最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~
第340話 儚い夢
「あったま、いて~……」
俺はふらふらの状態で宿屋に朝帰りするとそのままベッドに倒れ込む。
昨日の晩からつい今しがたまで酒場でローレルたちとお酒を飲んでいたのだった。
大して強くもないくせにローレルに無理矢理お酒を飲まされたせいもありひどく頭が痛む。
「あ~、今日は依頼はいいや……寝よ」
俺の所持金は残り金貨三枚とかなり懐が寂しいのだが頭痛と睡魔には勝てない。
俺は今日は休日と決め込み死んだように眠りにつくのだった。
☆ ☆ ☆
『マスター起きてっ』
枕もとで可愛らしい声がする。
「んん? なんだ……?」
『おはよう、マスター。おいらのこと覚えてる?』
「え、えーっと……」
目の前には白くて小さなドラゴンのような魔物がいた。
前にも見たことあるような……?
『おいら、キューンだよ』
「あっ、そうか。キューンだったな、悪い悪い」
『マスター、今日は久しぶりにダンジョンに潜ろうよっ』
「ダンジョン? ってなんだっけ?」
聞き覚えがあるような、ないような。
『やだな~、そんなことも忘れちゃったの? ダンジョンっていうのはアイテムや魔物がいっぱい出てくる場所だよ。おいらとマスターもそこで出会ったんじゃない』
「そっか……そういえばそうだった気がするよ」
『じゃあ行こっ。今日はランクZの儚い夢のダンジョンだよっ』
「よし、行こうかっ」
俺はキューンとともに家を出ると家のすぐ近くにあるダンジョンに足を踏み入れた。
ダンジョンの中は壁も地面もぐにゃぐにゃしていて目が回りそうになる。
『マスター、大丈夫?』
「ああ、だいじょぶ、だいじょぶ……」
と言いつつもちょっとだけ気分が悪い。
『あっ、マスター。魔物だよっ』
「おう、任せろっ」
前方から六本脚の大きなバッタのような魔物が現れた。
俺はその魔物に飛びかかると前脚を掴んで壁に投げ飛ばす。
「おりゃあぁっ」
だがバッタのような魔物は空中で羽を広げると壁に激突する前に空中で方向転換し向かってきた。
『ジジジジッ!』
バッタのような魔物は口を開けぶしゅっと黄色い液体を飛ばしてくる。
俺はそれを全身に浴びてしまった。
「うわっ、なんだこれっ?」
べたべたとして気色悪いその黄色い液体はひどく臭う。
「このやろっ。スキル、火炎魔法ランク10っ!」
俺の手から特大の炎の玉が発射された。
飛び出していった炎の玉が当たる直前またしてもバッタのような魔物は空中で向きを変えこれを回避する。
「おい、キューン。ここ本当にランクZのダンジョンかっ? それにしては魔物が強いぞっ」
『マスター、氷結魔法だよっ』
「お、おう」
俺はキューンに指示された通り、
「スキル、氷結魔法ランク10っ!」
と唱えた。
すると一瞬にしてバッタのような魔物が氷に覆われた。
「おおっ、やったぞ……おえっ……」
周りがぐにゃぐにゃだからか、それとも黄色い液体が臭うからかどうも気分が悪い。
吐き気がしてきた。
「このっ……」
俺は力を振り絞り氷漬けになったバッタのような魔物を殴り飛ばしこれを粉砕する。
「ふぅ~……倒したぞ、キューン」
『やったねマスター』
「あれ? レベルが上がらなかったみたいだ。割と強めの魔物だったのになぁ……」
『そんなことよりマスター、ちょっと臭うよ』
鼻を押さえながらキューンが言ってくる。
「あ~、悪い悪い。今拭くから……うっぷ」
