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《完結》勇者パーティーから追放されたオレは、最低パーティーで成り上がる。いまさら戻って来いと言われても、もう遅い……と言いたい。

執筆用bot E-021番 

4-3.サインなら、オレが書いてやろうか!

「それにしても、どうして勇者パーティが、こんなヘンピなところに来ているのじゃろうか?」


 ダンジョンのなか。初心者の塔とはチッとばかり様相が違っている。石造りであることに変わりはないが、壁面には蔓がはびこっている。


 足元にはあの発光キノコが生えていて、それが明かりの役目をはたしていた。
 このあたりに自生しているもので、抜いても光り続けている。そのためいくつか抜いて持ち歩いていた。
 もちろんマグロみたいに、食べたりはしない。


「魔結晶ゴーレムの目撃情報があったらしいよ」


「魔結晶ゴーレム?」


「そう。魔結晶のカタマリのゴーレムだよ。倒せば大量の魔結晶が手に入るからな。勇者パーティも無視はできないと思ったんだろう」


「大量の魔結晶とは、いったいどれほどなのじゃろうか?」


「一生楽して暮らせるぐらいかも」


「ほお!」
 と、デコポンが声をあげた。


 夢が広がる。


 魔結晶ゴーレムの魔結晶を独り占めして、スローライフをはじめるのも悪くはない。


 べつに冒険者として成りあがらなくても良いのでは? 勇者たちから『戻ってきてくれ』と言われても、スローライフを送れるぐらい財産に余裕があれば、『今さらもう遅い』と言い放っても、負け惜しみには見えないはずである。


《炊き立て新米》パーティの3人を育てるより、はるかに楽に思えてくる。


「でもまぁ、魔結晶ゴーレムはそんなに簡単に見つかるものではないよ。ほかの冒険者も狙っているわけだからね」


 現実はそんなに甘くはないのだ。


「そうじゃなぁ。勇者パーティが来ているならば、せめてサインでももらえぬじゃろうかな」


「あぁん? サインだぁ?」


「な、なんじゃ?」
 と、デコポンが後ずさった。


「オレを追い出した連中から、サインをもらおうとしてるわけ? オレ、傷つくよ? マジで泣いちゃうよ? なんならオレがサインでも書いてやろうか? こう見えてもオレも、勇者パーティだったわけだし。顔か? 顔にでも書いてやろうかッ」


「でも、お荷物と言われておったんじゃろう」


「ぐはっ」
 心臓に突き刺さる言葉を、容赦なく言い放ってくる。


「まぁ、マグロからは、ナナシィは優れた強化術師じゃと聞いておる。お荷物というのは、風評被害なのであろう」


「マグロがそんなことを言っていたのか! なんだよ、もぅ。ヤッパリ見抜けるヤツは見抜くんだよなぁ。オレにはわかってたぜ。マグロは人を見分ける目を持ってる。うん、うん。勇者パーティからサインをもらおうとしている、どこぞの誰かとは違うなー」


「な、なんじゃ、私が悪かったのじゃ。そんな顔で睨まれると、怖いではないかー」
 と、デコポンは大盾で鼻から下を隠すようにしていた。


 どうやら怖い顔をしてしまっていたようだ。端麗な容姿が台無しである。手でもみほぐすようにして、表情をやわらげた。


「まぁ、冗談はさておき、オレが追放されたのは、モンスターの討伐数をあげられないからだな」


「たしかにギルドでは、討伐数の順で優れた冒険者ということになっておるな」


 その頂点に輝く者に、勇者、の称号が与えられる。パーティとしてのランキングもあって、勇者パーティは現在でも頂点に君臨している。


「オレがいれば、パーティとしての討伐数に影響が出るだろ。そうなるとランキングにも影響してくるんだそうだ」


 ランキングが下がれば、勇者パーティの沽券にかかわる。で、追放されたのである。


「しかしホントウに優秀ならば、勇者たちも手放さぬと思うがな」


「つまりだな。勇者たちは、このオレが優秀であり、必要不可欠な人材だということすら見抜けないヤツらだということだ」


「そういうこともあるんじゃろうかなぁ」
 と、デコポンが首をかしげていた。


「まぁ、疑念をおぼえるのもムリはない。そのうちオレの実力がホンモノだということを、実感することだろうからな」


 返事がない。


「あれ? デコポン?」


 いない。
 天井に穴が開いていた。
 そこから蔓が伸びてきている。
 デコポンが連れ去られて行った。

「《完結》勇者パーティーから追放されたオレは、最低パーティーで成り上がる。いまさら戻って来いと言われても、もう遅い……と言いたい。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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