第7特区

Ananclus

第33話 少女と候補生

 
それから私は、候補生になった。

前まで着ていた灰色の学生服は卒業して、候補生になると、モデルは一緒のミリタリー色が強い緑っぽい軍服を着るらしい。うん。全然可愛くないけど着ごごちがいいから許す。

 「それでは、星王学院第402期生、及び諸君らカラム学院第124期生を候補生として軍へ歓迎する。ここ、14層の候補生地区が君たちの生活の拠点となる。早急だが、明日より、合同演習の訓練に就いてもらう。以上だ。」

 「承知いたしました!大尉殿に敬礼!!」

 整備されている石のタイルを歩きながら、候補生地区の自分の住居にやってきた。住居といっても男子寮と女子寮で別れており、私は女子寮の3階の角の部屋だ。私はなぜか角に縁があるらしい。まあ、ともかく。

 「ふいいい。疲れたーーー!!だって大尉の話が長いんだもの!!」

 「ナギは人の話を聞かなすぎる。悪い癖。」

 「レインちゃーん。同じ部屋でよかったよ!!それに、えーとあなたは、」

 「何、その手は全く。下民はこれだから、名乗る必要も無いわ。」

 私の握手を、、、

 何、この子!すんごい態度が悪い!どういう事!教育がなってない!!せっかく良い顔立ちをしているのに性格がブス!!

 「でも、私たちは同じ候補生、あなた様の下の名前だけでも知っておく必要がある。連携がとりやすいから。」

 「あなた、レインとか言ったかしら?あなたはまだちゃんとした心得ができているようね。良いわ、私の名前はエマ。エマ アルトランド。」

 「エマ。良い名前じゃなーい!てか、え、名字あるの?」

 「名字?何それ、真名の事かしら。ああ、失礼したわね、貴族にはその家紋の真名が与えられるの。それがあなた達との身分の差を表す1番のステータスになってるのよ。そんなことも知らないのね、最近の下民は。」

 ブス、ブス、ブース!!クソブス!!絶対仲良くしてあげない!何よこの性格、ブスは!どこまで、ブスになればこんなブスに!あーもうブスしか出てこないじゃ無いの!!ダメダメ、ブスって思ってたら、私までブスになっちゃう。落ち着け、私。

 「あははっ、そうでしたわね。ところで。エマ殿。毛穴がひらきっぱなしでございますのは、貴族の方々のトレンドかしら?」

 「あっ、ナギ。。。」

 「はあああ!?今、何と、あんた。自分がなんて言ったかわかっての発言ですの?無礼にあたりますわ!!」

 この日から、私はエマとかいう貴族の娘と仲が死ぬほど悪くなってしまった。

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