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《完結》勇者パーティーから追放されたオレは、最低パーティーで成り上がる。いまさら戻って来いと言われても、もう遅い……と言いたい。

執筆用bot E-021番 

2-2.巨乳がいないのは、ミステリーです!

 オレが渡した魔結晶を、食費代に溶かそうとするマグロを必至に引きとめて、どうにか寝床を確保することが出来た。


 しかし各々の個室を借りるだけの余裕はない。男1。女3の組み合わせだが、同室で寝ることになった。


 人の数だけベッドが用意されているだけ、まだマシというものだ。
 都市ヴァレリカは冒険者の数も多いので、旅人に優しいのだ。


 翌朝。
 窓からさしいる朝日。外から聞こえてくる鳥の鳴き声。そしてやわらかいベッドで、爽やかな朝を迎えることが、理想であった。


 しかしながらなかなか人生、そう上手く運ばぬものである。


「ぐぉぉー」
 と、小熊のうなりごえみたいなイビキに起こされることになった。
 マグロである。


 革の短パンに、薄手のシャツという無防備な姿。若々しい四肢を惜しげもなくさらけだして、掛布団を蹴っ飛ばしていた。


「おい、起きろ。朝だぜ」


「ああ。ナナシィでしたか。男と同じ部屋で寝ることになって、落ち着かなくて熟睡できませんでした」


「ウソつけ! 爆睡かましてたぞッ。どっちかって言うと、お前のイビキで熟睡できなかったのは、オレのほうなんだが!」


「いえ。美少女は、イビキなんてかきませんから」


「自分で美少女とか言っちゃうのかよ」


「異論が?」


 たしかにマグロの風貌は、かなり整っていると言っても過言ではない。が、昨日の食欲とかこの寝相を見ると、素直に肯定したくなくなる。自信満々で言われると、なおさら否定したくなる。


「上の下だな」
 と、意地悪のつもりで、そう言ってやった。


「まぁ、悪くないですね」


 上の下でも満足なようだ。誤算である。どうせ意地悪をするなら、下の下ぐらいに言っておけば良かった。ウッカリ人の好さが出てしまった。


「で、どうするよ。これから」


「とりあえず朝食が必要ですね。マグロはお腹がすきました」


 薄手の白いシャツのうえから、マグロはお腹をさすって見せた。シャツは半袖になっていて、二の腕が見えていた。プニプニしてそうだ。目のやり場に困ってしまう。


「本気かよ。昨晩あれだけ食べて、まだ食べるつもりでいるのかよ。太るぞ」


「心配はいりません。魔結晶がない以上は、食べることができませんので。まずは稼ぎに出る必要があります」


「その話なんだが、3人とも冒険者なんだろ。自己紹介もかねて、それぞれの職業を教えてくれ」


 他2人も、そろそろ目を覚ましはじめたようだ。


「マグロは前衛剣士です。この大剣が得物です」


 壁にたてかけてある大剣を指差してそう言った。気にはなっていた。あまり類のない造りをしている。売ればけっこうな魔結晶になるだろう。


「だろうな。しかし新米の冒険者が使うような得物じゃないぜ。大剣は強いかもしれないが体力がないとキツイだろ」


「これは父からゆずってもらった大剣ですので、ほかの武器を使うわけにはいきません。他の武器を買う余裕もありません」


「それはまぁ、たしかにそうだな」


 今日明日の食費宿代にも困っているのだ。武器を新調する余裕はない。それはオレも同じだ。親から譲り受けた大剣を売れというほど、オレも鬼ではない。 


「そっちにいるのが、魔術師のネニと盾役のデコポンです」


 ネニは白銀の髪を長く伸ばしている少女。デコポンは青い髪を真ん中分けにしている少女だ。


 このパーティは、顔面偏差値が高い。もちろんオレも含めて、だ。


 いかんせん昨日の暴食っぷりを目の当たりにしてしまったオレは、チョット1歩引いてしまうところがあった。百年の恋も冷めると言うが、最初に冷めてしまった。


 それに。


「巨乳がいない。これはミステリだ」


 巨乳でブロンドの髪で碧眼。それがオレの好みだ。理想が高すぎる? 理想なのだから高ければ高いほど良かろう。


「なにを言っているのですか? 変態でありましたか」


「男は誰でも変態だと偉い人は言った」


「エロい人の間違いではありませんか?」


 昨日のドラゴンもドンビキするような食べっぷりの3人なのに、その栄養が胸にいかないというのは謎である。


 しかし昨日のあれは、飢餓状態に苦しんでいたからこその食べっぷりであったかもしれない。普段はあまり食べれていないのだろう。ならばオレの出番である。


「これからダンジョンへ行こう。案ずることはない。オレの強化術があれば、どんなダンジョンも怖くはないからな」


「ひとつマグロには、気になることがあるのですが」


「なんだ?」


「エロい人は、強化術師なのですよね?」


「エロい人じゃない。ナナシだ」


「ナナシィは、強化術師なのですよね?」


「そのナナシィってのは、なんだ? オレはナナシだ」


「ナナシィのほうが愛着があって良いかと思ったのですが、不服でしたか? 不服ならますますもって、ナナシィと呼ばせていただきますが」


「なんでだよ! オレが嫌いなのかよ!」


 マグロはルビーのような赤い目を、オレのほうに向けたまま硬直していた。そして徐に首をかしげて見せた。


 えーっ。
 なんなんですか、その反応は。嫌いなんですか。好きなんですか。マッタクわかんないんですがーッ。


 コホン、とオレは咳払いをかませた。


「まぁ、ナナシィでも良い。で、オレは強化術師だ。チョット前までは勇者パーティにいたほどだぜ」


 勇者パーティという言葉は、さすがに効いたようだ。ネニもデコポンもオレに視線を向けてきた。


 ふふん。どうだ。オレはすごいだろう。崇めたまえ。ひれ伏したまえ。
 しかし向けられているのは尊敬の目ではなく、疑念の目である。


「それはさておき、どうして強化術師なのですか? 魔術師と二足のワラジだったりするのが、ふつうだとマグロは思うのでありますが」


「オレは、人の役に立ちたいんだ。聖人君子だからな」


 人に働かせておいて、自分だけ楽したいから、強化術師一筋で努力してきた――なんてクチが裂けても言えない。


「すると、マグロとデコポンが前衛。ナナシィとネニのふたりが後衛。そういう配置で良いですね?」


 オレのうつくしき建前を、マグロはたやすくスルーしてそう言った。


 もしかして聞こえてなかったのかな? あとでもう一度、オレのうつくしき建前を聞かせてやろう。


「了解だ」


 さあ。
 イザ。ダンジョンへ。


 勇者パーティが「戻ってきてくれ」と泣きついてくる前に、この《炊き立て新米》パーティを最強のパーティにして見せるぜ。

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