血の雨

kurokuro

2話


 「じゃあまずは、【赤い雲と雨】の事について話すけど、いいよね?」
 「あぁ、頼む」
 「先に言っておくけど、何を聞いても落ち着いてよね?」
 「わかったよ」

 そんなに俺ってうるさいのか? これでも周りからはよく「落ち着いてるね」と言われるんだが…

 「じゃあ説明するけど。 まずあれは、人工的に作られた物なの。 日本の研究者達が隣国から自国を守るために、政府に脅されて作らされたの。 そして研究の末、生物に有害な液体を作ることに成功した。 それを政府に伝えると、大勢を一度に殺せるようにしろと命令されたから、赤い雨を降らせることにしたの。 そして、赤い雨を降らせる実験をしている時にアクシデントが起きた。 それで…」
 「ちょっと待ってくれ」
 
 俺が話を遮るように止めると、雫は意外にも何も言わずに話を止めてくれた。

 「質問があるなら聞くわ」
 「もしかして、その赤い雨を作ってたのって…」
 「ふーん? なんだ、勘は良いみたいね。 そうよ、私も赤い雨、通称【BR計画】というものに参加してたの」
 「…なんで、なんでそんなに他人事のようにいられるんだ? …お前らが作ったもので、人が死んだんだぞ!? わかってんのか!?」
 「わかってるわ。 アンタの目の前で死んだ人だけじゃなく、世界中の約半分は私達の最初の実験で死んだよ」
「…は?」

 世界中の人が死んだ…? 聞き間違いか? そうだよな。さすがにそんなに死ぬ訳が…

 「アンタが考えてることは大体わかる。 初めは私もそんなだったよ。 私が関わった研究で、関係の無い人達が死んでいった。 その事実を知った時、死にたくなったもん…」

 俺のそんな期待は、雫の悲しそうな顔を見て砕け散った。

 「…ごめん」
 「作ったことは事実だから。 あとまだ続きがあるけど聞く?」
 「雨のことはもういい。 人が怪物になったことが聞きたい」
 「人が怪物になることは完全なる予想外。 私達は人を殺す兵器を作っていただけであって、怪物にするなんてものは作っていなかったから」
 「じゃあなんで怪物になってしまったんだ?」
 「対抗力の問題だね。 赤い雨に触れた者の反応は大きく3つに別れるんだ。1つ目は【即死】2つ目は【生き残る】 3つ目は【怪物になる】。 中途半端に対抗力のある生物が赤い雨に触れると怪物になってしまうみたいだ。 ちなみに、皆は赤い雨のことを【血の雨】と言っているから覚えておきな」
 「なるほど。 …ていうか皆? 皆って人がここにいるのか!?」
 「あぁ、いるよ。 君の友人もいるみたいだか楽しみにしておきな」

  俺の友人? 一体誰だ?

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