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異世界に転生したって『あたし、お天気キャスターになるの!』

なつきコイン

第13話 透明な管が必要なの。

 レイニィ達は完成した湿度計をミスティの部屋から運び出し、レイニィの部屋に運んでいた。歩きながらミスティはレイニィに聞いた。
「レイニィは他にも便利な道具を作るのかな」
「作りたいけど、材料がないの」
「ここに無い物でも私が見つけてきてあげるよ」
「本当。それじゃあね。透明な管がほしいの」
(透明な管があれば温度計が作れる。それだけじゃない。気圧計も作れるわ)

「透明な管か。・・・。透明といえば水晶だけど。どの位の長さが必要なの」
「これ位なの」
 レイニィは両手を広げて見せた。実際にはそこまでの長さは必要なかったが、気圧計の事を考えたらある程度の長さが欲しかった。この世界で水銀が簡単に手に入るかわからない。

「それだけの長さとなると、水晶を削って作るのは無理ね。あと可能性があるとすると・・・」
「透明なガラスができるはずなんだけど、作り方がわからないの」
「それは女神様の加護による知識なの」
 ミスティは驚いて立ち止まり、レイニィの肩を掴んだ。

「うん。そうだけど。中途半端な知識でごめんなの」
「そんなこと気にしなくていいわ。そうか。透明なガラスが作れるのか。これは研究のしがいがあるわ」
 ミスティは研究の足掛かりを見つけて、少し興奮気味だ。

「お姉ちゃん、透明ガラスを作ってくれるの」
「そのつもりよ。だけど直ぐには無理だわ」
「そうだよね。簡単にはできないよね。何か透明な管ないかな。なの」
 レイニィは残念そうに言うと、再び歩き出す。

 そこにたまたま次男のドライが通りかかった。剣を携え、汗をかいているところをみると、剣の鍛錬から戻ったところのようだ。
「なんだ、レイニィは透明な管が欲しいのか」
「そうだけど。あるの」
「心当たりがあるんだけど、どの位の大きさのものが必要なんだ」
「これ位なの」
 前と同じように両手を開いて見せた。
「流石にその大きさのものはいるかわからないけど、その半分ぐらいでもいいか」
「うん、半分ぐらいでも繋いで使えばいいから。でも、透明な管がいるの?」
「おう、透明な大蟻(ジャイアントアント)がいるらしい。それの脚なら透明な管だ」
 大蟻(ジャイアントアント)はアリの化物である。大きさは一メートル程。女王は二メートルを超えることもある。普通は黒色か赤茶色。透明なのは突然変異である。

「え、虫の脚なの」
「虫の脚は嫌か」
「うーん。我慢するの。何処にいるの」
 レイニィは前世で幼少の頃を田舎で過ごしたため、虫が苦手というわけではなかったが、温度計の製造過程を考えたときに少し嫌な気分になった。

「ここから西に一日、南に半日歩いた所にある小山に巣を作っているらしい」
「馬車で行けば一日で着くかしらね」
 ミスティがドライの言葉を補足する。

「そうだな、街道の側らしいから馬車でも行けるだろう」
「そう。ならお父さまに馬車が出せないか頼んでみるの」
「おいおい、まさか自分で行く気か」
「そうなの」

「レイニィ。ジャイアントアントは一メートル位ある化物なんだぞ。どうやって仕留めるつもりだ。レイニィが行ったら逆に喰われちゃうぞ」
「あ、そうか。アリだと思ったから、簡単に捕まえられる気でいたの」
「ははは。そんな小さかったら、長い管は取れないだろ」
「それもそうなの。でもどうしよう」

「俺が行って取ってきてやるよ。試練の足しになるし、可愛い妹のためならそれぐらい屁でもない」
「本当。ありがとうなの。でも、それならあたしも一緒に行くの」
「うーむ。でも危ないぞ。それに一泊になるだろうし」
「お兄ちゃんがいれば平気なの。それにお兄ちゃんのかっこいいところも見てみたいの。」
「そうか、じゃあ一緒に行くか」
「やったー。お泊り楽しみなの」
 ドライはレイニィに甘かった。

「ドライ。そんな約束して大丈夫なの」
「姉さん、大丈夫だよ。あの辺りはよく行くんだ。そんなに心配ないよ」
「じゃあ、あたしお父さまに話してくるの」
 レイニィは既にウキウキ気分で、父親の執務室に向かって走り出す。

「あ、こらレイニィ。この湿度計どうするの」
「部屋に置いといてなの」
「まったく、しょうがない子。ドライ、くれぐれも危険のないようにね」
「わかっているさ」

 三日後、レイニィ達は透明アントを狩に、屋敷を出発したのだった。


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