最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~
第337話 エルフの村
「エルフの村があるのはあの森の中です」
アーチーさんが指差したのはエルムンドの町からそう離れていない場所にある森だった。
「へー、あんなところにエルフたちが住んでいるんだ~。悪い人間に知られたらまずいじゃん」
「そ、そうですね。人間たちの中にはわたしたちエルフを見世物にしたり奴隷にしたりする人たちもいるって村長から聞いています。だからくれぐれも気をつけるようにって」
「どうしてアーチーさんが一人で人間の町に来ることになったのですか?」
ビアンキがアーチーさんに声をかける。
「わたし村長の娘なんです。だからわたし自らこの役を買って出たんです」
「そうだったのですか。一人で心細かったでしょうね」
「あたしたちに会えてよかったわね」
「まあ、わたしたちに任せておけ」
「は、はい。あ、ありがとうございます……」
歯にものがつまったような受け答えをするアーチーさん。
何か言いたいことでもあるのだろうか……。
☆ ☆ ☆
森の中に足を踏み入れしばらく歩くと先頭のアーチーさんが立ち止まった。
「どうしたの?」
「ここに結界があるんです」
「何も見えませんけど……」
俺が言うと、
「バカなのあんた? 人間には見えない結界ってアーチーが言ってたでしょうが」
ローレルにバカ呼ばわりされてしまう。
「ふふっ……あ、すみません笑ったりして……」
「いや、全然いいですけど……」
本当は少し恥ずかしいが。
アーチーさんは目を閉じて両手を胸の前でそろえると、
「スキル、精霊魔法ランク10っ」
と唱えた。
するとアーチーさんの体から半透明の羽衣をまとったような半裸の女性らしき物体がすぅーっと抜け出てきた。
おそらくこれが精霊なのだろう。
その精霊はくるくるとアーチーさんの頭上を回ったあとアーチーさんの前に下りてきた。
そして精霊が「ふぅ~」っと何もない宙に向かって息を吹く。
その直後ぴしぴしっと宙にひびが入った。
精霊がアーチーさんの体の中にまたすぅーっと入っていく。
俺たちはその様子をただ固唾を飲んで見守っていたところ、
「……ここからエルフの村に入れます」
目を開けたアーチーさんは割れた裂け目に体を滑らせるようにして消えていった。
「わ~、すごっ」
「消えた……」
ローレルと俺は思わず声をもらす。
「私たちも行きましょう」
「ああ、そうだな」
「うんっ」
「わかった」
ビアンキを先頭にエライザ、ローレル、俺と裂け目に体を滑らせて中に入っていった。
☆ ☆ ☆
「うわ~、何これ……」
ローレルがそう口にするのも無理はない。
結界の中はほのぼのとしたエルフの村が広がっていたのだった。
目の錯覚か外から見た森の広さよりもずっと広く感じる。
「まずはわたしの父である村長の家に案内しますね」
アーチーさんはそう言うと村の中を歩き出した。
俺たちはそのあとをついていく。
エルフの村は田畑の面積が大きく、田んぼには稲が植えられていて畑にはいろいろな野菜が育っていた。
鶏や牛やヤギなども飼っているようだ。
非常にのどかな光景だがエルフたちの反応はというとのどかとは遠くかけ離れていた。
俺たちに怯えるようにしている者や俺たちに敵意の目を向けている者、俺たちの姿を見せまいと子どもを抱き寄せるものなど歓迎ムードでないことだけは明らかだった。
「何よ、助けに来てあげたっていうのに失礼しちゃうわね」
「仕方ないさ。人間は危険な存在だと教えられているのだろうからな」
「残念ですね、勇者様」
「うん、そうだな」
「すみません、みなさん。気を悪くさせてしまって……」
「いえ、気にしないでください」
と俺は返した。
こうなるだろうことはなんとなく察しがついていた。
「ここが村長の家です」
アーチーさんが一軒の家の前で立ち止まると手を向ける。
「さあ、どうぞ。入ってください」
アーチーさんにうながされ俺たちは村長さんの家へと入らせてもらった。
すると、
「アーチーっ、無事だったかっ」
中にいたひげを生やした男性のエルフが立ち上がってアーチーさんに抱きついた。
「ちょ、ちょっとお父さんっ、やめてよ、恥ずかしいってば」
「アーチー、よくぞ無事に戻ってきてくれたっ。人間にひどいことされなかったかっ?」
「うん、大丈夫だから。それよりこの方たちがわたしたちのお願いをこころよく引き受けてくださった冒険者さんたちよ」
「ほう……」
村長さんは俺たちを薄目で眺める。
そしてアーチーさんに顔を向けた。
「アーチー。この者たちのランクは?」
「A級よ」
「A級っ? とてもそうは見えないが……アーチー。男の冒険者に声をかけろと言ったはずだぞ。それなのになんでよりによって女ばかりの冒険者なんかに。お前の男嫌いはまだ直っていなかったのか」
「女では不満か?」
