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《完結》勇者パーティーから追放されたオレは、最低パーティーで成り上がる。いまさら戻って来いと言われても、もう遅い……と言いたい。

執筆用bot E-021番 

5-2.勇者パーティーは、困ってるんだろ?

 逆落とし穴に引っかかったデコポンを、助けに行きたいので、協力してください。


 頭を下げるしかなかった。


 さすがにデコポンを見捨ててまで、意地をつらぬき通すほどクズではない。っていうか、オレがクズだったことなど1度もない。


「戻る戻らないの話はさておき、人命もかかってるみたいだし、今回ばかりは無条件で協力してあげるわ」
 と、勇者のほうも折れてくれた。


 デコポンが連れて行かれたであろう上層に向かうことにした。


 道中。


 蔓のはびこる石造りの通路。
 道幅は、通路と呼ぶにはあまりに広い。発光するキノコが照明になっている。踏みつぶすと、グチュ、と心地の良い感触とともに、光る液体をまきちらした。


「しかし、あんたみたいなのを受け入れてくれる女の子がいるなんて、世の中広いもんね」
 勇者は、オレの顔を覗きこむようにしてそう言った。


「はぁぁ? オレみたいなってのは、どういう意味だよ。オレはモテるんだからな」
 と、オレは目をそらした。


 目の前にいるのは、オレを追放した、憎き勇者である。が、まぁ、キレイな女性には違いない。あんまり顔を近づけられると照れ臭い。チョットなんか甘い良い匂いもする。


「モテるの?」


「えっと……そりゃ、まぁ。モテるさ。モテるに決まってるだろ」


「なんか、その……誰かと手をつないだりした?」


 と、勇者は胸の前で、両手の人差し指を突き合わせる仕草をしながら尋ねてきた。その仕草の意味はなんだろうか? 隙あらば殺すぞとか、そういう意味だろうか。


「手をつなぐってなんだよ」


「だから、ディベートみたいなことよ」


「ディベートじゃなくて、デートな。なんでモテるからって討論ディベートするんだよ。意味も違えば、言葉もぜんぜん合ってないんだがッ」


「そうそう。デートよ」


「そりゃまぁ……デートぐらい、したかもな」


「ふーん」
 と、訝るように勇者はオレの顔を見つめてくる。


 青い水晶みたいな目を縁取る黒々としたマツゲが上下にしばたいていた。


「な、なんだよ」


 顔が近い。
 身を引いた。


「怪しいわね」


「怪しいのはそっちだろうが。オレのことを探ってきやがって、オレのことを探るってことはつまり、勇者パーティが上手くいってないから、戻って来て欲しい――ってことだろ」


「違うって言ってるでしょうが」


「まぁ、せいぜい強がっていれば良いさ。いずれ君たち勇者パーティは、オレに泣きついてくることになるだろうがな」


「……」


 勇者はふてくされたような顔をしていた。さすがに怒ったのかもしれない。


「な、なんだよ。怒りたいのは、こっちのほうだぜ。勇者パーティとして尽力していたのに、役立たずだからって追放しやがって」


「そりゃ仕方ないでしょうが。自分ではモンスターを倒さないし、荷物を持とうともしない。仲間に行かせるくせに、自分はダンジョンに行こうとしないし、買い出しだって行ってくれない。そのうえ私が大切に保管していたプリンを、勝手に食べちゃったじゃない。さすがに幼馴染の私でも、浣腸袋の屁が切れたわ」


「堪忍袋の緒な」


「なんでも良いでしょ」


「良くねェッ。いったいどういう間違いかたしたら、そうなるんだよッ。ほかの男の前で、浣腸袋の屁とか言うなよな! ドンビキされるぞ!」


 そうだ。
 オレと勇者は幼馴染なのだ。
 なのに追放するなんて、あんまりである。


「仕方ないだろ。美味そうだったんだから。プリン」


「でもまぁ、謝るって言うのなら、パーティに戻してあげても良いわよ?」
 と、勇者が流し目を送ってきた。


「いいや、けっこうだ。むしろそっちこそ、戻ってきてくださいって言うのなら、まぁ、考えてやらないこともないが?」


 ひとたび戻って来てください、と頭を下げれば、そのときが、貴様の最期だ。


 一度は言ってみたいランキングの頂点に輝く、あのセリフ。「今さら戻って来いと言われても、もう遅い」と言い放ってやるのだ。


「このバカ」
 と、小さく罵倒された。


 言い返してやりたいところだが、ここは我慢である。
 あまり勇者を怒らせては、デコポン救出に協力してくれなくなるかもしれない。

「《完結》勇者パーティーから追放されたオレは、最低パーティーで成り上がる。いまさら戻って来いと言われても、もう遅い……と言いたい。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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