死にたがりの魔物使いは異世界で生き抜くためにモンスターを合成します。

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

協力

「えっ! 私に協力してくれるんですかっ?」


エイミに追いついた俺がモスクイーンを仲間にする手助けを申し出るとエイミは途端に表情をほころばせた。


「ああ」
俺は乗り気ではないのだがクラウンがやる気満々だから仕方がない。


「でも私すごく弱いですよ。同じ魔物使いのクウカイさんならわかると思いますけど。仲間のモンスターがいないと何も出来なくて……」
「わかるよ。俺はレベル15だけどMP以外の数値はオール4だからな」
「え……オール4なんですか?」
エイミは目を丸くする。
何かおかしなことを言っただろうか?


「エ、エイミはどれくらいなんだ?」
「えっと、レベルは84でパラメータは力が3でそれ以外は……全部12です」
「へ、へー、そうなんだ……」
力以外はトリプルスコアかよっ。


それにしても……。
「レベル84もあるんだな、エイミは」
「はい。私の仲間だったアップルがメタル打ちという特技を覚えてくれていたのでメタリックスライムをとにかく沢山倒してレベルを上げましたから」
メタリックスライムっていうのは多分昨日出遭った銀色のスライムのことだよな。
あいつは確かに経験値が高かった。


「あの、でも、いいんでしょうか? これって黄昏の赤に入るための試験なのに。誰かの手を借りるなんて……」
エイミは俺と同じことを考えたようだ。
まともな娘でほっとする。


「条件はどうなってるんだ? 誰かに手伝ってもらったら駄目とか言われたか?」
「いえ、言われてはいないです」
「だったらいいんじゃないか。それにこいつがきみを助けたがってるしな」
「え、クラウンさんがですか?」
エイミはクラウンを見上げた。
クラウンは王者の風格を漂わせるかのようにただ堂々としている。


「ああ。だから手伝わせてくれ」
「あっはい、もちろん。こちらこそよろしくお願いしますっ」
何度も頭を下げるエイミ。
その度に大きな胸が揺れる。
やばいやばい、つい目がいってしまう。そらさないと。


「? クウカイさん、空がどうかしましたか?」
「い、いや、なんでもないっ」


たまらず見上げた夜空には数えきれないほどの星たちがきれいにまたたいていた。

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