ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下部下にトロトロに溺愛されてます。
少女漫画のようには上手くいかないです⑽
一人歩いてアパートに戻る。橅木に話を聞いてもらったお陰で涙もだいぶ引き、ほんの一ミリくらい心が軽くなった。
「水野さんっ!!!」
大きな声で私の名前を呼ぶその声は震えており、私は驚き後ろを振り返る。
驚いたと同時に松田の腕の中に私はいた。
走って追いかけてくれたのだろうか、ハァハァと息を切らし、顔を見上げると耳まで真っ赤に染め額から首まで汗でびっしょり濡れている。
「水野さん……」
「何? んっ、んんっ……」
ひんやりした唇をこじ開け松田の熱い吐息と舌が私の舌を捉え熱く溶けそうになる。熱がどんどん広がり冷たかった唇も溶けそうなほど熱い。
熱く、燃えそうなキス……
「っつ……は、離して!!」
「離さない」
いつもよりも低い声でハッキリと言葉にされ、ドキンと心臓が跳ね上がり、再度唇を奪われた。
松田の熱で本当に溶けてしまうんじゃ無いかと怖くなるくらい、頭もボーッとし足も立っているので精一杯だった。
ゆっくりと唇が離れていく。
「水野さん、俺の事好き?」
「っつ……何言ってるのよ……」
「……俺の事好きじゃ無いならもっと拒んで、ぶん殴ってもいいから」
松田の表情が少し泣きそうに見えた気がした。ジッと見つめる彼の瞳に捕らわれ、二人の唇がゆっくりと磁石のようにスッと引かれ違和感なく重なり合った。
熱く優しく、お互いの存在を確かめ合うように何度も何度も絡み合った。
「水野さん、好きです、付き合ってくれますか?」
ツーっと涙が頬を流れた。これは悲しい涙でもなければ、嫉妬から流れる黒い涙でもない。嬉し涙だ。
こんなにも感情を乱されるほどいつの間にか松田を好きになっていたなんて……
「……はい」
「はいって事は俺の事好き?」
「……はい」
笑顔一つない真剣な表情で私の顔を覗き込んでくる松田に、はい、と答えるのが今の私には精一杯だった。
「ははは、あー嬉しい! こんなにも嬉しい事一生ないかも!」
パァと松田は子供のような笑顔を見せた。
その笑顔が眩しくて一生目に焼き付けておきたい、そう思った。
でも一つだけ気がかりな事がある。マコトの存在だ。これがスッキリしないといつまで経っても嫉妬を繰り返してしまいそうだ。勇気を振り絞って聞いてみる。
「松田君……あの、マコトさんとはどう言った関係なの?」
「あ、さっき橅木さんもマコトちゃんって言ってたような気がしたんですけど、あいつ俺の幼馴染で男ですよ、誠って言うんです」
「お、男!?」
「つまりオカマってやつですかね?」
「んまっ……あんなに美人だなんて……」
ガクッと身体から力が抜ける。見た目も声も完璧に女の人だと思った。無駄な肉のない身体付きに、ぱっちり二重の大きい目に、小さい鼻、ポテっとした唇に緩く巻いた茶色のロングヘアーがよく似合っていた。男の人だなんて一ミリたりとも思わなかった。
「もしかして……誠に嫉妬してたんですか?」
ニヤニヤと笑いながら私の顔をジッと見つめる。もう恥ずかしくて穴があったら入りたかった。一人で勘違いして、嫉妬に塗れてましたなんて絶対に言いたくない。
「ち、違うわよっ、気になっただけよ」
「ふーん、そうですか、気になっちゃったんですね」
「んなっ! 大した意味はないわ!」
必死に言い訳したが多分松田には全てお見通しなのかもしれない。終始ニヤニヤしていた。
「あの、水野さんの部屋に上がってもいいですか?」
「えぇ!? うち!? 何でよ、き、汚いわよ!」
「汚くないですよ、一回お邪魔してるし、だってやっと両思いになれたんですよ? もっと一緒に居たいと思ってるのは俺だけですか?」
「それは……そうだけど……」
「駄目ですか?」
「……いいわよ」
