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《完結》勇者パーティーから追放されたオレは、最低パーティーで成り上がる。いまさら戻って来いと言われても、もう遅い……と言いたい。

執筆用bot E-021番 

8-1.こんなときにノックするの誰ですか?

 スバレイという都市である。


 都市の中央には、スバレイのダンジョンと言われる塔が生えている。ここも、もとは前線町として発達したのだ。
 前線町のなかでも、交易が盛んで、巨大な都市としてにぎわっていた。


 なにゆえオレたち《炊き立て新米》が、こんなところにいるのか。別段の理由はない。ただ道なりにあったからである。
 いつも理由があって行動しているわけではないのだ。


 強いて理由をあげるなら、便利だからだ。


 ダンジョンの近くに宿を取ることが出来た。スバレイのダンジョンも難易度はそう高くない。前線町ということもあって、武具の商売も盛んだし、ギルドも大きい。飯も美味いし、他へ行く理由がない。


「それではマグロたちは、買い出しに行ってくるのでありますよ」


 宿。
 部屋。


 マグロたちは出かける準備をしていた。オレはまだベッドで横になっている。それほど高値の宿ではないくせに、寝心地が良い。


「くれぐれも、食べ物ばっかり買い込むんじゃないぞ。傷薬とか、砥石とか、そういったものを買ってくるんだからな」


「了解であります。カラアゲと肉まんじゅうでありますね」


「言ってねェ」


「いちいち文句を言うなら、いっしょに付いてくれば良いではありませんか」


 肉を刻んだものを、小麦の粉でつつんで蒸した、肉まんじゅう、と言われる料理がスバレイの名物だった。


 温かいうちに食べるほうが美味いが、携帯食としても使えるから、冒険者が愛食している。


 ほかにも、干し肉やら握り飯やらブリトーといった携行食の文化が発展している。


「オレはまだ眠いから、留守番しておくよ」


 買い出しなどという雑用を、なにゆえオレがやらねばならないのか。行ってくれると言うのならば、オレは待っていたい。


「では行ってくるのでありますよ」


「おい、ヨダレたれてんぞ」


「はっ。これは失礼しました」
 と、マグロは口元を、服の袖でぬぐっていた。


 この様子だと、食い物ばっかり買い込んでくるつもりだろう。


 オレの高度な読心術をもってすれば、マグロの考えていることなど、お見通しである。


 しかしまぁ、こう見えてもマグロはパーティのリーダーをつとめているのだ。手持ちの魔結晶をすべて、食べ物に費やすなどという愚かなことはしないはずである。……しないよな?


「それでは、イザ行ってくるのであります」
 と、マグロは、デコポンとネニを率いて宿の部屋を出て行った。


 さてさて。


 みんなが買い出しに行っているあいだに、オレは二度寝を決め込もうとしましょう。


 うふふ。ていよくお使いを頼まれやがって。扱いやすい小娘である。
 すこしずつオレの思い描いている理想の生活に近づいている。マグロたちに働かせて、オレは宿でユックリしておけば良いのだ。


 おふとん気持ちいい。オレの体温によって、心地の良いぬくもりを帯びえている。掛布団を鼻の下までかぶりなおしたときである。


「ただいまなのです」


「早いな、おいっ。なに? 忘れ物か?」


「ネニが眠ってしまいました」
 と、マグロはネニを背負っていた。


「突発的だな! さっきまで起きてただろ!」


「すぐに寝ちゃうのです。ネニは置いて行くのですよ」


 背負っていたネニのことをベッドに投げ捨てると、マグロはすぐまた部屋を出て行った。ネニのかぶっていた帽子が脱げて、床に落ちていた。いかにも魔女でございって感じの帽子だ。


 オレはわざわざベッドから出て、拾ってやることにした。ネニの眠っているベッドのわきに置かれているサードテーブルの上に、帽子を置いた。


 ふむ。
 ネニの寝顔を見つめた。白銀の髪。透き通るような白い頬には、かすかに朱がさしこんでいる。


 美少女である。


 マグロめ。飯のことで頭がイッパイで、ついついオレが男であるということを忘れてしまったようだ。


 この部屋にはネニとふたりきりである。しかもネニは眠りこけている。なんならこの部屋には少女特有の甘い香りがたちこめている。


 こんな場面シチュエーションになれば、やることはひとつである。


 魔結晶の都合上、オレは少女たちと同じ部屋で寝ることが多い。マグロたちも冒険者ならば、大部屋で雑魚寝したりする経験もあっただろうし、野宿する経験もあっただろう。


 まぁ、ふつうの人よりかは、異性と同じ部屋で寝るということに抵抗はないようだ。オレも、そこのところは弁えていた。


 強引に襲ったりするのは、人としてどうかと思うし、マグロたちからの厚い信頼にヒビを入れてしまいかねない。


 オレは人畜無害な男なのだ。


 マグロ相手ならばオレの筋力で襲っても、返りうちにされる可能性すらあるから――とか、そんな理由で今まで手を出して来なかったわけではない。


 しかし――だ。


 いまは、オレとネニのふたりである。ネニは華奢な体型をしているし、オレでも組み伏せられるであろう。


 襲うというところまではいかないが、おっぱいを揉むぐらいのことをしても、誰にもバレないのではなかろうか。


 ネニは魔術師のローブを着ている。そのローブのなかには薄いシャツを着ていた。シャツに手をかける。すこしズらす。ヘソが見えた。白くてスベスベしていそうな肌だ。


 ドクン、ドクン。
 動悸を強く感じる。


 その服のなかに手を入れて、胸まで忍ばせてしまえば、おっぱいは目の前である。つつましい性格のオレでも、それぐらいの度胸は持ち合わせている。


 さて、やってやるぞ、と意気込んだときである。


 コンコン……。


 ノック。ネニが起きてしまってはいかんと思い、オレはただちにその場を離脱ことにした。不審に思われないように即座に、居ずまい佇まいを正した。
 幸いネニはまだ眠りこけている。


「はいはい。チョット待ってくださいよ」


 こんな大事なときにノックをしてくるのは、いったいどんな不届きものか。空気の読めないヤツめ。その顔を見定めてやろうではないか。


 トビラを開ける。


 ブロンドの長髪に、鋭い目をした女性。とんでもない美人かと意表をつかれたのだが、よくよく見てみれば、勇者である。


 また出やがった。

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