても、風当りは強くないかと思われます」
「火を灯せば、ドワーフさんたちは、喜んでくれるでしょうか?」
「そりゃもう、喜ぶなんてものじゃないでしょう。聖火台に火が灯ることを、待ち焦がれているはずですよ」
ディーネの言葉を受けて、プロメテは眉を「八」の字にして、オレのほうを見てきた。まるで飼い主の機嫌をうかがう仔犬のような顔をしている。
召喚されているのはオレのほうだから、どちらかというと飼い主はプロメテのほうなんだけど。
「プロメテは、行きたいのか?」
「私は、聖火台に火を灯さなくてはなりません。それが魔術師のおかした罪の贖いなのです」
そうだったな、とオレはうなずいた。
そもそも、聖火台に火を灯すことこそが、オレの召喚された意味でもあるのだ。
「ならば、行こう」
「よろしいのでしょうか」
「ソマ帝国というのが、どういうものか気になるしな」
すでにロードリ公爵の都市の聖火台には火が灯されている。
残り4つ――。
オレはプロメテの頭をナでることすら出来ない。オレに出来ることは、彼女の贖罪を手伝うぐらいだ。
「戦か……」
「おや。魔神さまは、戦が好きではありませんか?」
オレの沈鬱な声音を聞き取ったようで、ディーネはそう尋ねてきた。
「まぁ、人がたくさん死んだりするようなことは、あんまり好きにはなれん」
「私は、戦が好きなんですよ」
「意外だな」
知識があり、難民たちの受け入れも積極的におこなっている。そんなディーネが戦好きというのは意外だった。
「こう見えても、私は生まれながらの戦闘狂なんですよ。もしも男に生まれていたら、戦を求めて傭兵になっていたかもしれないと思うほどです。これは性分なのでしょうね」
と、ディーネは、ふふっ、と笑った。
「オレはどうすれば良い?」
「魔神さまにも、協力していただきたい。災厄級からこの都市シェークスを護った、あの神威を貸していただきたいのです」
おい、魔神さまにもしものことがあったら、どうするんだよ――と、レイアがディーネに言った。
「むろん。危険は承知です。が、どうしても《製鉄工場》を手に入れておきたいのです。このタイミングでソマ帝国が、ドワーフの里に攻めるのも、《製鉄工場》を、こちらに渡さぬようにする意図かと思われます」
「ふむ」
ソマ帝国は排他主義の宗教国家であり、いずれはオレのことを排斥しようともしてくるのだろう。
ならば、オレも出向くべきだろう。
「それに、ドワーフの里にあるのは、《製鉄工場》だけではありません」
「ほかに何かあるのか?」
「このオルフェスにある聖火台。5つのうち1つがあります」
その言葉に食いついたのは、プロメテだった。
「聖火台があるのですか」
と、弾かれたように立ち上がっていた。
「ええ。ドワーフたちは、すこし特殊な一族です。オルフェス最後の魔術師にたいしても、風当りは強くないかと思われます」
「火を灯せば、ドワーフさんたちは、喜んでくれるでしょうか?」
「そりゃもう、喜ぶなんてものじゃないでしょう。聖火台に火が灯ることを、待ち焦がれているはずですよ」
ディーネの言葉を受けて、プロメテは眉を「八」の字にして、オレのほうを見てきた。まるで飼い主の機嫌をうかがう仔犬のような顔をしている。
召喚されているのはオレのほうだから、どちらかというと飼い主はプロメテのほうなんだけど。
「プロメテは、行きたいのか?」
「私は、聖火台に火を灯さなくてはなりません。それが魔術師のおかした罪の贖いなのです」
そうだったな、とオレはうなずいた。
そもそも、聖火台に火を灯すことこそが、オレの召喚された意味でもあるのだ。
「ならば、行こう」
「よろしいのでしょうか」
「ソマ帝国というのが、どういうものか気になるしな」
すでにロードリ公爵の都市の聖火台には火が灯されている。
残り4つ――。
オレはプロメテの頭をナでることすら出来ない。オレに出来ることは、彼女の贖罪を手伝うぐらいだ。
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