第7特区
第28話 少女とエマ
とは言ったものの、壁が高過ぎる、柵もついてて、ちょっとなあ。入り口の門とか絶対あれだよなあ。うーん。
「あれ、ねえ。お姉ちゃん!!なんか変な人がいるよ!」
「おい、あんた何してんの?そこの白フード。」
まっずい。お前ら帰ってくるタイミング悪すぎるだろ。
「あんた、まさか。」
「アハア、どうも〜。」
「あんたねえ。ハアア。もういいわ。アナ。ちょっと先に帰っててくれる?」
「はーーーい!」
流石に小さい妹は巻き込まないわけね。私もあんな小さい子を傷つけるほど落ちてないわ。
「あんた、どうせ自分のフレームを取りにでもきたんでしょ?」
「そうよ!!だから、今ここでお前に構ってる暇は、、ん?」
「やっぱりそうなのね、まあどこから情報が漏れたのか知らないけど、いいわあ、案内してあげる。」
あれ?こんな子だったっけ?エマ。もっと性格がひん曲がってて、そのー、ん?
「毛穴、」
「ん?今なんか言った!?」
「いや、なんでもない。案内してくれるの?でも、えっ、門番は?治安維持部隊はどこよ?」
「はあ?そんなの呼ぶわけないじゃない。どうして、私が呼ばなきゃいけないのよ。」
ええええええ!!なんだこれは。タワ○ラ の乗りすぎで頭ぶっ壊れた?脳から脳汁が出過ぎちゃったんだわきっと、、、
「あっ、ありがとう。と言っておくわ。ベッ、別にあんたのこと許したわけじゃないから。」
「そんなこと、、わかってるわよ。これは私の贖罪だから。」
どうやらエマにもプライドがあるらしい。私は顎が外れそうなくらいに唖然としていた。
そのままエマに案内されて屋敷への潜入に成功する。どうやら、入り口手前の石のお墓?を少し動かすと隠し通路が出てきた。こー言うスパイみたいなことが大好きだ。しかも今の私の放浪者っぽい格好がより一層、、、
”空き巣” っぽいわ。
その整備されてない地下通路を進んでいくと、風が少し突き抜けている。
「着いたわ、このタイルを外す。」
ガコッ!と言う音がして、タイルが外れた。エマに右手を引っ張られて、私は外に出る。
「ここはあ?物置部屋っぽいわね。ホコリっぽいし、蜘蛛の巣が、、ないけど」
「ええ、もう使わなくなった洋服とか、私が昔使ってた木馬とかあるわ。」
確かに木馬が、跨りたい。もう少しキレイだったら。
「でさあ、私のフレームちゃんはどこにあるのよ?」
「それが、、お父様の部屋よ。」
お父様?貴族はみんな様をつけるの?自分の両親に対しても?堅苦しいわあ、まあ王子様みたいにカッコ良い男爵だったら、いいけど。私のお父さんはゴリラのヒゲだったからなあ。なんの魅力もなかったわ。
私とエマはメイド服を着ている、ロリな服装をした人達から隠れるように、だだっ広い廊下をかけて、3階にあるたいそうご立派な扉と上に肖像画?が掛けられているへやに辿り着く。
ギイイイッと少し重めのドアを押して、中に入った。
「お父様、お話がありますの。」
さーて、そのお父様の顔を見てやろうかしら!!……… 
なんだ、お前。その凛々しく整ったバランスの良い顔立ちは。濃すぎず、薄すすぎない、醤油顔。エマと同じ赤毛の、落ち着いた雰囲気。イケメンじゃないの、、ちょっと。私のタイプかも、、、
「エマか。どうしたこんな時間に、アナと遊んでたのでは?」
「ガリーユお父様。実は報告がありまして、」
私が少しオロオロしてると目があった。
やばっ!こっちみた!視線のレーザービーム!私と彼がもし結婚したら、エマは、、姑?いや違うか、そう言うのなんて言うんだ?
「そこの子は、、、そう言うことか。事情は理解した。」
「はい。誠に申し訳ありませんが、、」
「そこの、白いフードの子よ。確か、ナギ?とか言ったか?」
私、呼ばれてるわ。あのお方に、、
「はっ、はいい!!」
「君のことはよく聞いているよ。私こそあの裁判を見物してはなかったが、噂ではフォン家の御子息を殴り飛ばし、法廷で暴言を吐きまくったとか色々とね。」
くうう!噂が回るの早い!!
「どれ、少し前に来て、私にお顔を見せてくれないか?」
「はっはい!」
そう言われて、フードを取り彼に近づいて行った。大きな机の前で、座ったまま彼に顔を見られる。ううう。みっ、見つめられてる。
「真っ直ぐな瞳をしている。うん。君はすごい強い子だ。君なら、、、エマ。」
「はい、なんでしょう。お父様。」
「私の書庫に彼女のフェンリルがあるよ。どうせ、お前も着いていくんだろう?」
「おっ、お父様、、、はい。私目は、けじめを、けじめを付けたいと思っております。」
「行っておいで。君の成長を楽しみにしている。」
「ありがとうございます。では。」
きゃーーーーーー、かっこいい!何よおこれ!ちょっと、テレビの中の有名人が目の前にいるってこう言う感覚なのね!
「いくわよ、ナギ。ナギ、、おい!」
はっ!!私としたことが。危なかったわ。もう少しで魔法にかけられるところだった。
私とエマはその後、書庫と言われる本がたくさん置いてある所に行って、
現在。
「やっと戻ってきたわ、フェンリル。」
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