第7特区
第19話 少女とレインの真実
「おい。待てよ!! 待てっててば!!ナギ!一人でかなう訳ないだろうが!」
「うっさいわねえ!!私はバカだ。もっと、、、あの子のことをちゃんと、見れていなかった。悪いけど、止めても無駄だから。じゃ。」
私は、さっきの洋館を出て、マリア様に続く道を速攻で戻り、第3階層の東側ゲートへと急いでいる。胸が苦しい。涙が止まらない。
レイン。お願い。無事でいて、絶対にあんたを見捨てたりしない!!
〜〜少し前〜〜
「はあああ。冗談はよして、私、そーゆうのってすごい、癇に障るの。」
「おい!!リオンに指一本でも触れたら、お前のその腕ごと切り落とす。」
「うるせえよ。なんだ、てめえ、やれるもんなら、やってみろ。」
さっきのとは別の口元スカーフがナイフ型のフレームを私の左腕付近に待機させている。そんなことはどうでもいい。私の気が治まらない。
「君には僕を殴る権利がある。でも、もう少し話を聞いてくれ。」
もやしはそのまま、話の続きを始めた。
「その時から僕は水面下で星医療教会に対抗する組織を作っていた。時を同じくして、ある実験が為される。その計画はこうだ。孤児となった少年少女の体にクローン人間に使ってたのと同じ薬品を投与した。
暴走を始めたものは処分されたよ。だが成功事例が確認された。
何人かはそのまま、従順な植物兵器となった。そして、その子たちは人間の形を保っていたんだ。
彼らはこう呼ばれた、”ロストチルドレン” 第5世代の人類の兵器の誕生だよ。」
そのまま、もやしは話を続ける。
「彼らは、自我を保ち、思考ができて、このような孤児院で育てられた。
マシュー 、君は度々ここに訪問していたのもその時期だろう。そして、星医療教会は彼らのクローンを作ったんだ。地獄はそこからだよ。
”ロストチルドレン” と彼らのクローン体で永遠の殺し合いをさせた。実用に移すためだ。その度に記憶を抹消し、必要なデータだけを取り出す。
だがある日、僕は彼らを逃した。ここではないどこかへと、そして僕は脱退し、放浪の身だよ。だが、そのせいで、研究は悪化した。
その時、最も優れていた3体の被検体コード001 アムス、コード008 ミオナ、そしてコード012 レイン。彼らの殺し合いの実験が激化したらしい。
そして、その果てにもはやオリジナルかクローンなのか分からない、教会の最高傑作が出来上がった。だが、感情のデータをとるために被検体012には15歳までの自由を与えることになり。それが、君たちが今まで接してきたレインの、、、」
「もう聞きたくない!!!もういい。もう、やめて。行かなきゃ、」
「一人で行っても犬死にするだけだ。だから、」
「もう喋るな。もやし。あんたが、いやこの国が腐ってるってのはよーく分かったよ。」
私はそうして何も言わずに飛び出した。もう、誰の声も私には届かない。
ごめん母さん、あなたから引き継いだ えくぼ が出ることはもう、ないかもしれない。
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