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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第338話 襲来

「くっそムカつくわーっ、あのエルフたちっ」
「初めからわたしたちを使い捨てにするつもりでいたとはな」
「まさかアーチーさんまでグルだったなんて……」
ローレルもエライザもビアンキも口々に言う。


俺たちはエルフの村の外れにある牢屋の中に閉じ込められていた。
かなり太い鉄格子によって覆われておりエルフたち曰く今まで脱獄できた者は一人としていない最強の牢屋だということだ。


「武器も全部奪われちゃったし、どうすんのこれっ。よいしょっ……」
「うぐぐぐっ……ふぅ~、これは骨が折れそうだな」
ローレルとエライザが鉄格子を曲げようと力を入れるがかなりしんどそうだ。


「アーチーさん……」
ビアンキが一人ため息をつき意気消沈する中、
「ちょっと、あんたも手伝いなさいよっ」
ローレルが俺をねめつけた。


「ん、ああ」


俺は鉄格子に手をかけると一気に力を込める。
するとぐにゃりと鉄格子が折れ曲がった。


「げっ、マジっ!? あんたどんだけ力あるのよ」
「さすがサクラだな。よし、早速出るとしよう」


ローレルとエライザは俺が折り曲げて出来た鉄格子の隙間からすっと抜け出る。
俺も二人のあとに続いて出た。


「さあ、ビアンキも早くっ。こんなところさっさとおさらばしましょ」
「アーチーさん……」
ビアンキはローレルの声が耳に届いていないのかまだ落ち込んでいる。


「ほら、ビアンキってば」
ローレルがビアンキの手を引っ張り牢屋から出そうとしたその時だった。


ピィィィーッ! ピィィィーッ! ピィィィーッ!


大きな笛の音が鳴った。


「嘘っ、もしかしてバレたっ?」
「いや、どうやら様子がおかしいぞ」


ローレルとエライザが辺りを見回す。
エルフたちは俺たちのことなど見向きもせず叫び声を上げて逃げまどっていた。


「なんだ? 何があったんだ?」
俺も周りを見ていると、
「みなさんっ!」
アーチーさんが牢屋に向かって駆けてきた。


「あっ、あんたねえ~、よくもあたしたちをこんなところに閉じ込めてくれたわねっ!」
「そ、それは本当にすみませんでしたっ。わたし、村のみんなに逆らえなくってみなさんにひどいことを……」
「それよりどうかしたんですか?」
俺はアーチーさんに訊ねる。


「あ、はいっ。実はハウンドドッグにこの村のことがみつかってしまったみたいで、ハウンドドッグの大群が攻めてきたんですっ」
アーチーさんは息を切らしながら続ける。


「若い男のエルフたちが応戦していますがこのままではいずれわたしたちは全滅してしまいますっ」
「だから何っ? まさか今さらあたしたちに助けてくれって言うんじゃないわよね?」
「そ、それは……」
「自業自得だぞ」
「おい、ローレルもエライザもちょっと冷たくないか」


いくら牢屋に閉じ込められたからってエルフたちを見殺しにするっていうのはさすがに寝覚めが悪い気がするのだが。


「じゃああんたは助けるって言うの? こんなひどいことされたのに?」
「まあな」
「ふんっ。どこまでもお人好しな奴め」


俺はビアンキに顔を向けた。
「なあ、ビアンキはどうしたい? あんたもローレルたちと同じ意見か?」
「い、いえ……私はやっぱり見過ごせませんっ」
「ビアンキさん……」


そのビアンキの一言でローレルもエライザも心が決まったようだった。


「もうっ、仕方ないわね……ちょっとアーチー、あたしたちの武器どこにあんのっ」
「えっ、それではわたしたちのために戦ってくれるんですかっ?」
「別にあんたたちのためじゃないわっ。あたしはエルフ秘伝の薬が欲しいだけよっ。それも嘘だとか言ったら許さないからねっ」
「は、はいっ。今度こそ約束は必ず守りますっ。みなさんの武器はこっちです、ついてきてくださいっ」
アーチーさんはそう言うと駆け出していく。
ローレルとビアンキとエライザはアーチーさんについていった。


俺はというともとから武器など持っていないのでみかけたハウンドドッグたちを片っ端から倒していく。




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ハウンドドッグ――鋭い牙と爪を持った魔物。嗅覚に優れ結界を破ることが出来るためエルフの天敵とされている。弱点はない。


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「スキル、電撃魔法ランク10っ!」


「スキル、電撃魔法ランク10っ!」


「スキル、電撃魔法ランク10っ!」


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☆ ☆ ☆




その後俺たち四人の活躍によりハウンドドッグの大群はすべて消滅した。
エルフたちはその様子を見て歓声を上げ、手のひらを返したように俺たちを豪勢な料理とお酒でもてなしてくれた。


村長さんはアーチーさんが約束してくれた通りエルフ族に伝わる秘伝の飲み薬を俺たちにひと瓶くれた。そしてあれだけ村から一歩も出さないと息巻いていたにもかかわらず俺たちをこころよく村の外まで見送ってくれたのだった。




☆ ☆ ☆




「本当にありがとうございました。おかげでわたしたちエルフはまた平穏無事に暮らしていけます」
「いえ、いいんですよ。これも神のお導きだったのでしょうから」
アーチーさんにそう返すとビアンキは天を見上げる。


「わたしたちは非力な存在ですがもしみなさんに何か困ったことがあったら今度はわたしたちが力になりたいと思います」
「そういうことならさあ、秘伝の薬をひと瓶とはいわずもっとくれてもよかったんじゃないの」
ローレルがアーチーさんに口をとがらせて言う。


「す、すみません。秘伝の飲み薬は作るのにとても時間がかかってしまうので今あるものがその一つだけだったんです……」
「ふーん、まあだったらしょうがないけどさ」
ローレルは納得したのかエルフ秘伝の飲み薬を大事そうに自分のバッグにそっとしまった。


「ではみなさん、この度は本当にありがとうございました。わたしはそろそろエルフの村に戻りますね」
「アーチーさんお元気で」
「はい。サクラさんたちもお元気でっ」


アーチーさんは最後に俺を見てにこっと微笑むと手を大きく振りながら森の中に消えていった。

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