異世界に転生したって『あたし、お天気キャスターになるの!』
第57話 元勇者と取引するの。
九十九零。それは封印されし、レイニィの前世の名前。
(何故こいつは、誰にも喋ったことのない私の名前を知っている)
「どうだ、これで言い逃れできまい」
「誰の名前ですかそれ。変わった名前ですね」
当然聞いたこともないミスティはそう答える。
「これでもしらを切るのか。なら仕方がない。ここまで言う気はなかったが、お前が悪いのだぞ、気象予報士資格試け」
「わあー。わあー。お兄さん元勇者なの。凄いの。冒険とか沢山したの。お話聞いてみたいの。ちょうど、そこのお店で限定スィーツのフェアをやってるの。そこでお話聞くの。今すぐなの。スノウィもいくの。早くなの」
レイニィは無理矢理元勇者を店から連れ出した。
「何だったんでしょう」
「さあ」
「まあ、レイニィだからな」
「仕方ないですね」
「そうね」
残された三人は訳もわからず戸惑っていたが、レイニィだからで済ませてしまった。
一方、レイニィは、スノウィと共に、元勇者を引き連れて、近くのレストランの個室に入った。
「私はレイニィ。元勇者さん、お名前は」
「俺は、坂下隆司。お嬢ちゃん、俺は今忙しいんだ。話は後でいくらでもしてやるから、後にしてくれないか」
「忙しいって、転移者を探してるのしょ。なら、私と話をするべきよ」
「どうしてだい。君はあの娘さんの子供という訳じゃないだろう」
「妹よ。どこまでも的外れね」
「妹さんか。なら何か知っているのか」
「最初に確認しておきたいことがあるわ」
「何だい」
「転移者の本当の名前をどうやって知ったの」
「名前かい。それは首都シャインの博物館の紙に書いてあったんだ」
「それが何故、転移者の名前と結び付くの」
「それは、新しいガラスが発明されて、最初に出された製品が温度計だっただろ」
「そうね。温度計だけじゃなかったけど」
「まあそうだけど、普通、温度計が最初に販売される物の中に含まれないよな。この世界、温度という言葉さえ無かったのに。
そうなると、新しいガラスを作った者は、温度計が欲しくて新しいガラスを開発した可能性が出てくる。
しかも、出来た温度計を無料で配っている」
「それは宣伝のためよ」
「こちらの世界では、宣伝のために製品をそのまま配ったりしない」
「スノウィ、しないの」
「そうですね。普通はしませんね。損をするだけですし」
「つまり、新しいガラスを作ったのは、温度計が欲しい転移者となる。そして、博物館にあった五年前に見つかったという紙。これには名前の他に、その人物がなりたいものが書かれていた。それは、温度計を必要とする資格だった。
それで、温度計を作った人物が五年前に見つかった紙の人物と同じと結論づけたのさ」
「なるほど。やっぱり、あれはあそこで燃やしておくべきだったわ」
「それで、君はお姉さんについて何か知っていることがあるのかい」
「姉のミスティは転移者ではないわ」
「何故そう言い切れる」
「お姉ちゃんは新しいガラスを開発したけど、温度計を必要として作ったのは私だからよ。私がお姉ちゃんに透明なガラスを作ってと頼んだのよ」
「君が転移者だったのかい。でも君はどう見ても五歳くらいにしか見えない。・・・。五歳。もしかして転生者なのか」
「そうよ。私は、前世の、異世界の記憶があるの。でも、これは秘密よ。それと、博物館の紙についても、喋ったらただじゃおかないからね」
「ああ、あの不ご」
「喋るなって言ってるでしょう!」
「君が俺に協力してくれれば、そのことは忘れるよ」
「子供相手に、大の大人がえげつないわよ」
「まあ、背に腹は変えられなくてね」
「それでも、勇者なの」
「元。だからね」
「協力すれば、忘れてくれるにね」
「女神に誓って」
「わかったわ。協力するから忘れて頂戴」
「契約成立だな」
レイニィは苦虫を噛み潰したよう顔をするのだった。