押し負けた。もしかしたら私は押されることに弱いのかもしれない。三十歳にして知った自分の弱点、押しに弱い。
「水野さんっ!!!」
大きな声で私の名前を呼ぶその声は震えており、私は驚き後ろを振り返る。
驚いたと同時に松田の腕の中に私はいた。
走って追いかけてくれたのだろうか、ハァハァと息を切らし、顔を見上げると耳まで真っ赤に染め額から首まで汗でびっしょり濡れている。
「水野さん……」
「何? んっ、んんっ……」
ひんやりした唇をこじ開け松田の熱い吐息と舌が私の舌を捉え熱く溶けそうになる。熱がどんどん広がり冷たかった唇も溶けそうなほど熱い。
熱く、燃えそうなキス……
「っつ……は、離して!!」
「離さない」
いつもよりも低い声でハッキリと言葉にされ、ドキンと心臓が跳ね上がり、再度唇を奪われた。
松田の熱で本当に溶けてしまうんじゃ無いかと怖くなるくらい、頭もボーッとし足も立っているので精一杯だった。
ゆっくりと唇が離れていく。
「水野さん、俺の事好き?」
「っつ……何言ってるのよ……」
「……俺の事好きじゃ無いならもっと拒んで、ぶん殴ってもいいから」
松田の表情が少し泣きそうに見えた気がした。ジッと見つめる彼の瞳に捕らわれ、二人の唇がゆっくりと磁石のようにスッと引かれ違和感なく重なり合った。
熱く優しく、お互いの存在を確かめ合うように何度も何度も絡み合った。
「水野さん、好きです、付き合ってくれますか?」
ツーっと涙が頬を流れた。これは悲しい涙でもなければ、嫉妬から流れる黒い涙でもない。嬉し涙だ。
こんなにも感情を乱されるほどいつの間にか松田を好きになっていたなんて……
「……はい」
「はいって事は俺の事好き?」
「……はい」
笑顔一つない真剣な表情で私の顔を覗き込んでくる松田に、はい、と答えるのが今の私には精一杯だった。
「ははは、あー嬉しい! こんなにも嬉しい事一生ないかも!」
パァと松田は子供のような笑顔を見せた。
その笑顔が眩しくて一生目に焼き付けておきたい、そう思った。
でも一つだけ気がかりな事がある。マコトの存在だ。これがスッキリしないといつまで経っても嫉妬を繰り返してしまいそうだ。勇気を振り絞って聞いてみる。
「松田君……あの、マコトさんとはどう言った関係なの?」
「あ、さっき橅木さんもマコトちゃんって言ってたような気がしたんですけど、あいつ俺の幼馴染で男ですよ、誠って言うんです」
「お、男!?」
「つまりオカマってやつですかね?」
「んまっ……あんなに美人だなんて……」
ガクッと身体から力が抜ける。見た目も声も完璧に女の人だと思った。無駄な肉のない身体付きに、ぱっちり二重の大きい目に、小さい鼻、ポテっとした唇に緩く巻いた茶色のロングヘアーがよく似合っていた。男の人だなんて一ミリたりとも思わなかった。
「もしかして……誠に嫉妬してたんですか?」
ニヤニヤと笑いながら私の顔をジッと見つめる。もう恥ずかしくて穴があったら入りたかった。一人で勘違いして、嫉妬に塗れてましたなんて絶対に言いたくない。
「ち、違うわよっ、気になっただけよ」
「ふーん、そうですか、気になっちゃったんですね」
「んなっ! 大した意味はないわ!」
必死に言い訳したが多分松田には全てお見通しなのかもしれない。終始ニヤニヤしていた。
「あの、水野さんの部屋に上がってもいいですか?」
「えぇ!? うち!? 何でよ、き、汚いわよ!」
「汚くないですよ、一回お邪魔してるし、だってやっと両思いになれたんですよ? もっと一緒に居たいと思ってるのは俺だけですか?」
「それは……そうだけど……」
「駄目ですか?」
「……いいわよ」
押し負けた。もしかしたら私は押されることに弱いのかもしれない。三十歳にして知った自分の弱点、押しに弱い。
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