身長百九十センチはあろうかというエライザが村長さんの前に一歩出ると冷たい目で見下ろす。
「あの、村長さん。俺は一応男ですけど」
言うと村長さんは俺を一瞥してから深いため息をついた。
「ふ~……仕方ないか。この者たちにやってもらおう」
「何その言い方っ。あたしたちは別に引き受けてやんなくてもいいんだからねっ」
ローレルが憤慨する。
「まったくだ。村長がその態度では助ける気も失せるな」
エライザも気分を害したようで今にも帰らんばかりだ。
「す、すみませんっ。父の態度はわたしが謝りますからっ。ほら、お父さんも謝ってっ」
「アーチーやめなさい。人間に頭を下げる必要などない」
村長さんのその言葉に、
「むっかーっ。もうあったまきたわっ。ビアンキ、エライザ帰りましょっ!」
ローレルはビアンキとエライザの手を取った。
エライザも「ああ、帰ろう」と帰る気満々で、ビアンキは「勇者様……」と困り顔で俺を見てくる。
この村長さんといいローレルやエライザといい、この様子ではもうまともな話し合いは出来ないかな。
そう思い俺もきびすを返そうとした時だった。
「エルフの村を見た人間をおいそれと帰すわけにはいかん。皆の衆、出てこいっ!」
村長さんの掛け声を合図にして外から男性のエルフたちが村長の家の中にどっと押し寄せてきた。
みんな槍を持って俺たちを取り囲むようにして槍を突き出してきている。
「ちょっ、なんなのよっ」
「貴様らっ」
「ど、どういうことですかっ」
「おいおい、なんだよ一体……?」
エルフは生き物は殺さない主義なんじゃなかったのか。
殺意をむき出しにしているぞ。
「お前たちには一生牢屋に入っていてもらおうか」
「はぁっ? どういうことよっ」
とローレルがわめく。
「もとよりここに連れて来た冒険者たちにはそうするつもりだったんだよ。エルフの村の秘密を外部にもらさないようにな」
「え、ど、どういうことなのですかっ? アーチーさんっ」
ビアンキがアーチーさんに言葉を投げかけた。
「す、すみませんみなさん……」
アーチーさんもそのことは知っていたようでそう返事をすると奥の部屋へと行ってしまった。
「そ、そんなっ……」
ショックを受けうずくまるビアンキ。
俺一人なら槍に刺されてもどうってことないがうなだれたビアンキがいる手前無茶は出来ない。
もしかしたらローレルとエライザも俺と同じことを考えていたのかもしれない。
結局俺たちはこのあとエルフの村の厳重な牢屋へと連れていかれたのだった。
アーチーさんが指差したのはエルムンドの町からそう離れていない場所にある森だった。
「へー、あんなところにエルフたちが住んでいるんだ~。悪い人間に知られたらまずいじゃん」
「そ、そうですね。人間たちの中にはわたしたちエルフを見世物にしたり奴隷にしたりする人たちもいるって村長から聞いています。だからくれぐれも気をつけるようにって」
「どうしてアーチーさんが一人で人間の町に来ることになったのですか?」
ビアンキがアーチーさんに声をかける。
「わたし村長の娘なんです。だからわたし自らこの役を買って出たんです」
「そうだったのですか。一人で心細かったでしょうね」
「あたしたちに会えてよかったわね」
「まあ、わたしたちに任せておけ」
「は、はい。あ、ありがとうございます……」
歯にものがつまったような受け答えをするアーチーさん。
何か言いたいことでもあるのだろうか……。
☆ ☆ ☆
森の中に足を踏み入れしばらく歩くと先頭のアーチーさんが立ち止まった。
「どうしたの?」
「ここに結界があるんです」
「何も見えませんけど……」
俺が言うと、
「バカなのあんた? 人間には見えない結界ってアーチーが言ってたでしょうが」
ローレルにバカ呼ばわりされてしまう。
「ふふっ……あ、すみません笑ったりして……」
「いや、全然いいですけど……」
本当は少し恥ずかしいが。
アーチーさんは目を閉じて両手を胸の前でそろえると、
「スキル、精霊魔法ランク10っ」
と唱えた。
するとアーチーさんの体から半透明の羽衣をまとったような半裸の女性らしき物体がすぅーっと抜け出てきた。
おそらくこれが精霊なのだろう。
その精霊はくるくるとアーチーさんの頭上を回ったあとアーチーさんの前に下りてきた。
そして精霊が「ふぅ~」っと何もない宙に向かって息を吹く。
その直後ぴしぴしっと宙にひびが入った。
精霊がアーチーさんの体の中にまたすぅーっと入っていく。
俺たちはその様子をただ固唾を飲んで見守っていたところ、
「……ここからエルフの村に入れます」
目を開けたアーチーさんは割れた裂け目に体を滑らせるようにして消えていった。
「わ~、すごっ」
「消えた……」
ローレルと俺は思わず声をもらす。
「私たちも行きましょう」
「ああ、そうだな」
「うんっ」
「わかった」
ビアンキを先頭にエライザ、ローレル、俺と裂け目に体を滑らせて中に入っていった。