(何故こいつは、誰にも喋ったことのない私の名前を知っている)
「どうだ、これで言い逃れできまい」
「誰の名前ですかそれ。変わった名前ですね」
当然聞いたこともないミスティはそう答える。
「これでもしらを切るのか。なら仕方がない。ここまで言う気はなかったが、お前が悪いのだぞ、気象予報士資格試け」
「わあー。わあー。お兄さん元勇者なの。凄いの。冒険とか沢山したの。お話聞いてみたいの。ちょうど、そこのお店で限定スィーツのフェアをやってるの。そこでお話聞くの。今すぐなの。スノウィもいくの。早くなの」
レイニィは無理矢理元勇者を店から連れ出した。
「何だったんでしょう」
「さあ」
「まあ、レイニィだからな」
「仕方ないですね」
「そうね」
残された三人は訳もわからず戸惑っていたが、レイニィだからで済ませてしまった。
一方、レイニィは、スノウィと共に、元勇者を引き連れて、近くのレストランの個室に入った。
「私はレイニィ。元勇者さん、お名前は」
「俺は、坂下隆司。お嬢ちゃん、俺は今忙しいんだ。話は後でいくらでもしてやるから、後にしてくれないか」
「忙しいって、転移者を探してるのしょ。なら、私と話をするべきよ」
「どうしてだい。君はあの娘さんの子供という訳じゃないだろう」
「妹よ。どこまでも的外れね」
「妹さんか。なら何か知っているのか」
「最初に確認しておきたいことがあるわ」
「何だい」
「転移者の本当の名前をどうやって知ったの」
「名前かい。それは首都シャインの博物館の紙に書いてあったんだ」
「それが何故、転移者の名前と結び付くの」
「それは、新しいガラスが発明されて、最初に出された製品が温度計だっただろ」
「そうね。温度計だけじゃなかったけど」
「まあそうだけど、普通、温度計が最初に販売される物の中に含まれないよな。この世界、温度という言葉さえ無かったのに。
そうなると、新しいガラスを作った者は、温度計が欲しくて新しいガラスを開発した可能性が出てくる。
しかも、出来た温度計を無料で配っている」
「それは宣伝のためよ」
「こちらの世界では、宣伝のために製品をそのまま配ったりしない」
「スノウィ、しないの」
「そうですね。普通はしませんね。損をするだけですし」
「つまり、新しいガラスを作ったのは、温度計が欲しい転移者となる。そして、博物館にあった五年前に見つかったという紙。これには名前の他に、その人物がなりたいものが書かれていた。それは、温度計を必要とする資格だった。
それで、温度計を作った人物が五年前に見つかった紙の人物と同じと結論づけたのさ」
「なるほど。やっぱり、あれはあそこで燃やしておくべきだったわ」
「それで、君はお姉さんについて何か知っていることがあるのかい」
「姉のミスティは転移者ではないわ」
「何故そう言い切れる」
「お姉ちゃんは新しいガラスを開発したけど、温度計を必要として作ったのは私だからよ。私がお姉ちゃんに透明なガラスを作ってと頼んだのよ」
「君が転移者だったのかい。でも君はどう見ても五歳くらいにしか見えない。・・・。五歳。もしかして転生者なのか」
「そうよ。私は、前世の、異世界の記憶があるの。でも、これは秘密よ。それと、博物館の紙についても、喋ったらただじゃおかないからね」
「ああ、あの不ご」
「喋るなって言ってるでしょう!」
「君が俺に協力してくれれば、そのことは忘れるよ」
「子供相手に、大の大人がえげつないわよ」
「まあ、背に腹は変えられなくてね」
「それでも、勇者なの」
「元。だからね」
「協力すれば、忘れてくれるにね」
「女神に誓って」
「わかったわ。協力するから忘れて頂戴」
「契約成立だな」
レイニィは苦虫を噛み潰したよう顔をするのだった。
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