第7特区

Ananclus

第34話 少女と最高傑作

 
「はあ、はあ。あらかた、片付いたわね。フェンリルも無限に力を出せるってわけじゃないのよ。」

そうだ、さっきの光のビームとか、やっぱり光の粒子を1点に集中させて放出させるのはかなりしんどい。温存しとくか。

 「大丈夫?あんた、上の方がだいぶ騒がしかったけど、、」

 「ええ。問題ない。それよりもペーたんが、、」

 「はい。先ほど僕も、感じました。最後まであの子が、任を全うしてナギ様を助けたならば、本望でしょう。」

 でも、やっぱり弟分は表情が暗いわね。

 「私のせいよ。。私が弱いから、もう誰も、なにも、失いたくない。とりあえず、先を急ぎましょう。」

私たちはようやく中央のコンクリの壁までやってきた。同じ階層なのに変な地形と、暗さのせいで長い道のりだったな。それに、あの植物共のせいでもある。

 「ただじゃ、おかないわ。さっさとレインを取り戻す。」

 「そうね。私も、最後まで付き合うわよ。」

 「行きましょう。」

 と言ってもコンクリの壁は高い。どうする。私が運ぶしかないか、、、

 「私に任せて。セット、出力安定、相互リンク接続!」 

そう言えばエマは確か、どんなフレームだっけ?

 「私を掴みなさい!」

私と弟分はエマの体を掴んだ。

 「いっけえ!」

エマは空中にダークオレンジ色の短剣を投げ飛ばした。
次の瞬間には、私たちが空中にいて、そのまま地面に落ちる。

 「あれ?私たち、えーと、コンクリの内側?」

 「そうよ、我が家紋のアーティファクトフレーム ”ミョルニル” よ。別名は『転移』。」

はあ。うん。理屈がわからんっす。

 「これはね、」

 「説明は後、今はレインが先。」

 「それもそうね。」

早く、早く、やっとここまできた。中心には中央エレベーターがあって、その後方に大きい円形で白いガラス張りの施設がある。あそこね。

 「止まれ!!」

 「なによ。アンタら。今ならまだ許してあげるから、邪魔するならここで叩きのめす。」

 「あの紺色の分厚い制服に頭のヘッドギアは、、治安維持部隊《フレームアウト》です。」

 「私はあんたらより会いたい人がいるの。邪魔だから、退きなさい。」

 「だめだ。これより先に侵入した場合は我々がフレームと共に貴様らを、攻撃する。戦闘許可は出ている。人同士で無駄な血は流したくない。大人しく、」

 どいつもこいつも、、少しぐらい、、私の道から退けよ!!

 「ちょっと待ったあ!」

 「遅くなってすまないね。なかなか上の連中を黙らせるのに手こずってしまったけど、ここは僕らが引き継ぐよ。君たちは先へ。」

マシュー!それに、もやしと、レジスタンス!
そいつらは、エレベーターからやって来た。

 「わかった。問答無用で任せる!行くわよ、ヘンゼル、エマ!」

頼んだわよ、マシュー!!


 *

 「なんだ、貴様らは!! あなたは、、第4席、、理の王!リオン シュテルンベルグ!しかし、不慮の事故でお亡くなりに!」

 「あーそれは、まあうん。色々とね。それで、第4席である僕に銃を向けるのかい?」

 「これは、、、」

 「待て、狼狽えるな。まだ本人と決まったわけじゃない。我々の任務はあの少女らを、アルムハート公に近づけさせないことだ。その障害は取り除く。」

 「全く。やるしかないみたいだね。戦う覚悟はあるか、死ぬ覚悟は、あるかい?」



 やっとついた。ここに居るのね。レイン!

 こんな、扉、

 「セット、パワーフロー安定、フレームリンク同調率最適化、、お邪魔しまーーーーーす!!」

 私はフェンリルの出力を全て右拳に集めて玄関っぽい透明な扉を殴った。

扉は粉々に砕かれ、大きい穴ができる。

ここは、なんなの?外からじゃあわかんなかったけど、すごく暗い。それでいて、肌寒い。

 「不気味だわ。一体、これはなんなのよ、、、こんな施設があるなんて、貴族の私も知らなかった、、、」

エマも流石に怖がってる。廊下の照明は全部消灯してて、壁が所々破壊されてる。それに、人の血?なの?コンクリの所々に染みが、、明らかに医療施設なんかじゃないわね。

 「先に進むわよ。レインが心配すぎる。エマはここで待っててもいいわ」

 「了解しました。ナギ様についていきます。」

 「ついて行くに決まってんでしょ!一人にしないで!」

私達は廊下をいく。一番奥の扉を開けると、2階続きのエントランスホールのようになっていて、真ん中に大きな穴が空いている。ていうか、崩れている。したは全く見えない。

 「なによここ?ダミーなの?それとも下に降りてこいってこと?」

そんなことを考えていたら、上から眩しいぐらいの灯りが連続に点いた。

 あっち側の通路から誰かやってくる。

 「よぅこそぉわが、研究所へ。どぉかな?ワシのセンスのあるあの村は気に入ってもらぇたかなぁ?」

 皺皺の研究服を着たじじいとその横に、、、見つけた!

 「レイーーーーーン !!」

 気づいたら叫んでいた。

 「おや、まだ虫が生きておった、、レイン。悪い虫は、排除。しなさい。」

 「はい。パパ。」

 もう、あなたの手を離したりしない!

 来い!フェンリル!翼になって、飛ぶのよ!

 「バカ!危ない!!!」

 エマが私の袖を引っ張り間一髪で私は《《ソレ》》を避けた。風圧と熱で私達3人は吹っ飛ぶ。

 「なによ、今の攻撃。向こう側の、レインがやったっていうの??」

 エマが唖然としている。無理もない。だって、天井から放たれたの光線は、目の前の全てを浄化するかのような巨大なレーザーだった。

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