死にたがりの魔物使いは異世界で生き抜くためにモンスターを合成します。

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

いざ出発

そして翌日。


ベンザが銀の旅団の副リーダーのカティアスに真犯人がキリートであったことを説明してくれたおかげで俺たちは無事カムラの町を出発することが叶った。
カティアスが話の分かる人間だったことも幸いした。


「もう行くのか?」
とベンザ。


「ああ、お前には感謝してるよ」
「なあに、おれの方こそ感謝してるぜ。キリート団長を倒してくれたんだからな」
ベンザは続ける。
「それにしても初めて会った時はスライムに殺されそうになってた奴があのキリート団長をな……」
「それはもういいだろ」


「えっ、何? あんたスライムに殺されそうになってたの? ダッサ~」
シルキーが「ぷぷっ」と笑う。


「しょうがないだろ。右も左もわからなかったんだから」
ベンザが助けてくれてなかったら今もスライムの体の中だったかもしれないんだ。ベンザには本当に感謝している。


「でも今はこいつがいるから大丈夫だ」
俺はハピネスキングを見上げた。
『もちろんだとも』
ハピネスキングは威風堂々立っている。


「でもこいつレベル1だよな。キンシャザの町に行くんだからもっとレベル上げといたほうがいいぜ」
「どういうことですか? キンシャザの町に何かあるんですか?」
エイミが訊いた。


「あ? キンシャザの町に行くってことは格闘大会にあんたらも出るんだろ?」
「だからってなんでハピネスキングのレベルを上げる必要があるんだよ」
「本気で言ってんのかクウカイ? キンシャザの格闘大会はいわば魔物使いの祭典みたいなもんだろうが」
「どういうことよ」
とのシルキーの問いに今度はマジョルカが答える。 
「言ってなかったか? キンシャザの町の格闘大会は魔物使いが育てたモンスター同士を戦わせる大会なんだよ」


「え、そうだったんですか?」
「あたしてっきり人間同士で戦うのかと思ってたわ。じゃああたしは出られないじゃない」
「そうなるな。悪い、シルキー」
とマジョルカ。


「優勝したモンスターのマスターはどんな願いでも一つだけ叶えてもらえるらしいからな。頑張れよクウカイ!」
ベンザに背中をばしっと叩かれる。


「お、おう」
どんな願いでも、か……。
不死の体を元に戻してくれって願いも有効かな?


「じゃあそろそろ行くか!」
「はい」
「はーい」
「ああ」
マジョルカの号令で俺たちはカムラの町をあとにしてキンシャザの町へと向かって歩き出した。

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