第7特区
第21話 シンリの思惑
「なっ、、、なんだと。この、人類の到達点であるこの僕に傷を。」
(なんていうことだ。一体、さっきの戯言までさえも彼女の策略だとでもいうのか?僕の腹から血が、この感覚は久しぶりだ。)
「はあっ、はあっ。人類のゴールだとかなんとか知らないわよ。てか、本当に神経すり減らすのね。マシュー の気持ちが分かるわ、、もう。限界近いってのに。」
***
「分かったよ!!俺も後からゼッテー追いつく!だから死ぬなよ!!」
無視だ。こっちは急いでるんだよ!
「持ってけよ。お守りだ。」
そう言ってマシューは私に白い剣を託した。
***
こういうチャンバラはねえ、卑怯な手を使っても勝てばいいんだから、、、くそ。もう限界。これ以上。意識が、、、レインを、
「フフフッ、アハハハハッ まさかこの僕に、みくびっていたよ。素晴らしい!!やっぱり君だよナギ!この退屈な地下の世界から僕を救ってくれるのは君らしい!!ゾクゾクする。」
(この高揚感、彼女だ。僕に相対する!唯一の存在!!)
「ガフっ、、やば。血が。流石にまずいわ。何笑ってんのよ。アンタ。腹、つら、つらぬか、貫いて、、やったん。」
まずい。こんなところで、死ねないのよ。レインを助けに、、私は朦朧とした意識の中で、赤ちゃんのハイハイよりもひどい状態で門に手を近づける。
「大丈夫だよ。ナギ君。君は死なせない。君は絶対に助ける。この僕がいうんだ。君は生きろ。」
「バカなの?アンタ。命令されなくてもっ、いき、いきっ、生きて、、やるわよ。」
あと少しだ。私の手が門に、届く。
「ああああ!!レイン!!」
ここにレインは居ないのに、私は無意識に叫んでいた。
そのまま、私は深い眠りに入るように本当に深く眠った。
***
「シッ、シンリ殿!その傷は!!どちらに向かわれていたのですか!!」
「御託はいい。この少女をニュートラルエッグへ。コールドスリープ状態にするんだ。」
「しかし、このような者に!」
「早くしろ。殺されたいのか?なんなら、今からここにいる全員の首を刎ねてもいい。まだ、首は挿げ替えたくないだろう。」
「しょ、承知しました。」
「あら、こんにちは。シンリさんすごい御傷で。まさかやられたんですか?ナギに?」
「ナオミか。フフフッ本当に面白い子だよ。僕も驚いてる。君に頼みたいことがあるんだけど、」
「はい。なんでしょう。」
「教会の動向を調べてほしい。」
「それは無理です。私は、腐ってもあちら側の人間ですよ?」
「ここで僕が君を殺すと言っても?」
「はい。無理ですわね。」
「そうか。困ったなあ。どうしよう。」
「私の一意見なのですが、このままレインをそのようにしたら、成長が望めるのではないでしょうか?それはあなたが望んでいる事ではないですか。」
「うん。でも暴走されかねないからなあ。水槽から飛び出るかもしれない。水質を保つの難しいんだよ。彼女は今の水槽では刺激が足りないらしいからね。」
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