俺は不思議な袋の中に手を入れようとして「ん?」腰に不思議な袋がないことに気付いた。
「おかしいな。キューン、俺の不思議な袋知らないか?」
あの中にはタオルやミネラルウォーターが入っているはずなのだが……。
『ううん。おいら知らないよ』
「そうか、まいったなぁ……」
『でも大丈夫だよ。マスター、浄化魔法覚えてるじゃん』
「浄化魔法?」
浄化魔法でどうするんだろう。
『浄化魔法は状態異常を治すだけじゃなくて体をきれいに浄化する効果もあるんだよっ』
「あー、そっか。よしそれじゃあ……スキル、浄化魔法ランク10っ」
光が俺を包み込む。
そしてその光が消えると黄色い液体は臭いとともに消え去った。
「おおーっ、消えた消えた」
ついでになんだか気分が悪いのもどこかに消え去ったようだ。
『マスターは魔法効果10倍のスキルがあるからマスターの浄化魔法は特別なんだよ。いい? 憶えておいてね』
「ああ、わかったよ。ありがとうなキューン」
『本当にわかってる? マスター』
「ああ、大丈夫だ。よし、それじゃあ先へ進もうか」
俺が意気揚々と歩き出そうとすると、
『マスター、もうおいら戻らなくちゃ』
キューンが悲しそうな顔で俺を見る。
「戻るってどこへだよ?」
『……マスター。邪神バアラをやっつけて。魔物たちを生み出しているのは邪神バアラなんだ。だから邪神バアラを倒せばこっちの世界ももとに戻るはずだよ』
「邪神バアラ……?」
『マスターのお父さんとお義母さんは心配しなくてもおいらがついているから安心していいよ』
「父さん、義母さん……?」
『じゃあマスター、おいらの言ったこと憶えていてねっ』
「あっ、キューンっ。キューン! キューンっ!」
☆ ☆ ☆
「……ちょっと、起きなさいってばっ。サクラっ! 起きなさいって言ってるのよっ!」
「……はっ!?」
気付くと俺はベッドの上。
目の前にはローレルの顔があった。
ほんの少しだけ頬が痛い。
「やっと起きたわね、あんた。いつまで寝てるつもりよっ。もうお昼になるわよっ」
「ローレル……」
「勇者様、丸一日寝ていたのですか?」
「ビアンキ……」
「宿屋の主人が今日の分の宿泊代払ってほしがっていたぞ」
「エライザ……」
ローレルとビアンキとエライザの三人がベッドの横に立っている。
「キューン、キューンってぶつぶつ言ってたけど何あれ、寝言? キモいんだけど」
「キューン? さあ? 俺そんなこと言ってたのか? 全然憶えてない……」
何か懐かしいようなそれでいてとても大切な夢を見ていた気がするがそれがどんな夢だったのかまったく思い出せない。
「まあいいわ。早くギルドに行くわよっ」
「お、おう」
俺はローレルにうながされ支度を済ませると三人のあとを追って部屋を出た。
――夢のことなどはすっかり忘れたまま。
俺はふらふらの状態で宿屋に朝帰りするとそのままベッドに倒れ込む。
昨日の晩からつい今しがたまで酒場でローレルたちとお酒を飲んでいたのだった。
大して強くもないくせにローレルに無理矢理お酒を飲まされたせいもありひどく頭が痛む。
「あ~、今日は依頼はいいや……寝よ」
俺の所持金は残り金貨三枚とかなり懐が寂しいのだが頭痛と睡魔には勝てない。
俺は今日は休日と決め込み死んだように眠りにつくのだった。
☆ ☆ ☆
『マスター起きてっ』
枕もとで可愛らしい声がする。
「んん? なんだ……?」
『おはよう、マスター。おいらのこと覚えてる?』
「え、えーっと……」
目の前には白くて小さなドラゴンのような魔物がいた。
前にも見たことあるような……?
