血の雨

kurokuro

0話


「…ん、んー? …ここは、どこだ?」

 辺りを見渡し、状況を確認する。

 だが、自分が真っ白の部屋にいて、ベッドで寝ていたことしかわからない。

 「というよりも、どうして俺はベッドの上で寝ていたんだ…?」

 寝る前の記憶を思い出そうとすると、扉が開き、白衣を着た女性が入ってきた。

 「どうやらお目覚めのようですね。では、お着替えの方をお持ちしますので、少々お待ちください。」
 「お、おい!待てよ!」

 白衣を着た女性は、何も言わずに扉を閉めて行ってしまった。

「なんなんだよ…」

 ただ、服を持ってきてくれるみたいだ。早く今着ている検査衣のような物を脱ぎたい。それまで気長に待つことにしよう。

 そうして何もせずに待っていると、先程の女性が入ってきた。

「これを着てください。」

 そう手短に言い、服と名札を渡してきた。

 名札には【黒神 湊(くろかみ みなと)】と俺の名前が書いてあり、服は作業衣のような物だった。

 「…あのー、着替えたいんだけど…」
 「ん?着方がわからないのでしょうか?それならば着替えさせてあげますね」
 「は!?ちょ、待て!着替えれるから!そういうことじゃないから!」
「ならば何でしょうか?」
 「…出て行ってくんない?」
 「何故ですか?」
 「いや、もういいや。すぐに着替えるよ。」

 何故、俺はいきなり女の人の前で着替えなければならないのだろうか? 
 そんな事を考えながら女性のことを横目で観察すると、髪は黒く眼鏡をしており、眼の色は俺と同じ赤色だ。そして、女性の胸元には名札付いており、【黒神 雫(くろかみ しずく)】と書いてあった。

「黒神…雫…?」
「はい。私はいわゆる、貴方の従姉弟にあたるような人です。…はぁ、もうキャラ作りはいいや、疲れた。ていうかやっと私の名前に気付いたの? 自分の今の状況わかってんの?」
「は、はぁ!? 従姉弟!? なんでこんなとこに居るんだよ!? ていうかキャラ作りってなんだよ!」
「はぁ…もううるさい。 説明してあげるから早く着替えなよ。 いつまでアンタの貧相な身体を見ないといけないわけ?」
「…わかったよ」

 教えてくれるなら早く着替えよう。 従姉弟がいることは親から聞いていたが、まさかこんな所で会うとは思っていなかった。

 色々な事を考えながら着替えていると、雫が冗談とは思えないようなトーンで、

 「アンタ、そんなにのんびり過ごしてるとすぐに死ぬわよ」

 と言われた。


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