ダンジョン・ニート・ダンジョン ~ダンジョン攻略でお金が稼げるようになったニートは有り余る時間でダンジョンに潜る~
地下四階層
「ヒール!」
呪文を唱えるとオレンジ色の光が俺を包み込んだ。
暖かい光に身をゆだねていると怪我をしていた右目がみるみるうちに治っていく。
「大丈夫ですか? マツイさん」
心配そうにみつめるククリの姿も両目ではっきりと確認できる。
「ああ、もう心配ないよ」
マーダーゾンビにやられた右目の傷はすっかりふさがった。
出血も痛みもひいている。
「すいませんマツイさん、私がもっと早くマーダーゾンビの特徴を思い出していれば怪我をすることもなかったかもしれないのに……」
反省した様子で話すククリ。
まったくもってその通りなのだが、
「いや、このフロアを出たくて俺も焦っていたからな。気にするな」
「マツイさん……」
自分にも落ち度があるので責めるつもりはない。
「でも今度フロアボスと戦う時は事前に知っている情報はすべて教えてくれよな、ククリ」
「はい、任せてください」
ククリはポンと胸を叩くといつもの明るい表情に戻った。
「よし、じゃあまだポチのエサがなくなるまで一日あるし次の階層に進んでみるか」
「あ、待ってください。その前に宝箱を開けないとっ」
「あーそっか、うっかりしてた」
フロアボスであるマーダーゾンビを倒した際に現れた宝箱の存在を忘れていた。
フロアボスが必ず落とす宝箱には罠はないはずだから俺は魔眼の透視能力は使わずにそのまま箱を開けた。
すると、
「んん? これは……ただの魔草か?」
「そうみたいですね」
中に入っていたのは魔草だった。
「なんだよ、もっといいもの期待してたのに」
右目を怪我したり、せっかくのフロアボスの宝箱が魔草だったりとやはりついていない。
「地下三階層はろくなことがなかったな」
「その分次の階層ではいいことが待っていますよ絶対」
「それも勘なんだろ?」
「はい、勘ですっ」
☆ ☆ ☆
「どこがいいことが待っているだ、ククリっ! 最悪じゃないかっ!」
「えーん、すいませーんっ!」
地下四階層に下り立った俺たちが一番最初に目にしたものは地下四階層のフロアボス、キラービーだった。
運の悪いことに階段を下りた場所こそフロアボスのいる部屋で既に通路は石の壁で塞がれていて逃げ場はない。
ご丁寧に上の階層へと戻る階段までも石の壁で塞がれてしまった。
ブンブンと恐怖心をあおるような蜂独特の羽音を立てて追いかけてくるキラービー。
お尻の針を俺に刺す気満々らしい。
ただでさえ俺は蜂が大の苦手なのに今俺を執拗に追いかけまわしている蜂そっくりのモンスターは中型冷蔵庫くらいの大きさがある。
俺は密室となった部屋の中を必死に逃げ回りながら、
「ククリっ、どうすればいいっ!」
部屋の中央、天井付近に避難しているククリに向かって叫んだ。
「キラービーのお尻の針には毒がありますから注意してくださいっ」
「んなことは大体わかるっ、こいつに弱点はあるのかっ!」
毒とか以前にあんな大きな針で刺されるなど考えたくもない。
俺は二十六歳にして注射も苦手なのだ。
呪文を唱えるとオレンジ色の光が俺を包み込んだ。
暖かい光に身をゆだねていると怪我をしていた右目がみるみるうちに治っていく。
「大丈夫ですか? マツイさん」
心配そうにみつめるククリの姿も両目ではっきりと確認できる。
「ああ、もう心配ないよ」
マーダーゾンビにやられた右目の傷はすっかりふさがった。
出血も痛みもひいている。
「すいませんマツイさん、私がもっと早くマーダーゾンビの特徴を思い出していれば怪我をすることもなかったかもしれないのに……」
反省した様子で話すククリ。
まったくもってその通りなのだが、
「いや、このフロアを出たくて俺も焦っていたからな。気にするな」
「マツイさん……」
自分にも落ち度があるので責めるつもりはない。
「でも今度フロアボスと戦う時は事前に知っている情報はすべて教えてくれよな、ククリ」
「はい、任せてください」
ククリはポンと胸を叩くといつもの明るい表情に戻った。
「よし、じゃあまだポチのエサがなくなるまで一日あるし次の階層に進んでみるか」
「あ、待ってください。その前に宝箱を開けないとっ」
「あーそっか、うっかりしてた」
フロアボスであるマーダーゾンビを倒した際に現れた宝箱の存在を忘れていた。
フロアボスが必ず落とす宝箱には罠はないはずだから俺は魔眼の透視能力は使わずにそのまま箱を開けた。
すると、
「んん? これは……ただの魔草か?」
「そうみたいですね」
中に入っていたのは魔草だった。
「なんだよ、もっといいもの期待してたのに」
右目を怪我したり、せっかくのフロアボスの宝箱が魔草だったりとやはりついていない。
「地下三階層はろくなことがなかったな」
「その分次の階層ではいいことが待っていますよ絶対」
「それも勘なんだろ?」
「はい、勘ですっ」
☆ ☆ ☆
「どこがいいことが待っているだ、ククリっ! 最悪じゃないかっ!」
「えーん、すいませーんっ!」
地下四階層に下り立った俺たちが一番最初に目にしたものは地下四階層のフロアボス、キラービーだった。
運の悪いことに階段を下りた場所こそフロアボスのいる部屋で既に通路は石の壁で塞がれていて逃げ場はない。
ご丁寧に上の階層へと戻る階段までも石の壁で塞がれてしまった。
ブンブンと恐怖心をあおるような蜂独特の羽音を立てて追いかけてくるキラービー。
お尻の針を俺に刺す気満々らしい。
ただでさえ俺は蜂が大の苦手なのに今俺を執拗に追いかけまわしている蜂そっくりのモンスターは中型冷蔵庫くらいの大きさがある。
俺は密室となった部屋の中を必死に逃げ回りながら、
「ククリっ、どうすればいいっ!」
部屋の中央、天井付近に避難しているククリに向かって叫んだ。
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