『おいら、キューンだよ』
「あっ、そうか。キューンだったな、悪い悪い」
『マスター、今日は久しぶりにダンジョンに潜ろうよっ』
「ダンジョン? ってなんだっけ?」
聞き覚えがあるような、ないような。
『やだな~、そんなことも忘れちゃったの? ダンジョンっていうのはアイテムや魔物がいっぱい出てくる場所だよ。おいらとマスターもそこで出会ったんじゃない』
「そっか……そういえばそうだった気がするよ」
『じゃあ行こっ。今日はランクZの儚い夢のダンジョンだよっ』
「よし、行こうかっ」
俺はキューンとともに家を出ると家のすぐ近くにあるダンジョンに足を踏み入れた。
ダンジョンの中は壁も地面もぐにゃぐにゃしていて目が回りそうになる。
『マスター、大丈夫?』
「ああ、だいじょぶ、だいじょぶ……」
と言いつつもちょっとだけ気分が悪い。
『あっ、マスター。魔物だよっ』
「おう、任せろっ」
前方から六本脚の大きなバッタのような魔物が現れた。
俺はその魔物に飛びかかると前脚を掴んで壁に投げ飛ばす。
「おりゃあぁっ」
だがバッタのような魔物は空中で羽を広げると壁に激突する前に空中で方向転換し向かってきた。
『ジジジジッ!』
バッタのような魔物は口を開けぶしゅっと黄色い液体を飛ばしてくる。
俺はそれを全身に浴びてしまった。
「うわっ、なんだこれっ?」
べたべたとして気色悪いその黄色い液体はひどく臭う。
「このやろっ。スキル、火炎魔法ランク10っ!」
俺の手から特大の炎の玉が発射された。
飛び出していった炎の玉が当たる直前またしてもバッタのような魔物は空中で向きを変えこれを回避する。
「おい、キューン。ここ本当にランクZのダンジョンかっ? それにしては魔物が強いぞっ」
『マスター、氷結魔法だよっ』
「お、おう」
俺はキューンに指示された通り、
「スキル、氷結魔法ランク10っ!」
と唱えた。
すると一瞬にしてバッタのような魔物が氷に覆われた。
「おおっ、やったぞ……おえっ……」
周りがぐにゃぐにゃだからか、それとも黄色い液体が臭うからかどうも気分が悪い。
吐き気がしてきた。
「このっ……」
俺は力を振り絞り氷漬けになったバッタのような魔物を殴り飛ばしこれを粉砕する。
「ふぅ~……倒したぞ、キューン」
『やったねマスター』
「あれ? レベルが上がらなかったみたいだ。割と強めの魔物だったのになぁ……」
『そんなことよりマスター、ちょっと臭うよ』
鼻を押さえながらキューンが言ってくる。
「あ~、悪い悪い。今拭くから……うっぷ」
俺は不思議な袋の中に手を入れようとして「ん?」腰に不思議な袋がないことに気付いた。
「おかしいな。キューン、俺の不思議な袋知らないか?」
あの中にはタオルやミネラルウォーターが入っているはずなのだが……。
『ううん。おいら知らないよ』
「そうか、まいったなぁ……」
『でも大丈夫だよ。マスター、浄化魔法覚えてるじゃん』
「浄化魔法?」
浄化魔法でどうするんだろう。
『浄化魔法は状態異常を治すだけじゃなくて体をきれいに浄化する効果もあるんだよっ』
「あー、そっか。よしそれじゃあ……スキル、浄化魔法ランク10っ」
光が俺を包み込む。
そしてその光が消えると黄色い液体は臭いとともに消え去った。
「おおーっ、消えた消えた」
ついでになんだか気分が悪いのもどこかに消え去ったようだ。
『マスターは魔法効果10倍のスキルがあるからマスターの浄化魔法は特別なんだよ。いい? 憶えておいてね』
「ああ、わかったよ。ありがとうなキューン」
『本当にわかってる? マスター』
「ああ、大丈夫だ。よし、それじゃあ先へ進もうか」
俺が意気揚々と歩き出そうとすると、
『マスター、もうおいら戻らなくちゃ』
キューンが悲しそうな顔で俺を見る。
「戻るってどこへだよ?」
『……マスター。邪神バアラをやっつけて。魔物たちを生み出しているのは邪神バアラなんだ。だから邪神バアラを倒せばこっちの世界ももとに戻るはずだよ』
「邪神バアラ……?」
『マスターのお父さんとお義母さんは心配しなくてもおいらがついているから安心していいよ』
「父さん、義母さん……?」
『じゃあマスター、おいらの言ったこと憶えていてねっ』
「あっ、キューンっ。キューン! キューンっ!」
☆ ☆ ☆
「……ちょっと、起きなさいってばっ。サクラっ! 起きなさいって言ってるのよっ!」
「……はっ!?」
気付くと俺はベッドの上。
目の前にはローレルの顔があった。
ほんの少しだけ頬が痛い。
「やっと起きたわね、あんた。いつまで寝てるつもりよっ。もうお昼になるわよっ」
「ローレル……」
「勇者様、丸一日寝ていたのですか?」
「ビアンキ……」
「宿屋の主人が今日の分の宿泊代払ってほしがっていたぞ」
「エライザ……」
ローレルとビアンキとエライザの三人がベッドの横に立っている。
「キューン、キューンってぶつぶつ言ってたけど何あれ、寝言? キモいんだけど」
「キューン? さあ? 俺そんなこと言ってたのか? 全然憶えてない……」
何か懐かしいようなそれでいてとても大切な夢を見ていた気がするがそれがどんな夢だったのかまったく思い出せない。
「まあいいわ。早くギルドに行くわよっ」
「お、おう」
俺はローレルにうながされ支度を済ませると三人のあとを追って部屋を出た。
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