義妹がすぐ被害者面をするので、本当に被害者にしてあげる事にしました
第7話
「宣戦布告とは、また強くでたものですね、メイラ様」
「これしかなかったのよ」
私の部屋で、作戦会議の真っ最中だ。今話している彼女は、私専属の使用人であるテルルだ。公爵家に仕える彼女だが、彼女もまたリーゼの被害に遭っているうちの一人で、私が心許せる人物の一人だ。
「しかし、メイラ様が聖女であったとは…」
「正直私も、自分で信じられない…」
テルルには、聖女の話について全て話した。全くついて行けていない様子だったが、無理もない。私だって飲み込めていないのだから。
「ですがメイラ様の仰る通り、それならば公爵がメイラ様に婚約を持ちかける、確かな理由となります」
「ええ、間違い無いと思う」
情報が少ないながらも私が聖女であると確信したのは、やはりそれが理由だ。そんなことでもなければ、公爵が名も知らぬ平民に婚約を持ちかける理由など無いのだから。
「その力は、私たちにとって大いなる武器となりましょう。この公爵家を失墜させるための」
私はうなずき、彼女に答える。ただ、私には気になることが一つあった。
「でもテルル、本当に良いの?あなたは公爵家に仕える使用人でしょ?公爵を裏切ることになるのに…」
それが私の正直な疑問だった。彼女には、本当に良くしてもらってきた。私がここにきて間もない時から、ずっと私の味方でいてくれた。私の数少ない理解者でいてくれた。だからこそ、彼女を巻き込んでしまって良いものか、そう考えてしまう。
彼女は一間置いて、俯きがちに答えた。
「…本来公爵家とは、貴族間の取り決めや秩序を維持し、もってこの国の民の為に尽くさなければなりません。ですが、今の公爵はリーゼ様への過剰な愛により、その役割を全く成していません。それどころか、リーゼ様が邪魔だと認めたものを排除し、絶対君主のようになっているとさえ思われます」
私も同感だ。このまま放っておいてはどうなってしまうことか。
「なにより私は、メイラ様に仕える使用人でございます」
テルルが、笑顔でそう続けた。私も思わず笑みが溢れる。ここに来て良いことなどほとんどなかったけれど、私にテルルを付けてくれたことだけは、あの男に感謝しなくては。
「そうと決まれば、急ぎましょう」
「はい、メイラ様」
私はテルルを連れ、部屋を後にする。公爵家を出ようとしたその時、スタン公爵が私たちの前に現れる。大変に不機嫌そうなお顔だが、私は全く怯む気はない。
「何をする気か知らんが、二週間後に正式に婚約破棄は成立する。そうなればお前はおしまいだ。せいぜい二週間の余生を楽しむんだな」
私は公爵の目を見て、笑みを浮かべながら言葉をくれてやる。
「わざわざのお見送り、感謝いたします。婚約破棄は私も望むところではございますが、その心配はご無用です。二週間後には、もう公爵家は存在しませんので」
「!?」
公爵の悔しそうな顔を見届け、私たちは公爵家を後にする。訪ね先は、モールス伯爵だ。
続
「これしかなかったのよ」
私の部屋で、作戦会議の真っ最中だ。今話している彼女は、私専属の使用人であるテルルだ。公爵家に仕える彼女だが、彼女もまたリーゼの被害に遭っているうちの一人で、私が心許せる人物の一人だ。
「しかし、メイラ様が聖女であったとは…」
「正直私も、自分で信じられない…」
テルルには、聖女の話について全て話した。全くついて行けていない様子だったが、無理もない。私だって飲み込めていないのだから。
「ですがメイラ様の仰る通り、それならば公爵がメイラ様に婚約を持ちかける、確かな理由となります」
「ええ、間違い無いと思う」
情報が少ないながらも私が聖女であると確信したのは、やはりそれが理由だ。そんなことでもなければ、公爵が名も知らぬ平民に婚約を持ちかける理由など無いのだから。
「その力は、私たちにとって大いなる武器となりましょう。この公爵家を失墜させるための」
私はうなずき、彼女に答える。ただ、私には気になることが一つあった。
「でもテルル、本当に良いの?あなたは公爵家に仕える使用人でしょ?公爵を裏切ることになるのに…」
それが私の正直な疑問だった。彼女には、本当に良くしてもらってきた。私がここにきて間もない時から、ずっと私の味方でいてくれた。私の数少ない理解者でいてくれた。だからこそ、彼女を巻き込んでしまって良いものか、そう考えてしまう。
彼女は一間置いて、俯きがちに答えた。
「…本来公爵家とは、貴族間の取り決めや秩序を維持し、もってこの国の民の為に尽くさなければなりません。ですが、今の公爵はリーゼ様への過剰な愛により、その役割を全く成していません。それどころか、リーゼ様が邪魔だと認めたものを排除し、絶対君主のようになっているとさえ思われます」
私も同感だ。このまま放っておいてはどうなってしまうことか。
「なにより私は、メイラ様に仕える使用人でございます」
テルルが、笑顔でそう続けた。私も思わず笑みが溢れる。ここに来て良いことなどほとんどなかったけれど、私にテルルを付けてくれたことだけは、あの男に感謝しなくては。
「そうと決まれば、急ぎましょう」
「はい、メイラ様」
私はテルルを連れ、部屋を後にする。公爵家を出ようとしたその時、スタン公爵が私たちの前に現れる。大変に不機嫌そうなお顔だが、私は全く怯む気はない。
「何をする気か知らんが、二週間後に正式に婚約破棄は成立する。そうなればお前はおしまいだ。せいぜい二週間の余生を楽しむんだな」
私は公爵の目を見て、笑みを浮かべながら言葉をくれてやる。
「わざわざのお見送り、感謝いたします。婚約破棄は私も望むところではございますが、その心配はご無用です。二週間後には、もう公爵家は存在しませんので」
「!?」
公爵の悔しそうな顔を見届け、私たちは公爵家を後にする。訪ね先は、モールス伯爵だ。
続
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