第7特区
第18話 少女と花
「マシューあれは何!あれもビーブルなの!?」
さっきの犬っコロには見えない。あれは何か別の、動く人型の植物アンドロイド?
植物やろうと名付けることにする!
「いや、わからない、ビーブルはあんな形をしていないし、人型、でもないのか?でも、あそこだ!この部屋の角に、フラッグだ。あれに触れればクリアだ。」
あれかあ、あの窓の近くの黒いフラッグ。あいつの線上じゃない、、、守ってるってわけ?
「でも、なんかヤバそう。あいつ。感じるんだ。すごい、嫌な感じ、頭の中に嫌なイメージが、死のイメージが出てくる。」
マシューは自分のお腹を手で支えていて、苦しそうだ。
多分ほとんど戦えない、私が、何とかしないと!
「セット!出力安定、相互リンク接続!」
正直この鉄柱の使い方はよくわからない、なぜか最初は8本だったのに気づいたら、1本に纏ってるし、でもそんなの考えてる暇はない!
やるしかない!
感じるんだ、フレームは自分自身。動いて!
「あれ?」
鉄柱は全く応答しない、それどころかやっぱり、宙にも飛ばない。どうなってるの?
「えっ、?あグっ!」
この、植物やろう。私が考えている間に間髪入れずに枝の拳を打ち込んでくる。痛いっ。私は、今、上手に身体強化できてないのに!!
そのまま、そいつは私とマシューから再び距離をとった。
「ナギ!!くっ!!」
「げふっ!けほっ、けほっ!まっ、マシュー?」
私と壁の間に入って衝撃を、、
それでも全身が割れるように痛い。こんなに全身が痛いの初めてかも。
痛い。動けな、、
「ナギ、はあ、はあ、よく聞け。お前は離脱しろ。俺があいつを何とかするから、」
「そっ、そんなのだめ。もういいよ、みんなで棄権しよう。」
「それはダメだ。ここのポイントが後に響いてくるんだ。」
「ポイントなんて、どうでもいいよ!!命の方が大事だ!!」
「いいか、ナギ。俺はどうしても軍に入るんだ。毎年、俺らの学校からは上位7名、もしくはそれよりも少ない数しか軍の精鋭部隊の候補生になれない。
貴族階級から毎年軍に入る奴がいるせいでな。俺は、絶対にそこに入って、”英雄”になるんだ。そうじゃなかったら、生きてる意味なんて無い。」
そう言ったマシューの瞳は真剣だ。コイツなりに真っ直ぐな覚悟がある。
それなのに、私は。
私は自分が許せない。どうせ、練習なんてとか学校だからとかって、勝手に決めつけてた。けど、
そんな、甘い考えはすてろ!私!
「大丈夫。あいつは二人で倒そう。私たちはチームなんだから。」
「何言って、ナギ。お前。」
「だって、あんたのそんな必死な顔見ちゃったらさ、勝たなきゃいけないんでしょ?昔、私の父さんがね、熱血バカには悪い奴はいないって、」
「ああ、ああそうだな!勝つぞ!!」
(ナギ、ありがとう。ああは言ったが、お前がいなかったら、俺は挫けてた!)
もう、お願いはしない。おい。ポンコツ。動け!今動かなかったら、私がまた死んで、今後生まれ変わっても、お前のことを恨み続けるからな!
「動け!!自由になりたいんだろ!だから私に、助けを求めてたんでしょうが!」
「なっ、何だよその出力。それにその光は。」
「来なさいよ!バケモノ!」
今なら、わかる。8本の鉄柱はそれぞれ別だ。でもその個が点と線で繋がってる。
それは1つで点と点が線で繋がるように、感じる。繋がりを辿れ!
「やって!鉄柱!」
まずは3本。それで、あのバケモノを囲みながら、動きを遮断する。
鉄柱から放出される光の粒子で三角形のシールドを作り出す!
「グギャアアア!?」
「なっ、光のシールド!?」
よし、あいつの動きを一時的に封じ込めてる!
残りの3本でマシューを守るシールドを正面に展開する。残りの2本は私の背中に、イメージするんだ。弓で的を狙うように、敵を射抜く!!
今!!シールドを分解する!
「吹っ飛べ」
私がイメージすると、光のピンク色をしたビームみたいなものが2本から射出されて相手の人型を壁際まで吹っ飛ばした。
「なっ、あの人型を吹っ飛ばした!?いや、空間を切り裂いたのか?あの、光の光線で。」
今度はさっきの2本を私の背中に!!翼をイメージしろ!
今の私は、あんたのその拳より、速い!!
私は鉄柱から流れ出てる光の粒子で加速しながら人型のアンドロイドに向かっていった。なに、この脚力。こんなに早く走ったのは初めてだ。
立ち上がったところを狙う。隙を与えない!
そのまま、正面に全体重を乗せた蹴りをお見舞いしてやる。
「くたばれ、植物やろう!!」
決まった!!今のは完全に腹に入った!!でも、まるで手応えがない。これは、今攻撃した植物やろうの体の箇所が全て意思を持って、避けたような?
「グギャアア!!」
この近距離で、膝から枝を伸ばしてきた!!?まずい、
「守って!」
滞空している3本で枝の動きを封じて、攻撃を無効化する!でも、くる。2撃目!左手から、あの枝のリーチ、速い!間に合わない!
「もらった!」
「マシューの片方の剣!ずっと、この瞬間を狙ってたの!?」
てか、どこにあったのよ!?
「意識を片方にずっと集中しとくの、かなりキツいんだな。俺は不意打ちが、得意なんだよ!!終わりだ!」
「グアア??ウルルッッ、」
そのまま、剣のフレームで頭を貫かれた人型は地面に倒れて、塵になった。
「終わったの?はあ、はあ、これで、私たちの任務は完了!!」
疲労が溜まりすぎて、フラッグに手を触れてからは私の意識はなかった。
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