第7特区
第41話 少女と初任務②
「なあなあ、俺たちずーとここで待ってりゃいいの?」
「ええ、小隊長殿はそうおっしゃっていました。我々は、ここを死守するのが今回の任務です。この第3防衛ラインと呼ばれる、大門。ここは、下の階層を守る上で非常に重要な通路です。」
私たちの任務は小隊について行くのではなくて、この大きい門の防衛らしい。早く、私も上に行って、カリーナを助けないと。心が落ち着かない。不安だ。
「ヘイヘイ、下には下民様が住んでるもんなああああっと、あー退屈だぜ、全くパーク様に任しときゃいいんだよ。どうせ、アンドロイドなんてこないだろう。それに、来たって俺様の敵じゃあねえ。」
「おい。」
「あー、何だよ女?」
「次、その口で私の気に触る事喋ってみろ、二度とその口が開かなくなるから、覚えとけよ。」
私はそいつの真正面に立って言い放った。怒りが込み上げてくる。
「ナギ!」
「はああああ、舐めてんのかてめえ?下民の分際で!誰がお前らを生かしてやってると思って!」
衝動的に、私はそのサルでブスな貴族の顔面を殴った。
「ナギ!辞めて!」
「ってえ。てめえ、やりやがったな!くそがあ!!」
「辞めて、パーク!さっきのは少し、言い過ぎだよ!ナギちゃんも!」
「落ち着きなさいよ、二人とも!あーもうやってらんないわよ!」
はっ!怒りで少し、我を忘れていた。レインに迷惑をかけてしまう。
「ごめん、レイン。少し、ひとりにさせて。」
「ナギ、気持ちはわかります。でも、今は堪えて。」
私達の隊の気持ちはバラバラだ。連携の”れ”の字もないとそう感じた。
それにここはやっぱり肌寒い。カリーナは大丈夫だろうか。私の頭は混乱している。どうすればいい。何が正解で、なにが正しいの。
「おい!みんな!」
「んだよー!ゴルゾドフ。急に喋んなや、耳が痛え」
「何か来る。」
「はあ?何も来ねえじゃんか?」
「いいえ、確かに不穏な気配を感じます。皆さん、気を引き締めて下さいませ。」
私はこの時、カリーナの事ばかり考えていて、近づいてくるソレに全く気がつかなかった。
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