ダンジョン・ニート・ダンジョン ~ダンジョン攻略でお金が稼げるようになったニートは有り余る時間でダンジョンに潜る~
ストーカー撃退
「お、お前が悪いんだからな……ぼ、ぼくのこずえちゃんにあんなに近付くからいけないんだっ。こ、これは天罰なんだっ!」
男の声が降ってくる。
「わんわんっ、わんわんっ!」
ポチが男に対してけたたましく吠えたてている。
「う、うるさいっ、バカ犬っ!」
「きゃいんっ」
「に、二度とぼくのこずえちゃんに、ち、近付くなよ。へ、へへっ、ってもう死んでるか、こい――」
「いってー……」
男が何やら言っているが俺は痛みの残る後頭部を押さえながら立ち上がった。
「なっ!?」
フードをかぶった男が俺を見て驚愕の表情を浮かべている。
「お、お前なんで、平気なんだっ、こ、殺すつもりで思いっきり殴ってやったのに……!」
見ると男は手に大きな石を持っていた。
「誰だあんた? いってぇなもう、防御力が上がってても痛いもんは痛いんだからな。ヒール!」
オレンジ色の光が俺を包むと頭の痛みは消えていく。
「ポチ、大丈夫か。ヒール!」
念のためポチにも回復魔法を施してやると俺は男に向き直った。
「あんた、もしかして高木さんが言ってたストーカーか?」
「ス、ストーカーじゃないっ。ぼ、ぼくはこずえちゃんの正義の味方だっ」
「あんた、俺が言うのもなんだけどかなりやばいな。今のだって俺じゃなかったら本当に死んでたかもしれないんだからな」
「そ、そうだ……こずえちゃんに近付く奴はこ、殺してやるんだっ……」
そう言うと男は大きな石を振り上げ向かってきた。
「うわああぁぁー!」
「バトルアース!」
俺が口にした途端ツタが地面を突き破り男の手足に巻き付いた。
「な、なんだこれっ、う、動けないっ……!?」
「ポチ、こういう奴はどうしたらいいと思う?」
「くぅん?」
俺は男の前に立つと男を冷たい目で見下ろす。
男に手をのばし、
「ストーカーは口で言ったくらいじゃ効かないらしいんだよなぁ」
「な、なんだよっ、ぼくに触るなっ!」
「いっそ手足を潰すか」
男の腕を握る。
「があぁっ折れる折れるっ……!」
「どうした? まだ力の一割も出してないぞ」
「やめてくれぇー! 助けむぐっ……!?」
「近所迷惑だろ」
俺は男の口を手でふさいだ。
男の腕から手を放し横に立っていた電信柱をみつめると次の瞬間、
ドゴンっ!!
俺は裏拳で電信柱を破壊した。
「……っっ!?」
「もしあんたをまた見かけたらあんたの体を粉々にする」
「……っ」
「わかった?」
「……っ」
恐怖でひきつった顔を何度も小刻みに震えさせる。
俺は男の口から手を放す。
「あんたここまで何で来た?」
「……じ、じ、自転車、です」
「そこにあるやつ?」
あごをしゃくる。
「は、はい」
俺は塀のそばに置かれていた自転車に手を向けて、
「バトルウインド!」
と唱えた。
スパッ。
ガシャーン。
自転車が真っ二つになる。
「……っ!!?」
「もう帰っていいよ」
「……は、はい……!?」
「わかってると思うけど高木さんにちょっかい出したら自分から死なせてくださいって泣いてお願いするほどの拷問をくらわせるからね」
「は、はい。も、もうこずえち、い、いえ、高木さんには二度と近付きませんっ。はいっ……!」
俺の目を見て壊れたロボットのように首を上下左右に何度も激しく振った男は二つに割れた自転車を引きずりながら夜道を帰っていった。
「うーん、多分あれでもう大丈夫だとは思うけど……」
恐怖を感じるタイプのまともなストーカーでよかった。
ストーカーにまともという表現もおかしいが一応話は通じたようだ。
とはいえ――
「ポチ、明日も明後日もここまで散歩に来ような」
「わんっ」
