異世界に転生したって『あたし、お天気キャスターになるの!』
第56話 元勇者が来たの。
レイニィはガラス工房に姉のミスティ、侍女のスノウィ、魔術の先生のエルダ、それと母親のウインディを集めて会議を開いていた。会議の内容は眼鏡についてだ。
この世界、眼鏡はあったものの、耳に掛けるタイプの物はなかった。
レイニィはそれを指摘し、どのようなデザインなら売れるか話し合いが行われていたのだった。
母親のウインディがいるのは、使用するのが母親の年代以上が中心になるからだ。
そんななか、一人の男性が店の方に現れた。ミスティが対応に出て行く。
「いらっしゃいませ。お好きにご覧くださいませ。何かありましたらお声をお掛けください」
ミスティが丁寧に挨拶すると、その男はミスティに尋ねた。
「この店の主人と話したいのだが」
「私が主人ですが、どのようなご用件でしょう」
「ああ、主人が開発者とは限らないのか。すまんが、このガラスを開発した者と話がしたいのだが会わせてもらえるか」
「開発したのも私ですが」
ミスティが訝しげに答える。
「何、そうだったのか。とても二十代後半には見えないが」
「失礼ですね。私は未だ十六歳ですが」
「十六歳だ。それではいくらなんでも計算が合わん。それでは転移して来た時十一歳ということになるぞ」
「仰っている意味がよくわからないのですが」
「とぼける必要はない。お前は異世界からの転移者なのだろ」
男の大声に心配になったウインディが店に顔を出す。レイニィ達も後から付いて行く。
「なんですか、あなたは。裏から少し聞いていましたが、この子は私が産んだ本当の娘ですよ。転移者のはずがありません」
「あなたが産んだ、そんなはずはないだろう。あなたはどう見ても二十代半ば、十六歳の子供がいるわけないだろう」
「まあ。二十代だなんて。私そんなの若く見えるかしら」
実際ウインディは二十代といってもおかしくない美貌を備えていた。
「お母様はもう三十代よ」
「なっ。三十代。二十代半ばにみえるご婦人が実は三十代。ということは、十代半ばに見えるこの娘は。やはりお前、本当は二十代半ばだな」
「私は十六歳だと言ってるでしょう」
見た目、年齢詐称なウインディの登場で、男は混乱状態だ。
「まあ落ち着け、勇者よ。今は、元勇者だったか」
「お前はエルダ。何故こんなところに」
「あの人、勇者なの。先生知り合いなの」
「昔、一緒のパーティーで悪魔と戦ったことがある」
「悪魔がいるの」
「いるぞ。滅多に現れないがな」
「悪魔は、このガラスのように、技術を発展させようとすると邪魔してくるんだ」
気を落ち着かせた元勇者の男が補足の説明をする。
「そうなの。危ないの」
「このガラスぐらいではどうだろうな。もっと大きな技術革新でなければ姿を現さないだろう」
エルダは元勇者に比べると楽観的に見ているようだ。
「取り敢えずは、すぐには心配ないの」
「心配する必要はない。その転移者は俺が守ってやる。だから思う存分技術革新を進めてくれ」
勇者の目的は、転移者に技術革新を進めるよう、促すことらしい。
「だから、私は転移者じゃないと言ってるでしょう」
「しらを切るな。お前の本当の名前もわかっているぞ。お前は、九十九零(つくもれい)だろ」
元勇者の話を聞いてレイニィが固まった。
(何でこいつ私の前世の名前知ってるの)
この世界、眼鏡はあったものの、耳に掛けるタイプの物はなかった。
レイニィはそれを指摘し、どのようなデザインなら売れるか話し合いが行われていたのだった。
母親のウインディがいるのは、使用するのが母親の年代以上が中心になるからだ。
そんななか、一人の男性が店の方に現れた。ミスティが対応に出て行く。
「いらっしゃいませ。お好きにご覧くださいませ。何かありましたらお声をお掛けください」
ミスティが丁寧に挨拶すると、その男はミスティに尋ねた。
「この店の主人と話したいのだが」
「私が主人ですが、どのようなご用件でしょう」
「ああ、主人が開発者とは限らないのか。すまんが、このガラスを開発した者と話がしたいのだが会わせてもらえるか」
「開発したのも私ですが」
ミスティが訝しげに答える。
「何、そうだったのか。とても二十代後半には見えないが」
「失礼ですね。私は未だ十六歳ですが」
「十六歳だ。それではいくらなんでも計算が合わん。それでは転移して来た時十一歳ということになるぞ」
「仰っている意味がよくわからないのですが」
「とぼける必要はない。お前は異世界からの転移者なのだろ」
男の大声に心配になったウインディが店に顔を出す。レイニィ達も後から付いて行く。
「なんですか、あなたは。裏から少し聞いていましたが、この子は私が産んだ本当の娘ですよ。転移者のはずがありません」
「あなたが産んだ、そんなはずはないだろう。あなたはどう見ても二十代半ば、十六歳の子供がいるわけないだろう」
「まあ。二十代だなんて。私そんなの若く見えるかしら」
実際ウインディは二十代といってもおかしくない美貌を備えていた。
「お母様はもう三十代よ」
「なっ。三十代。二十代半ばにみえるご婦人が実は三十代。ということは、十代半ばに見えるこの娘は。やはりお前、本当は二十代半ばだな」
「私は十六歳だと言ってるでしょう」
見た目、年齢詐称なウインディの登場で、男は混乱状態だ。
「まあ落ち着け、勇者よ。今は、元勇者だったか」
「お前はエルダ。何故こんなところに」
「あの人、勇者なの。先生知り合いなの」
「昔、一緒のパーティーで悪魔と戦ったことがある」
「悪魔がいるの」
「いるぞ。滅多に現れないがな」
「悪魔は、このガラスのように、技術を発展させようとすると邪魔してくるんだ」
気を落ち着かせた元勇者の男が補足の説明をする。
「そうなの。危ないの」
「このガラスぐらいではどうだろうな。もっと大きな技術革新でなければ姿を現さないだろう」
エルダは元勇者に比べると楽観的に見ているようだ。
「取り敢えずは、すぐには心配ないの」
「心配する必要はない。その転移者は俺が守ってやる。だから思う存分技術革新を進めてくれ」
勇者の目的は、転移者に技術革新を進めるよう、促すことらしい。
「だから、私は転移者じゃないと言ってるでしょう」
「しらを切るな。お前の本当の名前もわかっているぞ。お前は、九十九零(つくもれい)だろ」
元勇者の話を聞いてレイニィが固まった。
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