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《完結》勇者パーティーから追放されたオレは、最低パーティーで成り上がる。いまさら戻って来いと言われても、もう遅い……と言いたい。

執筆用bot E-021番 

9-2.なんで勇者パーティー襲ってんです?

 人狼ウェア・ウルフになったネニは、驚異的な身体能力をしていた。建物の屋根から屋根へと跳び移って行くのだ。


 オレも同じように跳び移って、後を追いかけた。ネニのようにカッコウ良くはいかないが、幸いにも人間にも通れそうなルートだった。


 後ろを付いてきているオレの存在に、ネニは気づいているような気がした。


 声をかけてみるべきか?
 どうして人狼になっているんだい?
 そう尋ねてみるべきか?


 しかし今のネニに理性はあるのだろうか。人狼の精神状態が、どういうものなのかわからない以上は、迂闊に声をかけることも出来ない。
 万が一、オレのほうに襲ってきたら、どうしようも出来ない。


 今度は都合良く、勇者が助けに来てくれることもないだろう。むろん、前世の記憶だとか、強化術師として覚醒するだとか、そんなことが起こらないのも、薄々は勘付いているのだ。


 ネニはジッと裏路地を見下ろしていた。


 何が見えるのだろうか?


 しばらくそうしてくれていたから、追いつくことが出来た。
 オレは恐るおそるネニに接近した。人狼の背中は、なんて荒々しいのだろうか。毛の下で筋肉が盛り上がっているのがわかる。手の先からは、簡単に人の命を消し去れる爪が伸びていた。


 声をかけてみるべきか逡巡しているあいだに、ネニは見下ろしていた裏路地へと跳びこんでいった。


「あ、ちょっ」


 ネニが見下ろしていた裏路地を、オレも覗きこんでみることにした。


 そこには勇者パーティがいた。


 前衛剣士の勇者。
 前衛盾役タンクのカイト。
 後衛魔術師のウィザリア。
 そして新規参入したという強化術師のゴルド。


 かつてゴルドがいた場所にオレもいたはずなのだ。グスン。なんて感傷的オセンチになっている場合ではない。


 ネニはその勇者パーティに襲いかかっていたのだ。


 勇者たちは、惨殺事件のために夜回りでもしていたのだろう。


 なにゆえネニが、その勇者パーティを襲うのか。意味がわからん。何か因縁でもあるのだろうか。


 このままではネニが返り討ちに合うのは目に見えている。


 オレはしばし屋根上から、観戦を決め込むことにした。人狼となったネニは、とてもじゃないがFランク冒険者とは思えない動きをしていた。


 勇者の剣をかわし、ウィザリアの魔法を爪で切り裂いていた。ヤッパリ人狼に変身すれば、運動神経とかも上がるみたいだ。


 しかし4対1である。
 あまつさえ相手は勇者パーティだ。


 ネニの攻撃はすべて、カイトに防がれる。あの盾役はそう簡単に崩せない。歩く城塞という異名をつけられているぐらいだ。


 そしてネニが疲れを見せはじめたころに、勇者が剣を脇に構えた。そして前傾姿勢になる。あの構えはマズイ。


 勇者の奥義、斬撃波、が出る。脇に構えた剣を大きく横に薙いで、衝撃派を発生させた。剣技と魔法による合体技である。


 衝撃破がネニに襲いかかる。このままでは直撃だ。


 咄嗟のことだった。オレがどうしてそういう行動を取ったのか、オレ自身でもよくわからない。オレはネニに強化術をほどこした。


「金剛鎧」


 オレの強化術を受けたネニのカラダは、勇者の斬撃を弾いた。


「この強化術――ッ。まさかッ、なんであんた人狼ウェア・ウルフのこと守ってンのよ!」


 勇者はすぐさまオレの存在に気づいて、そう声を張り上げた。


「いや、その……」


 屋根上から観戦を決め込んでいたオレは、首を引っ込めた。


 さすがに勇者たちが傷つくのは見たくない。以前までオレが世話になっていた――いや違った――世話をしてやっていたパーティなのだ。


 さりとて、ネニが傷つくところだって見たくはない。


 ネニは跳躍した。


 屋根上にいるオレのところまで跳んできた。


 こうして前にすると、ヤッパリ怖い。正体がネニだとわかっていても、スーッと全身が冷たくなるような感覚を受ける。


「あ、あの、ネニ……さん?」


 ネニはオレのことを担ぎ上げると、天高く跳びあがったのだった。
 あ、オレ、もしかして死ぬかも?

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