ダンジョン・ニート・ダンジョン ~ダンジョン攻略でお金が稼げるようになったニートは有り余る時間でダンジョンに潜る~
グリュプスの羽の効果
空腹のスラのため俺たちは仕方なく地下十三階層で今回のダンジョン探索を切り上げることにした。
ここまで下りてきた階段を上へ上へと上がっていく。
ここで意外にも役に立ったのがグリュプスの羽だった。
グリュプスの羽は持っていればグリュプスより弱いモンスターが襲ってこないというアイテムだったので俺は一切の戦闘を避け地下三階層まで来ていた。
恐怖を感じないはずのゾンビもこのアイテムのおかげか襲ってはこない。
俺は空腹でぐるぐると目が回っているスラを腕の中に抱いたまま小走りで地下二階層への階段を探す。
「マツイさんマツイさん、こんな時になんですけど私との約束憶えてます?」
「ん? ああ。賢者の石だろ、憶えてるよ」
「わ~い、やった~」
ククリが宙を飛びながら可愛らしく手を上げた。
約束というのは家に帰るまでにベアさんに会えなければ売値三百万円という賢者の石を俺がククリの目の前で使ってみせるというものだ。
賢者の石はランダムで割った者に奇跡が訪れるというアイテムで使ってみないとその効果はわからない。
ククリは賢者の石を俺が実際に使うところを生で見てみたいのだそうだ。
もちろん俺は三百万円を手に入れたいから売り払いたいが。
「喜ぶのはまだ早いぞ。もしかしたら戻る途中でベアさんに会えるかもしれないんだからな」
「わかってますよ~」
俺はまだ希望は捨てていない。
ここは地下三階層、あと三フロア残っている。
そんな会話をしていると、
「あ、階段ですよっ」
ククリが地下二階層への階段をみつけた。
「お、おう」
俺は心の中で軽く舌打ちをするがスラの手前表情には出さずにその階段を駆け上がっていった。
これで残り二フロアだ。
『ピキ~……』
「大丈夫か? もうすぐ地上だからな。そしたらパンでもご飯でもドッグフードでも好きなもの食べさせてやるからな」
弱っているスラに時折り声掛けしながら地下二階層をひた走る。
ゴブリンの姿は一切見えない。
「マツイさん、こっちですっ」
ククリの案内に沿ってあとをついて行くと地下一階層への階段がある部屋にたどり着いた。
俺はその階段を上ると地上との出入口である写し鏡の門のある場所へと向かった。
地下一階層。
正直もうベアさんに会うことは内心諦めていた。
三百万円は惜しいがそれもスラのため仕方のないことだと思い始めていた。
俺の頭から金銭欲が消えかけていたまさにそんな時――
『ようククリ、そんな急いでどうしたっ?』
ある部屋の前を通り過ぎようとした俺たちに声をかける者がいた。
その声の主は何を隠そうもちろんベアさんだった。
ここまで下りてきた階段を上へ上へと上がっていく。
ここで意外にも役に立ったのがグリュプスの羽だった。
グリュプスの羽は持っていればグリュプスより弱いモンスターが襲ってこないというアイテムだったので俺は一切の戦闘を避け地下三階層まで来ていた。
恐怖を感じないはずのゾンビもこのアイテムのおかげか襲ってはこない。
俺は空腹でぐるぐると目が回っているスラを腕の中に抱いたまま小走りで地下二階層への階段を探す。
「マツイさんマツイさん、こんな時になんですけど私との約束憶えてます?」
「ん? ああ。賢者の石だろ、憶えてるよ」
「わ~い、やった~」
ククリが宙を飛びながら可愛らしく手を上げた。
約束というのは家に帰るまでにベアさんに会えなければ売値三百万円という賢者の石を俺がククリの目の前で使ってみせるというものだ。
賢者の石はランダムで割った者に奇跡が訪れるというアイテムで使ってみないとその効果はわからない。
ククリは賢者の石を俺が実際に使うところを生で見てみたいのだそうだ。
もちろん俺は三百万円を手に入れたいから売り払いたいが。
「喜ぶのはまだ早いぞ。もしかしたら戻る途中でベアさんに会えるかもしれないんだからな」
「わかってますよ~」
俺はまだ希望は捨てていない。
ここは地下三階層、あと三フロア残っている。
そんな会話をしていると、
「あ、階段ですよっ」
ククリが地下二階層への階段をみつけた。
「お、おう」
俺は心の中で軽く舌打ちをするがスラの手前表情には出さずにその階段を駆け上がっていった。
これで残り二フロアだ。
『ピキ~……』
「大丈夫か? もうすぐ地上だからな。そしたらパンでもご飯でもドッグフードでも好きなもの食べさせてやるからな」
弱っているスラに時折り声掛けしながら地下二階層をひた走る。
ゴブリンの姿は一切見えない。
「マツイさん、こっちですっ」
ククリの案内に沿ってあとをついて行くと地下一階層への階段がある部屋にたどり着いた。
俺はその階段を上ると地上との出入口である写し鏡の門のある場所へと向かった。
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正直もうベアさんに会うことは内心諦めていた。
三百万円は惜しいがそれもスラのため仕方のないことだと思い始めていた。
俺の頭から金銭欲が消えかけていたまさにそんな時――
『ようククリ、そんな急いでどうしたっ?』
ある部屋の前を通り過ぎようとした俺たちに声をかける者がいた。
その声の主は何を隠そうもちろんベアさんだった。
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