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《完結》勇者パーティーから追放されたオレは、最低パーティーで成り上がる。いまさら戻って来いと言われても、もう遅い……と言いたい。

執筆用bot E-021番 

15-5.勇者にコキ使われて過労なんですか?

「これ、食べれますかね」
 と、マグロが床に落ちていたゴブリンの腕をつかんでいた。勇者が倒したモンスターの残骸だ。


「いや。やめといたほうが良いんじゃないかな。たぶんまた、お腹壊すよ」


「では、やめとくのであります」
 と、素直にゴブリンの腕を投げ捨てていた。


 前回、光るキノコを食して、お腹を壊したことが堪えているのかもしれない。
 なんでもかんでも口に入れようとしない姿は、マグロの成長である。


「しかし食べ物は問題だな。水が手に入っても、食糧がないんじゃ、いずれオレたちは死ぬことになるぜ」
 ガデムンがそう言った。


「ですね」
 と、オレはうなずいた。


 飢餓でまっさきに死ぬのは、おそらくマグロだ。1日1食抜いただけでも、ゲッソリやつれることだろう。


 このさいゴブリンの腕だろうが、オークのキンタマだろうが、食してみるべきだろうか。それはもう最終手段だ。


「それでは、マグロはすこし眠るのでありますよ」


「まさか、睡魔スリープの魔法をかけられたのか?」


「いえ。そうではなくて、眠っていれば空腹をまぎらわせるので」


「なるほど」


「それでは、おやすみなさい」


 ぐぅ。
 寝てしまった。


 もしや、このまま起きないのではないか、と心配になった。近づくとマグロは目をバチッと勢いよく開けて言った。


「エッチなことをしようとしたら、殺します」
「いや。心配になっただけだから! 今まで旅してきたときも、そんなことした覚えはないだろ!」


「……そうですね」
 と、マグロはもう一度目を閉ざした。


 そんなにオレって信用されてないんだろうか?


 っていうか、オレの予定ではそろそろ、女性陣が、「ナナシさま、抱いてくださいませ」と目をハートに抱きついてくる時分のはずであった。


 勇者パーティから追放されて、ハーレム冒険譚をはじめるつもりだった。いっしょに旅してきたし、好感度も上がっているはずである。


 ははぁ。
 と、いうことは、マグロの冷ややかな態度も、おそらくは演技なのだろう。


 胸裏では、
(ナナシさまステキ。抱いて欲しいけど、素直に言えない!)
 と、なっているはずだ。


 愛いヤツめ。
 きっとそういう類のツンデレに違いない。


 不意に――。
「くぅ」
 と、眠りにつきはじめた男がいた。


 それはまさに昏倒するというような勢いだった。強化術師のクロコである。


「おい、どうした?」
 と、ガデムンがクロコを揺すったのだが、起きる気配はなかった。尋常ではない眠りのつきかたである。


 閉じ込められて、どれぐらい時間が経過したのかはわからない。だが、まだ夜更けという感じではない……と思う。


 たぶん。オレの感覚で言えば、『魔塔祭典』がはじまってから、おおよそ3時間ないし4時間といったところだ。すると今は、夕刻といったところか。何はともあれ、そんな眠り方をするような時間帯ではない。


「もしかして、勇者にコキ使われすぎて、過労だったんじゃないのか? カワイソウに」


「そんなはずないでしょ。多少は疲れてたかもしれないけど、コキ使ったような覚えはないわよ」


「じゃあ、なんであんな熟睡してるんだ。うちのネニだって、あそこまで見事な爆睡はかまさないぞ」


 そうは言ってみたが、ネニなら、もっと迅速な眠りを見せてくれそうだ。


「もしかして、睡魔スリープにかけられたんじゃないの?」


「今の一瞬でか?」


「だって、ふつうの眠り方じゃなかったわよ」


「だとすれば……」


 クロコのすぐ近くにいたのは、ガデムンとタンポポンの2人だった。
 タンポポンは美人で露出の多いお姉さんだから、悪いことをするはずがない。


 ってこては――。
「ヤッパリあなたですか!」
 と、オレはガデムンを指差した。


 ガデムン相手に口調が改まるのは、怖いからである。
 臆病だと罵るヤツがいるなら、言い返してやりたい。岩みたいな顔をした、スキンヘッド大男を相手に、無礼な物言いが出来るのか! 
 犯人だと指摘した、オレの勇気をむしろ称賛してもらいたいものだ。


「違げェよ!」
「ごめんなさい!」


 ヤッパリ怖い。


「いや。怒鳴って悪かった。でもオレは何もやっちゃいないぜ。見ての通り、前衛の戦士なんだ。魔法なんて使えないし、今、誰かが魔法を使ったような形跡もなかっただろ」


 まぁ、見ている感じでは、誰も魔法を使ったようには見えなかった。でも、クロコのすぐ近くにいたガデムンと、タンポポンの2人なら、可能だったようにも思える。


 じゃあ、タンポポンか? いやいや。オレのことをホめてくれた、このお姉さんが悪い人のはずがない。


 だったら勇者か?
 ありうるぞ。


 実はこの勇者、何か悪いことを企んでいるかもしれない。
 勇者のことだ。オレたちの目を盗んで、何かすごい魔法を使った可能性もある。


「でも、これでハッキリしたことがあるわ」
 と、勇者が言う。


「なんだよ」


「眠らせているのは、第三者なんかじゃなくて、このなかの誰かだってことよ」


「なんでそうなるんだ」


「だって、今の一瞬で眠らせるような距離にいたのは、ここにいる者たちだけでしょ」

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