☆ ☆ ☆
「うわ~、何これ……」
ローレルがそう口にするのも無理はない。
結界の中はほのぼのとしたエルフの村が広がっていたのだった。
目の錯覚か外から見た森の広さよりもずっと広く感じる。
「まずはわたしの父である村長の家に案内しますね」
アーチーさんはそう言うと村の中を歩き出した。
俺たちはそのあとをついていく。
エルフの村は田畑の面積が大きく、田んぼには稲が植えられていて畑にはいろいろな野菜が育っていた。
鶏や牛やヤギなども飼っているようだ。
非常にのどかな光景だがエルフたちの反応はというとのどかとは遠くかけ離れていた。
俺たちに怯えるようにしている者や俺たちに敵意の目を向けている者、俺たちの姿を見せまいと子どもを抱き寄せるものなど歓迎ムードでないことだけは明らかだった。
「何よ、助けに来てあげたっていうのに失礼しちゃうわね」
「仕方ないさ。人間は危険な存在だと教えられているのだろうからな」
「残念ですね、勇者様」
「うん、そうだな」
「すみません、みなさん。気を悪くさせてしまって……」
「いえ、気にしないでください」
と俺は返した。
こうなるだろうことはなんとなく察しがついていた。
「ここが村長の家です」
アーチーさんが一軒の家の前で立ち止まると手を向ける。
「さあ、どうぞ。入ってください」
アーチーさんにうながされ俺たちは村長さんの家へと入らせてもらった。
すると、
「アーチーっ、無事だったかっ」
中にいたひげを生やした男性のエルフが立ち上がってアーチーさんに抱きついた。
「ちょ、ちょっとお父さんっ、やめてよ、恥ずかしいってば」
「アーチー、よくぞ無事に戻ってきてくれたっ。人間にひどいことされなかったかっ?」
「うん、大丈夫だから。それよりこの方たちがわたしたちのお願いをこころよく引き受けてくださった冒険者さんたちよ」
「ほう……」
村長さんは俺たちを薄目で眺める。
そしてアーチーさんに顔を向けた。
「アーチー。この者たちのランクは?」
「A級よ」
「A級っ? とてもそうは見えないが……アーチー。男の冒険者に声をかけろと言ったはずだぞ。それなのになんでよりによって女ばかりの冒険者なんかに。お前の男嫌いはまだ直っていなかったのか」
「女では不満か?」
身長百九十センチはあろうかというエライザが村長さんの前に一歩出ると冷たい目で見下ろす。
「あの、村長さん。俺は一応男ですけど」
言うと村長さんは俺を一瞥してから深いため息をついた。
「ふ~……仕方ないか。この者たちにやってもらおう」
「何その言い方っ。あたしたちは別に引き受けてやんなくてもいいんだからねっ」
ローレルが憤慨する。
「まったくだ。村長がその態度では助ける気も失せるな」
エライザも気分を害したようで今にも帰らんばかりだ。
「す、すみませんっ。父の態度はわたしが謝りますからっ。ほら、お父さんも謝ってっ」
「アーチーやめなさい。人間に頭を下げる必要などない」
村長さんのその言葉に、
「むっかーっ。もうあったまきたわっ。ビアンキ、エライザ帰りましょっ!」
ローレルはビアンキとエライザの手を取った。
エライザも「ああ、帰ろう」と帰る気満々で、ビアンキは「勇者様……」と困り顔で俺を見てくる。
この村長さんといいローレルやエライザといい、この様子ではもうまともな話し合いは出来ないかな。
そう思い俺もきびすを返そうとした時だった。
「エルフの村を見た人間をおいそれと帰すわけにはいかん。皆の衆、出てこいっ!」
村長さんの掛け声を合図にして外から男性のエルフたちが村長の家の中にどっと押し寄せてきた。
みんな槍を持って俺たちを取り囲むようにして槍を突き出してきている。
「ちょっ、なんなのよっ」
「貴様らっ」
「ど、どういうことですかっ」
「おいおい、なんだよ一体……?」
エルフは生き物は殺さない主義なんじゃなかったのか。
殺意をむき出しにしているぞ。
「お前たちには一生牢屋に入っていてもらおうか」
「はぁっ? どういうことよっ」
とローレルがわめく。
「もとよりここに連れて来た冒険者たちにはそうするつもりだったんだよ。エルフの村の秘密を外部にもらさないようにな」
「え、ど、どういうことなのですかっ? アーチーさんっ」
ビアンキがアーチーさんに言葉を投げかけた。
「す、すみませんみなさん……」
アーチーさんもそのことは知っていたようでそう返事をすると奥の部屋へと行ってしまった。
「そ、そんなっ……」
ショックを受けうずくまるビアンキ。
俺一人なら槍に刺されてもどうってことないがうなだれたビアンキがいる手前無茶は出来ない。
もしかしたらローレルとエライザも俺と同じことを考えていたのかもしれない。
結局俺たちはこのあとエルフの村の厳重な牢屋へと連れていかれたのだった。
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