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《完結》勇者パーティーから追放されたオレは、最低パーティーで成り上がる。いまさら戻って来いと言われても、もう遅い……と言いたい。

執筆用bot E-021番 

1-4.報酬は山分けするのが当然ですよね?

「今の斬撃は?」


 少女は不思議そうに大剣を見つめていた。オレの強化術エンハンスが切れたことによって、その剣はすでにチカラをなくしている。


「オレの強化術で、君を強化させてもらった」


「尋常じゃない、強化術でありました」


「ああ。まぁ、こう見えてもオレは元勇者パーティだからな」


「元?」
 と、少女は首をかしげた。


 追放されたんだなんて言えないので、曖昧に笑ってゴマかしておいた。


「オレはナナシだ。よろしく。ナナシ・コンベ」


「マグロは、マグロと言います。マグロ・リーサ」


「魚みたいな名前だね」


「よく言われます。あなたこそ存在感のなさそうな名前でありますね」


「よく言われる」


 お互い、見つめ合う。
 変な空気になった。


 おや。待てよ。


 これは、はからずも【怯えてる冒険者を仲間にする作戦】が上手く運んでいるのではないのか?


 このマグロとかいう少女の心境は、いまやオレへの称賛であふれ返っているはずだ。


(強化術強すぎ! この人はここで手放しちゃいけない人材だわ。是非ともパーティを組んでもらわないと。しかもイケメンだし、もうマグロ惚れちゃいそう! この人のお嫁さんになりたい!)


 そう胸をときめかせているに違いない。


 ならば仕方あるまい。
 コホン。
 オレは咳払いをした。


「さて、ひとつ提案なんだが……って、いねぇぇッ」


 スケルトン・ナイトのカラダが骨となって散らばっていた。その中には、紫色にかがやく魔結晶がまぎれていた。
 スケルトン・ナイトがドロップしたのだろう。


 けっこう大きな塊が5つ。少女はすぐさまその5つを回収しにかかっているのだった。


「どうかされましたか。ナナシ殿」


「どうもこうもねェ。スケルトン・ナイトを倒したのは、協同作戦だっただろう。その魔結晶は山分けだ」


 少女は魔結晶を、小さな乳房の間にかかえていた。決して渡さぬぞ、という強い意思を感じる。


「いいえ。前線を張っていたのはマグロであります。マグロはあなたの命を救いました。そしてナナシ殿は、マグロのことを置き去りにして逃げ出そうともしていました」


「うっ」
 痛いところを突く娘だ。


「よって、この魔結晶は、マグロがいただくことにします」


「オレの強化術を見ただろ。オレはすごい強化術師なんだぜ。オレがいなけりゃ、いまごろ君も死んでるんだからな」


「それでは……」


 マグロはしぶしぶといった様子で、魔結晶をひとつ差し出してきた。


「うん。ありがとうね。……ってなるか! 5つあるだろうが。せめて2つは寄越せ」


「えー」


「なんでそんなに厭そうなんだよ。普通に考えて山分けだろ」


「えーっと……。そうだ! マグロには、病気の母がいます。母のことを診てもらうためにも、魔結晶がたくさん必要なのです」


「うっ。情に訴えかけるとは卑怯な……。まぁ、そういうことなら仕方ない。1つで我慢しておこう。オレは優しいからな」


 1つ受け取った。
 魔結晶は不思議な熱を帯びている。温もりが手の平に伝わってきた。


「このスケルトン・ナイトの骨を持ち帰れば、多少は魔結晶に交換してもらえるでしょうか?」


 散らばっている骨を、マグロは軽く蹴った。カランコロンと、石畳の上を骨が転がった。


「そうだな。ギルドはモンスターの素材を買い取ってくれるからな。スケルトンの骨も交換してくれるはずだ。あまり期待できるほどにはならないだろうけど」


「そうでありますか」


 マグロは魔結晶をサイドバッグに詰めると、骨も余さず拾い上げていた。


 母親のために健気だな。情を抱きつつも、独り占めされてはかなわないと思い、オレもシッカリと回収しておいた。骨だけでなく、剣と盾も落としていたので回収しておいた。


「おい、そろそろ閉まるぞ。あそこから出てしまおうぜ」


 ダンジョンに開いた穴。ダンジョンは傷ついても、すぐに修復する。
 閉まらないうちに、そこから脱出することにした。

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