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《完結》勇者パーティーから追放されたオレは、最低パーティーで成り上がる。いまさら戻って来いと言われても、もう遅い……と言いたい。

執筆用bot E-021番 

4-2.ロリババァだったら、良かったのに!

 場所は、トラシュの森にあるダンジョンの前線町である。ダンジョンというのはキノコみたいに、ニョキニョキ生えてくる。


 その周囲に冒険者たちは、前線拠点を置くことが多い。
 ダンジョンと拠点の位置は近いほうがいい……って発想で、発展すると、ときおりダンジョンの周りに、町そのものが出来ちゃうことがある。
 それが、前線町である。


「しばらく安静にしていれば、たぶん大丈夫なのですよ」


 トラシュの森というのは、背の高い木々に覆われている。草木生い茂った樹海には、陽光など届くわけもない。かわりに発光するキノコが各地に生えている。幻想的っちゃ幻想的である。


 そんな町中にある宿の1室を借りていた。つい先日、スケルトン・デスロードを倒したことによって、懐が潤っているかと思いきや、マッタクそんなことはない。


 この《炊き立て新米》パーティの3人は、やたらと食う。食費がかさむので、魔結晶が貯まらないのである。……堪んねぇ。


 ベッドに、ネニとマグロの2人を寝かせた。


 宿のなかも薄暗いのだけれど、部屋の隅々に発光するキノコが生えているため、完全な暗闇ではない。


「さて、困ったことになった」


「何がじゃ?」


「ゆいいつ我がパーティで戦力として使うことが出来たマグロがこの通り、キノコを食ってノックダウンである」


「うむ」


「ネニは眠っておられる」


「うむ」


「しかしながら、我がパーティは日々の食費のために、休んでいる暇はないのだ」


「どうするのじゃ?」


「そこで今日は、デコポンにダンジョンに行ってもらうことにする」


「のじゃー」
 と、デコポンは必至にかぶりを振っていた。真ん中分けにしている青い髪の毛が、左右にぶんぶん揺れている。


「おう、ヤル気は充分みたいだな」


「違うのじゃ。私には戦うことなんて出来ないのじゃ。だって盾役だし」


「盾役でも、戦うことぐらいは出来るだろ。案ずることはない。オレの強化術で強化してやるから」


「うぅぅぅっ」


「魔結晶がなければ、飯も食えんぞ?」


「し、仕方ない。やってみるのじゃ」


「おう。その意気だ」


 ネニとマグロを宿にあずけて、オレとデコポンの2人はダンジョンへと向かうことになった。


 この発光するキノコの生い茂る町の、その中央にダンジョンは生えていた。
 その道中では、前線町らしく多くの冒険者が行き交っていた。血を流している冒険者を見るたびに、「ひぃ」とか「ふぇ」とかデコポンは情けない声をあげていた。


「ひとつ不思議なことがあるんだけれども」
 と、オレは切り出した。


「なんじゃ?」


「デコポンは、ビビりなんだろ?」


「いいや。私はビビりなんかではないのじゃ。なにをトンチンカンなことを言っておるんじゃ?」


「あ、そうなんだ。後ろにクマがいるよ?」


「びぇぇぇーっ」
 と、デコポンは盾に閉じこもってしまった。盾が大きくて、カラダが小さいから、完全にカラダが隠れてしまっている。


「ウソだよ。ビビりじゃないって言うから、チョット驚かしてみただけだ」


「ナナシィは性格が悪いのじゃ」


「足元に蛇いるよ?」


「びゃぁぁっ」
 なにを言っても、すぐに驚く。なんだか面白くなってしまった。


 当の本人は真剣にビビっているのであって、息を荒げて、目に涙を浮かべている。その表情を見ると、嗜虐的な興奮をおぼえてしまう。


 もっとイジメてやろうかしら……なんてイタズラ心が顔を覗かせたのだが、さすがにカワイソウだと慈悲の心が勝ってしまった。


「そんなにビビりなのに、よく冒険者になろうと思ったな」


「冒険者は、稼ぎが良いのじゃ」


「たしかに、手っ取り早く魔結晶を手に入れるには、冒険者が良いかもしれないけどさ。死ぬかもしれないぜ」


 水売りだとか、パン屋だとか、お花屋さんだとか、飲食店だとか、いろいろと選択肢はあったと思う。


「実は、私はデコポンという名前ではないのじゃ」


「え? 偽名?」


「マグロにつけてもらった仇名なのじゃ」


「本名は?」


「ディ××ク××ポゥ××ン」


「えっと、なんて言ったのか、聞き取れなかったんだけど」


 デコポン。
 そう聞こえなくもない。


「人間ではないのじゃ。私はハーフエルフなんじゃ。だから使う言語も人間とはチョット違っているのじゃよ」


 デコポンはそう言うと、青い髪を持ち上げて見せた。髪の毛で隠されていてわからなかったが、たしかに耳が人よりも尖っている。エルフの身体的特徴だ。


「なるほど! じゃあ14歳というのもウソだな。エルフってことは、140歳ぐらいなんだろ」


「なっ。違う! ワシは決して140歳なんかではない! ピッチピチの14じゃ」


「あ、今、ワシって言った?」


「いってない!」


「そうなんだ。ロリババァじゃないんだねー」


「なんでそんなに悲しそうなんじゃ?」
 と、首をかしげている。


「ほら、ロリババァって、見た目はロリだけど、年齢はババアだから。いろいろとエッチなことしても許されるだろ。合法的にヤれるわけで。なんならオレのことをリードしてくれるかもしれないし」


「ナナシィは、そ、そんなオゾマシイことを考えていたのか!」


「冗談だよ、冗談」


 なかば本気だったけど。
 オレはこんなにもイケメンなのに、なぜかいまだに童貞なのである。女性経験がないのだ。ロリババァなら、優しくリードしてくれるかと思ったんだけど、マジで未成年なら、まぁ、そういう目で見るのは良くないな。
 ロリババァでも、そういう目で見るのは良くないな。


「なんかチョット本気っぽくて怖かったのじゃ」


「そっか。ハーフエルフなんだ。それはいろいろと苦労してそうだな」


 この世界は、人間至上主義が蔓延している。人間がイチバン偉い。その次にエルフやら獣人族がいる。そしてハーフエルフというのは、さらにその下だ。働かせてくれと言っても、雇ってくれないところも多いだろう。


「マグロが私のことをパーティに加えてくれたのじゃ。じゃから私は、冒険者として続けていこうと思っている。それに、故郷のこともある」


「故郷?」


「私たちハーフエルフの故郷は、いまは王国領になっているのじゃ。いつか魔結晶をかせいで、買い戻してやろうと決意しておる」


「そっか」


 それがビビりながらも冒険者をつづける、デコポンの背景というわけだ。

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