死にたがりの魔物使いは異世界で生き抜くためにモンスターを合成します。

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予選第二試合

「本選出場おめでとうございます、マジョルカさん」
「ありがとう、エイミ」
マジョルカがハイドラゴンとともに戻ってきた。


予選会場はまだどよめいている。
それもそのはず予選開始三秒でハイドラゴンは勝利を収めたからだ。


リングの端にいたハイドラゴンは開始の合図とともに翼を大きく羽ばたかせ突風を巻き起こした。
その突風でリング上のモンスターはすべて場外へと投げ出されたというわけだ。


「え、えー、では受付番号五十一番から九十九番までの奇数番号の方、モンスターをリングに上げてください」


「俺だな」
番号の書かれた紙を確認する。俺の番号は五十一番だ。


「頑張ってくださいね。クウカイさん、次元竜さん」
「ああ」
『フシュー……貴様が返事をするな。戦うのは我だぞ』
次元竜がぎょろっとした瞳で俺を見下ろす。


「わかってるよ。勝ってこい次元竜」
『フシュー……ふんっ』
次元竜はずしんずしんと大きな体を揺らしながらリングへと赴いた。
体に比例して態度まで大きくなってしまった次元竜。
これで負けたら笑ってやるからな。


「では予選第二試合、始めっ!」


マイクを持った男性が開始を宣言すると次元竜の周りを他のモンスターたちが取り囲んだ。


「おいおい、一対二十四かよ」
「でかいから目をつけられたな」
とマジョルカ。


「大丈夫なんですか?」
「どうだろう。あいつ動きが遅いからなぁ」
俺の声が聞こえたのか次元竜がこっちを振り向いた。


とその時、取り囲んでいたモンスターたちが全方位から一斉に襲い掛かった。
「次元竜っ」
すると次の瞬間、次元竜の姿が忽然と消えた。


二十四体のモンスターたちはきょろきょろと辺りを探す。


「上よっ!」
一人の女性が声を上げた。
その場にいた全員の視線が上に向く。


見上げると次元竜がまさに落下している途中だった。
瞬間移動で空中に飛んだのだろう。


そして、


どすん!


次元竜は二十四体のモンスターたちを押しつぶすようにリングに着地した。


静寂が辺りを包む。


「あいつ、殺してないだろうな……」
一体でも殺していたら即失格だぞ。


次元竜は翼を動かし飛び上がる。
魔物使いたちがそれぞれ自分のモンスターたちに声をかけると倒れていたモンスターたちがよろよろと起き上がって自分のマスターたちのもとへ歩いていく。


「見ろ。手加減はしたみたいだぞ」
マジョルカが言う。
魔物使いたちは勧誘の腕輪を使って自分のモンスターを回復させていた。


「勝者、受付番号五十一番クウカイさんのモンスターです!」


マイクに乗って司会者の男性の声が会場内に響いた。

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