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ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下部下にトロトロに溺愛されてます。

森本イチカ

少女漫画のようには上手くいかないです⑺

 ランチを済ませ会社戻る途中、外の喫煙所で煙草を吸っている橅木と目が合った。

「真紀! 涼子!」

 口にしていた煙草の火を消しこちらに駆け寄ってくる。

「真紀、目の腫れ引いたな」

「昨日はお騒がせしました……」

「なになに~昨日何があったのよ」

「昨日久しぶりに真紀と昔よく行ってたバーに行ったんだよな」

「えー! ずるいじゃん! 今度はあたしも誘いなさいよ~!」

「はいはい、じゃ戻ろうぜ」

 三人で会社に戻ると明らかにムッと膨れっ面な松田が目に入り、早歩きでこちらに向かってきた。
 グイッと手を引かれ松田の方に引き寄せられる。

「ちょっ、松田君、何よ」

「水野さん、今日一緒に帰りましょう」

 涼子は面白いものを見ている顔でニヤニヤしているし、橅木もまるで母親のように優しい笑顔でこちらを見ている。

「わかった、帰る! 帰るからっ」

「良かった、じゃ仕事しましょう」

 満足したのか掴んでいた手をパッと離し松田は自分のデスクに戻る。

「松田、背中から嬉しいビーム出ちゃってるよね」

「ああ、さっきのも嫉妬心丸出しだし、真紀は愛されてんな」

「ふ、二人とも……面白がってるでしょ……」

「「あ、バレた?」」

 涼子と橅木の声が見事に重なり、三人で笑う。少し、いや、かなり気が楽になった。
 午後はまた商品開発部との会議を二時間、その後すぐにマーケティング部でどのように商品を広めていくかの会議。会議、会議、会議でかなり疲れが溜まる。
 やっと仕事が一段落し、帰宅しようとした時には既に二十時を回っていた。
 身体は疲れていたが、それよりも松田とこれから一緒に帰ると思うと疲れが吹っ飛ぶ……まではいかないが少し身体が軽くなる。

「水野さん、帰りましょう」

「あ、そ、そうだったわよね、帰りましょう」

 そうだったわよね、とか言っておきながら本当はずっと気にしていた事は松田には気付かれていないだろう。
 デスクの周りを片付け鞄を持つ。
 ニコニコしながら私を待つ松田が可愛くてこれがキュンなのか……と噛み締める。

「お待たせ」

「じゃ、帰りましょう」

「ん」と右手を差し出してくる松田に流石にそれは会社内だしハードルが高すぎて「会社です!」と冷たく言い放ってしまった。もっと可愛い断り方があっただろう! と心の中で自分にツッコミを入れた。

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