心配なので俺は高木さんのアパートまでの道のりを新しく散歩コースに取り入れることにした。
男の声が降ってくる。
「わんわんっ、わんわんっ!」
ポチが男に対してけたたましく吠えたてている。
「う、うるさいっ、バカ犬っ!」
「きゃいんっ」
「に、二度とぼくのこずえちゃんに、ち、近付くなよ。へ、へへっ、ってもう死んでるか、こい――」
「いってー……」
男が何やら言っているが俺は痛みの残る後頭部を押さえながら立ち上がった。
「なっ!?」
フードをかぶった男が俺を見て驚愕の表情を浮かべている。
「お、お前なんで、平気なんだっ、こ、殺すつもりで思いっきり殴ってやったのに……!」
見ると男は手に大きな石を持っていた。
「誰だあんた? いってぇなもう、防御力が上がってても痛いもんは痛いんだからな。ヒール!」
オレンジ色の光が俺を包むと頭の痛みは消えていく。
「ポチ、大丈夫か。ヒール!」
念のためポチにも回復魔法を施してやると俺は男に向き直った。
「あんた、もしかして高木さんが言ってたストーカーか?」
「ス、ストーカーじゃないっ。ぼ、ぼくはこずえちゃんの正義の味方だっ」
「あんた、俺が言うのもなんだけどかなりやばいな。今のだって俺じゃなかったら本当に死んでたかもしれないんだからな」
「そ、そうだ……こずえちゃんに近付く奴はこ、殺してやるんだっ……」
そう言うと男は大きな石を振り上げ向かってきた。
「うわああぁぁー!」
「バトルアース!」
俺が口にした途端ツタが地面を突き破り男の手足に巻き付いた。
「な、なんだこれっ、う、動けないっ……!?」
「ポチ、こういう奴はどうしたらいいと思う?」
「くぅん?」
俺は男の前に立つと男を冷たい目で見下ろす。
男に手をのばし、
「ストーカーは口で言ったくらいじゃ効かないらしいんだよなぁ」
「な、なんだよっ、ぼくに触るなっ!」
「いっそ手足を潰すか」
男の腕を握る。
「があぁっ折れる折れるっ……!」
「どうした? まだ力の一割も出してないぞ」
「やめてくれぇー! 助けむぐっ……!?」
「近所迷惑だろ」
俺は男の口を手でふさいだ。
男の腕から手を放し横に立っていた電信柱をみつめると次の瞬間、
ドゴンっ!!
俺は裏拳で電信柱を破壊した。
「……っっ!?」
「もしあんたをまた見かけたらあんたの体を粉々にする」
「……っ」
「わかった?」
「……っ」
恐怖でひきつった顔を何度も小刻みに震えさせる。
俺は男の口から手を放す。
「あんたここまで何で来た?」
「……じ、じ、自転車、です」
「そこにあるやつ?」
あごをしゃくる。
「は、はい」
俺は塀のそばに置かれていた自転車に手を向けて、
「バトルウインド!」
と唱えた。
スパッ。
ガシャーン。
自転車が真っ二つになる。
「……っ!!?」
「もう帰っていいよ」
「……は、はい……!?」
「わかってると思うけど高木さんにちょっかい出したら自分から死なせてくださいって泣いてお願いするほどの拷問をくらわせるからね」
「は、はい。も、もうこずえち、い、いえ、高木さんには二度と近付きませんっ。はいっ……!」
俺の目を見て壊れたロボットのように首を上下左右に何度も激しく振った男は二つに割れた自転車を引きずりながら夜道を帰っていった。
「うーん、多分あれでもう大丈夫だとは思うけど……」
恐怖を感じるタイプのまともなストーカーでよかった。
ストーカーにまともという表現もおかしいが一応話は通じたようだ。
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「ポチ、明日も明後日もここまで散歩に来ような」
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