カンナ&ゆうな
vol.18
夜にまぎれて降り出した雨は、忍び足でいそいそと駆け巡り、山を谷を草原を潤わせる。
何に気を使っているのだろう、その足音を殺して。
まるで疲れ眠っているものを起こぬよう、知られぬように・・
でも雨は全く気づいていない、自身の存在感を
そこにあるあらゆるものを静め、癒しめる。
それは雨にさらされた森だけではない。
雨に打たれぬものの心に舞い上がったほこりでさえ、その身にまとい、
いっさいがっさい洗い流すように沈めていく。
夜通し降り続いた雨は、朝の気配を感じると、その存在感だけを残し去ってしまった。
後にあるのは、朝もやに薄く引きのばされた静粛
その静けさをいっそう引き立てる、どこからともない確かな響き
ケロゲロケロロ
ゆうなはいつものところに腰かけて、その歓喜の叫びを聞き入っていた。
カエルが鳴くから、雨がふるのかな?
雨が降るから、カエルが鳴くのかな?
わたしは頭の中はいつもなぜだか、つまらないことでいっぱい
こんなの、誰にも言えやしない
へんてこりんで、恥ずかしすぎる
でも、これって、どう?
カエルと言えば、思い出すことがあるの
前に住んでいた街、家の近くに生活用水路があった。幅は3メートルくらいかな。
近所のおばさんは、よく言ってっけ
「昔はあの川にも、カエルもフナもメダカもいたんだよ」
それが今じゃあ、こんな立札が・・[川を大切に!きれいにしよう]
・・そうだよね。昔はオタマジャクシもいただろうけれど
川は汚れて何も住めなくなっちゃったんだ。だから、ゴミしちゃ汚しちゃいけないよね。
小学校のとき、道徳の時間で先生も言ってたし。
~とは、わたしはならないひねくれ者のヘンな子です。
ねえ聞いて・・・カエルのあなただけに、わたしの思っていることを教えてあげる。
大人って、なんてズルくって身勝手なの
自分たちの都合のいいことばかり。
もっともらしいこと言ってるけど、大人って、そんなにえらいの
何もわかっていない
なんにも見えていないのは、あたなたち大人の方だよ
教えてあげる
その川とやらを、汚したのは誰?
生き物を住めなくしたのは誰?
油が浮いて、泡だって・・生活排水、垂れ流しじゃん
わたしは生まれたときには、もう川なんてなかった。
なのも、川を汚さないようにだって
笑わせないで、何かの冗談
わたしは、ゴミなんてしたこともありません
今はきれいだよ、確かに。ゴミも無いし・・
でも、オタマジャクシも、カエルも、フナも、メダカも、無しです。
知ってるのかな、大人は
底が、き・れ・い・な・コンクリート
何の抵抗もないコンクリート底をすべるように、音もなく水が流れてく
「昔はあの川にも、カエルもフナもメダカもいたんだよ」
知ってますか・・
理科の授業で習ったよ。みんな卵を水草に産むんだよ。
コンクリート底で、水草が育つわけないじゃん。
だから、理科なんて、なんも役にも立ってやしない。
一生、生き物は戻ってきません。
あの立札、ほんとは子供が立てたのかな・・[川を大切に!きれいにしよう]
なんて小粋な気のきいたブラックユーモアだこと。
ほんと大人って、わかっちゃいないよね
またまた他愛もないことを思い巡らすゆうなは思った、
遠くもなく近くもなく、チロチロチロと小岩の隙間をぬって
流れて砕ける水音を聞きながら。
あの先には、川があるんだろうなぁ
何に気を使っているのだろう、その足音を殺して。
まるで疲れ眠っているものを起こぬよう、知られぬように・・
でも雨は全く気づいていない、自身の存在感を
そこにあるあらゆるものを静め、癒しめる。
それは雨にさらされた森だけではない。
雨に打たれぬものの心に舞い上がったほこりでさえ、その身にまとい、
いっさいがっさい洗い流すように沈めていく。
夜通し降り続いた雨は、朝の気配を感じると、その存在感だけを残し去ってしまった。
後にあるのは、朝もやに薄く引きのばされた静粛
その静けさをいっそう引き立てる、どこからともない確かな響き
ケロゲロケロロ
ゆうなはいつものところに腰かけて、その歓喜の叫びを聞き入っていた。
カエルが鳴くから、雨がふるのかな?
雨が降るから、カエルが鳴くのかな?
わたしは頭の中はいつもなぜだか、つまらないことでいっぱい
こんなの、誰にも言えやしない
へんてこりんで、恥ずかしすぎる
でも、これって、どう?
カエルと言えば、思い出すことがあるの
前に住んでいた街、家の近くに生活用水路があった。幅は3メートルくらいかな。
近所のおばさんは、よく言ってっけ
「昔はあの川にも、カエルもフナもメダカもいたんだよ」
それが今じゃあ、こんな立札が・・[川を大切に!きれいにしよう]
・・そうだよね。昔はオタマジャクシもいただろうけれど
川は汚れて何も住めなくなっちゃったんだ。だから、ゴミしちゃ汚しちゃいけないよね。
小学校のとき、道徳の時間で先生も言ってたし。
~とは、わたしはならないひねくれ者のヘンな子です。
ねえ聞いて・・・カエルのあなただけに、わたしの思っていることを教えてあげる。
大人って、なんてズルくって身勝手なの
自分たちの都合のいいことばかり。
もっともらしいこと言ってるけど、大人って、そんなにえらいの
何もわかっていない
なんにも見えていないのは、あたなたち大人の方だよ
教えてあげる
その川とやらを、汚したのは誰?
生き物を住めなくしたのは誰?
油が浮いて、泡だって・・生活排水、垂れ流しじゃん
わたしは生まれたときには、もう川なんてなかった。
なのも、川を汚さないようにだって
笑わせないで、何かの冗談
わたしは、ゴミなんてしたこともありません
今はきれいだよ、確かに。ゴミも無いし・・
でも、オタマジャクシも、カエルも、フナも、メダカも、無しです。
知ってるのかな、大人は
底が、き・れ・い・な・コンクリート
何の抵抗もないコンクリート底をすべるように、音もなく水が流れてく
「昔はあの川にも、カエルもフナもメダカもいたんだよ」
知ってますか・・
理科の授業で習ったよ。みんな卵を水草に産むんだよ。
コンクリート底で、水草が育つわけないじゃん。
だから、理科なんて、なんも役にも立ってやしない。
一生、生き物は戻ってきません。
あの立札、ほんとは子供が立てたのかな・・[川を大切に!きれいにしよう]
なんて小粋な気のきいたブラックユーモアだこと。
ほんと大人って、わかっちゃいないよね
またまた他愛もないことを思い巡らすゆうなは思った、
遠くもなく近くもなく、チロチロチロと小岩の隙間をぬって
流れて砕ける水音を聞きながら。
あの先には、川があるんだろうなぁ
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