オーストラリア!自由気ままにぐるっとバイク旅
第2話:イッツ・マイ・スタイル
11月1日 曇り・雨 420km
Neutral Bay→New Castle→Bulahdelah→Forster→Taree→Kew→Laurieton→Lake Cahtie→Port Macquarie(CP)
出発したシドニーはオーストラリア東海岸の下の方にあり、大陸を反時計周りに、まずパシフィックハイウェイを上へ上へと北上することにいた。理由はいたって簡単、ただ暖かいところに行きたかったからだ。
シドニーから2時間ぐらい走ったところで、緊張しているのだろうか、まだ真昼間だというのにもうクタクタになり、腹もぺこぺこだったので、ニューキャッスルという町の郊外で、昼飯にすることにした。そう言えばシドニーにいた時、この町出身の人がニューキャッスル出身だというだけでシドニーではダサダサの田舎者に見られると言っていた。どこの国でも変わらないんだなあを思いながら、そのダサいぶりを確かめるために町をスローペースで走った。それでもシドニーよりは若干時間がゆっくり進んでいるのかなというダラけた鈍さが感じらただけで、自分が田舎者だけあってか、そんな印象も僕にとってはしっぽりと落ち着ける雰囲気でだった。この町のとある河のほとりの名もない公園で、今朝出かけに持たしてもらったジャパニーズライスボール(おにぎり)をほうばった。その塩加減が絶妙で、最後の1個を食べてしまった時、もう当分食べられないのか考えると名残惜しく、汚い指先をぺろぺろ舐めたほどだ。そのおにぎりを包んであったスカーフをバックミラーに結びつけた。慣れ親しんだ過去との唯一の繋がりように思え、行く先の支えにでもなればと考えたからだ。遠く方で水面から鳥が飛び立とうとしているのが見える。離水するのにひと苦労なほど大型の鳥で、くちばしの下の部分が膨らんでいたので、野生のペリカンだとわかった。『さすがオーストラリア、ペリカンがいるよ』、妙に感心してしまった。
腹も膨らんだところで、またハイウェイを走り出す。途中海が見たくなって、主要幹線道路を外れ、海につっきり、海岸線を走ることにした。ここに来てこの旅初めて、『ああ、やっぱバイクは最高だ』なんてヘルメット越しにひとりごちながら、知らず知らず口について出た佐野元春を口ずさむどころか大声で、日本の自宅の風呂にでも入っているかごとく熱唱してしまった。
夕刻辿りついた町は穴場リゾート地のポートマッコーリーだった。新我が家[テント]持参の僕は、キャンプ生活初夜を迎えるべくキャラバンパーク(民営のキャンプ場)を探した。ここオーストラリアではキャンプ文化が日本よりも一般に浸透しているので、すぐに見つかった。でも内心はオーストラリアのお国事情もまださほど知らないので、今日一日、何をするにもヒヤヒヤものだった。いざ、キャンプサイトでテントを張ろうしたが全く慣れていないので、見かねたお隣りさんが手伝ってくれたほどだ。彼らは息子の結婚式に出るためにシドニーからマイキャンピングカーを乗用車でひいてやってきた老夫婦で、夜はBBQ(バーべキュー)とビールをご馳走になった。それにしても、大事なイベント前夜にホテルでなく、キャンピングーカーとは言え、そのキャンプサイトで一泊するらしい。日本なら普通常識として、招く側のあご足つきのご招待になるところだ。そんなこと日本でやろうものなら、、間違いなく変わり者呼ばわりされてしまう。でも彼らに言わせれば、それが「イッツ・マイ・スタイル」らしい。なんていい言葉だろうと思いながら、僕も早くそんな言葉が吐けることを願って、ビールとともにその言葉を飲み干した。でもって、オーストラリア人は老若男女問わず、しかしよくビールを飲むだ。彼らにとってはきっと、水よりもビール、ビールがなくなってしまえば文化ともども息絶えてしまうと、僕は断言できる。その夜もオージー(オーストラリア人)じいちゃんはビールをたらふく喰らい、酔いに任せた嘘に真か、「今日、コアラは地面を走るを見た」と自慢タラタラだ。僕も酔っ払ってはいたが到底信じられず、勢いでビール片手に二人して仲良し子よし近くの森に[走るコアラ]を探しに出かけた。もちろん発見できずだが、楽しいひとときであった。
翌朝もその老夫婦のキャンピングカーのなかで朝食もごちそうになった。昨夜はあまりしゃべらずニコニコばかりしていたばあちゃんから、「こうして、おまえさんと朝食をいっしょにするのもキャンプならでは何かの縁だね。無事にシドニーに帰ってきて、また元気な姿を見せにおいで、私の坊や」とホロッとくる一言。別れ際、じいちゃんはまだ、「ああ見えてもコアラは走んだ」と本気で言っていた。
