第7特区
第18話 少女と街の歴史
「マシュー!人は殴らない!!もやしが死んじゃう!」
「うるせえよ!この、」
「おい、お前!リオンに!!」
後ろから豆オがフレームでマシューを攻撃しようとしているのが視界に入る。
「やらせないわよ。」
声が上の方からした。どうやらスカーフで口元を隠しているカッコつけが私達を狙っている。2階で待ち伏せをしていたらしい。はっきり言って、私たちは囲まれている。
「マシュー、これ以上は辞めなさいよ。私たち今、ピンチだから、、、」
「くそが、おい。お前、俺の質問に答えろ。」
「ふう。言われなくても答えるから、僕の襟を離してくれるとありがたい。」
「マシュー!!さっさとそのもやしから離れなさい。この!!」
私はマシューの腕を振り解いて、腕をがんじがらめにする。もやしをマシュー から救ってやった。
「僕も許されるとは思っていない。だから避けずに君に殴られた。申し訳ないと思ってるよ。」
「俺の記憶を返せよ!!」
「ちょっと、マシュー暴れない!!それに記憶って、どうしちゃったの本当に、、」
もやしがゆっくりと口を開く。
「ナギ君。は知らないか。今から11年前、」
「リオン!それは!よそ者には!!」
「いいんだ。彼らには知る権利がある。」
知る権利?
「擬似植物兵器。通称、”ダミーフレーム”。僕たち協会の人間はそう呼んでいる。僕はどのようにその技術が作り出されたのかを知らない。でも、僕たちにはこの実験が全てだった。人間は弱い。」
もやしがゆっくりと口を開いて、語り始めた。私は校長先生の話とかは眠すぎて、立ち寝してしまった事があるぐらいに、長話が嫌いだ。
「手短に話せない?」
「なるべく、努力するよ。人はフレームを介さないとアンドロイドには到底敵わない。いくら、フレームが高性能でも、その使用者は命を吸われる。そして、人はすぐに死ぬ。
僕らは生を受け、戦い、死んでいく。こんな勝ち目のない戦争に終止符を打つべくして開発されたんだ。ダミーフレームは文字通り人間とは違い、簡単には死なない。
恐るべきはその自己再生能力、細胞が体の中で無性生殖を繰り返し、すぐに成長する。脳の花弁を完全に破壊しない限り、動き続ける。
クローン人間から作られた彼らは、つまり人は最高の兵器を手に入れた。だが、彼らはクローンだった頃の記憶を失い、暴走した。暴走し、いくつかあったラボは破壊、解体されたよ。」
「ちょっと待ってよ… クローン?ってなによ、じゃあ、私は今まで、人を、人を殺してたのかよ!!」
怒りが込み上げてくる。腹が煮え滾るようなこの感じ。
「実験は頓挫しようとしていた。なぜ、クローンではうまくいかないのか?何回も様々な実験を繰り返した。けど、うまくは行かなかった。だから、
”本物の人間が必要だった。” もちろん賛成派と反対派で分かれた。当時の僕は反対したが、多数決と法的機関、管理委員会上層部によって可決。この国の発展には犠牲も必要だと題されてね。
そして、帝国は、第3階層を見放すことにしたんだ。」
「今から11年前、ここ地下第3階層は文字通り、《《計画》》により内側からわざと門を開き、アンドロイドを招き入れた。その襲撃に遭った街の人々は逃げまとい、沢山殺されたよ。
マシュー君の両親もそのうちの一人だった。僕らはそのために軍を用意し、
”5歳以下の子供” を最優先に保護し生かしたんだ。後の実験体にするために。
君がおそらく今持っている、両親の記憶は、偽りの物だ。すまないね。」
「何を、言ってるの?もやし。それって、レインやマシューが、、」
「そうだね。そこの少年はセンリ アーンバルドに引き取られた。だが、レインという少女は僕も知っている。
彼女は死んだ。」
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