水晶を覗くばあさん
戻りたい女13 お礼
火照った頬を軽やかな夜風が撫でる。
閉店して暗くなった飲食店が増えた町並みを,二人で並んで歩く。
「美帆〜,あんた,もっと自分に自信を持ちなよ〜。私は美帆の幸せを心底願ってるんだからね〜」
ねっとりとしたこと葉の言葉が,暖かく私の体を包む。
結局,アルコールを摂取できない私に付き合ったのは最初の一杯だけで,今まで見たことのないようなペースでこと葉は酒を飲んだ。その間,「私は美帆に幸せになってほしいんだよ」という言葉を耳にヘルペスができるほど聞いた。
普段の私なら,ノンアルで酔っ払い相手に朝方まで付き合うなんて考えられないが,今日は不快感どころか,感謝の気持ちで満たされている。
「こと葉,ありがと」
「水くさいなあ〜。うちら,一生の仲じゃん」
言いながら千鳥足で抱きついてくること葉を,「危ないし,臭いからあっち行って」と冷たくあしらう。そうでもしないと,もう何度目かのここ数時間の自分の感情の浮き沈みに,心底恥じ入りそうだった。
「こと葉,ありがとね」
酔っ払いには聞こえない声で呟き,二人で明るい真夜中を歩いた。
閉店して暗くなった飲食店が増えた町並みを,二人で並んで歩く。
「美帆〜,あんた,もっと自分に自信を持ちなよ〜。私は美帆の幸せを心底願ってるんだからね〜」
ねっとりとしたこと葉の言葉が,暖かく私の体を包む。
結局,アルコールを摂取できない私に付き合ったのは最初の一杯だけで,今まで見たことのないようなペースでこと葉は酒を飲んだ。その間,「私は美帆に幸せになってほしいんだよ」という言葉を耳にヘルペスができるほど聞いた。
普段の私なら,ノンアルで酔っ払い相手に朝方まで付き合うなんて考えられないが,今日は不快感どころか,感謝の気持ちで満たされている。
「こと葉,ありがと」
「水くさいなあ〜。うちら,一生の仲じゃん」
言いながら千鳥足で抱きついてくること葉を,「危ないし,臭いからあっち行って」と冷たくあしらう。そうでもしないと,もう何度目かのここ数時間の自分の感情の浮き沈みに,心底恥じ入りそうだった。
「こと葉,ありがとね」
酔っ払いには聞こえない声で呟き,二人で明るい真夜中を歩いた。
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