『イッツ・マイ・スタイル』。ぼくなら、それを『人生楽しくなきゃ』と訳そう。
Neutral Bay→New Castle→Bulahdelah→Forster→Taree→Kew→Laurieton→Lake Cahtie→Port Macquarie(CP)
出発したシドニーはオーストラリア東海岸の下の方にあり、大陸を反時計周りに、まずパシフィックハイウェイを上へ上へと北上することにいた。理由はいたって簡単、ただ暖かいところに行きたかったからだ。
シドニーから2時間ぐらい走ったところで、緊張しているのだろうか、まだ真昼間だというのにもうクタクタになり、腹もぺこぺこだったので、ニューキャッスルという町の郊外で、昼飯にすることにした。そう言えばシドニーにいた時、この町出身の人がニューキャッスル出身だというだけでシドニーではダサダサの田舎者に見られると言っていた。どこの国でも変わらないんだなあを思いながら、そのダサいぶりを確かめるために町をスローペースで走った。それでもシドニーよりは若干時間がゆっくり進んでいるのかなというダラけた鈍さが感じらただけで、自分が田舎者だけあってか、そんな印象も僕にとってはしっぽりと落ち着ける雰囲気でだった。この町のとある河のほとりの名もない公園で、今朝出かけに持たしてもらったジャパニーズライスボール(おにぎり)をほうばった。その塩加減が絶妙で、最後の1個を食べてしまった時、もう当分食べられないのか考えると名残惜しく、汚い指先をぺろぺろ舐めたほどだ。そのおにぎりを包んであったスカーフをバックミラーに結びつけた。慣れ親しんだ過去との唯一の繋がりように思え、行く先の支えにでもなればと考えたからだ。遠く方で水面から鳥が飛び立とうとしているのが見える。離水するのにひと苦労なほど大型の鳥で、くちばしの下の部分が膨らんでいたので、野生のペリカンだとわかった。『さすがオーストラリア、ペリカンがいるよ』、妙に感心してしまった。
腹も膨らんだところで、またハイウェイを走り出す。途中海が見たくなって、主要幹線道路を外れ、海につっきり、海岸線を走ることにした。ここに来てこの旅初めて、『ああ、やっぱバイクは最高だ』なんてヘルメット越しにひとりごちながら、知らず知らず口について出た佐野元春を口ずさむどころか大声で、日本の自宅の風呂にでも入っているかごとく熱唱してしまった。
夕刻辿りついた町は穴場リゾート地のポートマッコーリーだった。新我が家[テント]持参の僕は、キャンプ生活初夜を迎えるべくキャラバンパーク(民営のキャンプ場)を探した。ここオーストラリアではキャンプ文化が日本よりも一般に浸透しているので、すぐに見つかった。でも内心はオーストラリアのお国事情もまださほど知らないので、今日一日、何をするにもヒヤヒヤものだった。いざ、キャンプサイトでテントを張ろうしたが全く慣れていないので、見かねたお隣りさんが手伝ってくれたほどだ。彼らは息子の結婚式に出るためにシドニーからマイキャンピングカーを乗用車でひいてやってきた老夫婦で、夜はBBQ(バーべキュー)とビールをご馳走になった。それにしても、大事なイベント前夜にホテルでなく、キャンピングーカーとは言え、そのキャンプサイトで一泊するらしい。日本なら普通常識として、招く側のあご足つきのご招待になるところだ。そんなこと日本でやろうものなら、、間違いなく変わり者呼ばわりされてしまう。でも彼らに言わせれば、それが「イッツ・マイ・スタイル」らしい。なんていい言葉だろうと思いながら、僕も早くそんな言葉が吐けることを願って、ビールとともにその言葉を飲み干した。でもって、オーストラリア人は老若男女問わず、しかしよくビールを飲むだ。彼らにとってはきっと、水よりもビール、ビールがなくなってしまえば文化ともども息絶えてしまうと、僕は断言できる。その夜もオージー(オーストラリア人)じいちゃんはビールをたらふく喰らい、酔いに任せた嘘に真か、「今日、コアラは地面を走るを見た」と自慢タラタラだ。僕も酔っ払ってはいたが到底信じられず、勢いでビール片手に二人して仲良し子よし近くの森に[走るコアラ]を探しに出かけた。もちろん発見できずだが、楽しいひとときであった。
翌朝もその老夫婦のキャンピングカーのなかで朝食もごちそうになった。昨夜はあまりしゃべらずニコニコばかりしていたばあちゃんから、「こうして、おまえさんと朝食をいっしょにするのもキャンプならでは何かの縁だね。無事にシドニーに帰ってきて、また元気な姿を見せにおいで、私の坊や」とホロッとくる一言。別れ際、じいちゃんはまだ、「ああ見えてもコアラは走んだ」と本気で言っていた。
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