第7特区

Ananclus

第34話 レポート②

〜〜〜地上のどこかの記録〜〜〜

 どこか、誰か。誰でも良い。俺はその時まだ生きているのだろうか?それよりも、発見した。抗体だ。抗体を持った子供を連れている。施設まで、無事に送り届けるのが俺の役目だ。

だが、無理かもしれない。この前、やられた傷が化膿してきやがった。抗生物質もない。今夜死ぬかもしれない。あの子は一人になってしまう。もう、俺は誰かを失いたく無いんだ。

あの日の事故のことが一生、俺の頭から離れない。かけがえのない俺の宝は、俺の居ないところで無くなっちまった。何でだよ。最近、黒い猫を見た。青い瞳の猫だ。

俺は、死ねない。

 「おじさん、やっぱり顔色が悪そう。休まないと、、、」

 「大丈夫だよ。ゆっくり休めたから。それに、後もう少しで、避難キャンプ場だ。」

俺は絶望していた。妻を失い。あの子を失ってから、
毎日、毎晩酒を呑んだくれた。漁に出る回数は極端に減った。


 〜〜17年前〜〜

 「ホントにすみませんっした!!親方!!」

 「いけ。もう顔も見たくねえよ。」

 そう言った黒岩親方の横顔はずーっと海を見つめていた。

 「お前が、デカくなって。全部にケリが着いたら戻ってこい。」

泣きそうになった。いや、鼻水が俺の唇を通って口の中に来ていた。号泣していた。
手入れをして無かった髭を剃り、髪をバリカンで坊主にした。
これから、世界を回る。俺の気が晴れるまで。

それから10年後、俺は東アジアから大分離れた、南アメリカのボリビアという国にいた。英語も身についてきた頃に、何やら、新型のウイルスが蔓延してお隣の大国は混乱しているというビッグニュース。

さらに2年後、意味の分かんないパンデミックで混乱が始まった。

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