死にたがりの魔物使いは異世界で生き抜くためにモンスターを合成します。
四等分
「お前のすごさはわかったからさっさと下りろって」
俺の頭の上にちょこんと居座っているラッキースライムに声をかける。
『貴様の軽い頭を気に入った。もうしばらく乗っててやる』
「黙れ、下りろこら」
『何をするか、やめろ雑兵め』
俺はラッキースライムを掴むがつるんと俺の手から逃れまたしても俺の頭の上に乗る。
「おい、いい加減にしろよ」
「いいじゃないですか。ラッキースライムさんが乗ったクウカイさん可愛いですよ」
エイミが俺の姿を見てにっこりと微笑む。
「あのなぁ……」
と言ってみたが内心は嬉しかった。
女性に褒められたことなどこの二十数年皆無だったからな。
可愛いと言われただけで顔が赤くなりそうだ。
「そんなことより金貨二千枚も手に入れたんならあたしたちにも分けなさいよ」
シルキーが手をちょいちょいとやる。
俺とエイミはウェゴの町の外でシルキーたちと合流を済ませていた。
「四人だから四等分で一人五百枚ずつでちょうどいいじゃない」
「何がちょうどだ。お前らに分ける義理はない」
カジノに一緒についてきてくれたエイミならともかくなんでシルキーに俺のお金を分けなきゃならないんだ。
『人間のオスよ、分けてやれ』
頭上から声が降ってくる。
「はぁ?」
『俺様がいなければ手に入らなかった金だろう。所詮あぶく銭だ、メスたちに分けてやれ。それがオスの甲斐性というものだ』
「あんたいいこと言うじゃん。そうよクウカイ、男の甲斐性見せなさいっ」
シルキーがずびしっと俺を指差した。
見回すとマジョルカもエイミも仲間のモンスターたちまでもが俺を見ていた。
そんな注目しないでくれ。なぜか追い詰められた気分になる。
「女に優しくしないとモテないわよっ」
シルキーのその一言が駄目押しになった。
俺にとって女性にモテないは一生の課題だった。命題といってもいい。
もちろんお金を分けたところですぐにモテるなんて思ってはいないが、それでも……。
「……わかったよ。四等分な」
俺は金貨を四人で分けることに決めた。
「お前らの口座に移しといてやるよ」
「やったー! クウカイ、あんたいい奴ねっ」
両手を上げてぴょんぴょん飛び跳ねるシルキー。
「いいのか? あとで後悔しても知らんぞ」
マジョルカは口角を上げながら言う。
「ああ、好きに使ってくれ」
「ふっ、じゃあありがたくもらっておくかな」
俺の肩を二度叩くマジョルカ。
「ほ、本当にいいんですか?」
「ああ、俺が金貨二千枚なんて持ってても使い道ないからな」
「でもやっぱり五百枚もの金貨なんて受け取れないです」
首を横に振る。
エイミはそう言うと思ってたよ。
「じゃああたしがエイミの分ももらってあげるわよっ」
「お前は引っ込んでろ」
エイミの爪の垢を煎じてシルキーの口に流し込みたいくらいだ。
「エイミももらってくれ。モンスターのために使ってもいいし、なんならどこかに寄付したっていいんだから。な?」
「……は、はい。わかりました。ありがとうございます」
渋々ではあるが納得してくれたようだ。
「さ、じゃあそろそろ行くか」
「次はどこに行くんだ?」
ぱしんと手を叩くマジョルカに俺は訊ねる。
「次はエスターの町だ。そこにはわたしの知り合いの呪術師がいるからな、お前の体のことを相談してみよう」
呪術師か……。
響きが不気味で不安だ。
「ほんのちょっとだが長旅になるぞ」
「長旅ってどれくらいですか? マジョルカさん」
「そうだな、十日間てとこだ」
おい、マジョルカ。十日間はほんのちょっとじゃないぞ。
俺の頭の上にちょこんと居座っているラッキースライムに声をかける。
『貴様の軽い頭を気に入った。もうしばらく乗っててやる』
「黙れ、下りろこら」
『何をするか、やめろ雑兵め』
俺はラッキースライムを掴むがつるんと俺の手から逃れまたしても俺の頭の上に乗る。
「おい、いい加減にしろよ」
「いいじゃないですか。ラッキースライムさんが乗ったクウカイさん可愛いですよ」
エイミが俺の姿を見てにっこりと微笑む。
「あのなぁ……」
と言ってみたが内心は嬉しかった。
女性に褒められたことなどこの二十数年皆無だったからな。
可愛いと言われただけで顔が赤くなりそうだ。
「そんなことより金貨二千枚も手に入れたんならあたしたちにも分けなさいよ」
シルキーが手をちょいちょいとやる。
俺とエイミはウェゴの町の外でシルキーたちと合流を済ませていた。
「四人だから四等分で一人五百枚ずつでちょうどいいじゃない」
「何がちょうどだ。お前らに分ける義理はない」
カジノに一緒についてきてくれたエイミならともかくなんでシルキーに俺のお金を分けなきゃならないんだ。
『人間のオスよ、分けてやれ』
頭上から声が降ってくる。
「はぁ?」
『俺様がいなければ手に入らなかった金だろう。所詮あぶく銭だ、メスたちに分けてやれ。それがオスの甲斐性というものだ』
「あんたいいこと言うじゃん。そうよクウカイ、男の甲斐性見せなさいっ」
シルキーがずびしっと俺を指差した。
見回すとマジョルカもエイミも仲間のモンスターたちまでもが俺を見ていた。
そんな注目しないでくれ。なぜか追い詰められた気分になる。
「女に優しくしないとモテないわよっ」
シルキーのその一言が駄目押しになった。
俺にとって女性にモテないは一生の課題だった。命題といってもいい。
もちろんお金を分けたところですぐにモテるなんて思ってはいないが、それでも……。
「……わかったよ。四等分な」
俺は金貨を四人で分けることに決めた。
「お前らの口座に移しといてやるよ」
「やったー! クウカイ、あんたいい奴ねっ」
両手を上げてぴょんぴょん飛び跳ねるシルキー。
「いいのか? あとで後悔しても知らんぞ」
マジョルカは口角を上げながら言う。
「ああ、好きに使ってくれ」
「ふっ、じゃあありがたくもらっておくかな」
俺の肩を二度叩くマジョルカ。
「ほ、本当にいいんですか?」
「ああ、俺が金貨二千枚なんて持ってても使い道ないからな」
「でもやっぱり五百枚もの金貨なんて受け取れないです」
首を横に振る。
エイミはそう言うと思ってたよ。
「じゃああたしがエイミの分ももらってあげるわよっ」
「お前は引っ込んでろ」
エイミの爪の垢を煎じてシルキーの口に流し込みたいくらいだ。
「エイミももらってくれ。モンスターのために使ってもいいし、なんならどこかに寄付したっていいんだから。な?」
「……は、はい。わかりました。ありがとうございます」
渋々ではあるが納得してくれたようだ。
「さ、じゃあそろそろ行くか」
「次はどこに行くんだ?」
ぱしんと手を叩くマジョルカに俺は訊ねる。
「次はエスターの町だ。そこにはわたしの知り合いの呪術師がいるからな、お前の体のことを相談してみよう」
呪術師か……。
響きが不気味で不安だ。
「ほんのちょっとだが長旅になるぞ」
「長旅ってどれくらいですか? マジョルカさん」
「そうだな、十日間てとこだ」
おい、マジョルカ。十日間はほんのちょっとじゃないぞ。
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