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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第336話 エルフ

人気のない場所に移動した俺たちはエルフの女性に詳しい話を聞く。


「わたしはアーチーといいます。もうみなさんお気づきのようにエルフ族です」
そう言うとアーチーさんはかぶっていたフードを脱いで顔をしっかりと見せてくれた。
さっき一瞬見たがやはりきれいな顔立ちをしている。


そしてエライザの言っていた通り耳がぴんととがっていた。
これがエルフの特徴なのか……。


「それでアーチーさんはなんでこんなところに? エルフは人間とはかかわりを持たないって聞きましたけど」
俺は訊ねる。


「それはどうしても冒険者さんにお願いしたいことがあって……実はわたしたちエルフはこの町のすぐそばにある森の中に住んでいるんですけれどその森に最近になってハウンドドッグという魔物が現れるようになってしまって」
「えっ、何、エルフってそんな近くに住んでたのっ? よくバレないわね」
「え、ええ。わたしたちは精霊魔法が使えるので精霊たちに結界を張ってもらっているんです。だから人間たちには気付かれません」
「へー、そうだったんだ~」
とローレル。


「でもハウンドドッグは結界があってもわたしたちエルフのことをかぎつけることが出来るのでいつエルフの村がみつかるか気が気じゃなくて……」
アーチーさんは顔を曇らせた。


「精霊魔法が使えるのなら自分たちで魔物を倒せないのか?」
エライザの問いに、
「わたしたちエルフ族は生き物はたとえ魔物であっても殺してはいけないという決まりがあるんです。だから人間の冒険者さんにお願いしようということになりましてエルフ族を代表してわたしが一人でここまでやってきたというわけです」
アーチーさんは答える。


「そうだったのですか。それは大変ですね……勇者様、ここはわたしたちが助けて差し上げましょう」
可哀想だと思ったのか、それとも勇者としての俺の株が上がるとでも思ったのか、ビアンキはギルドの規則も忘れて言い出した。


「え~、本気なの? ビアンキ~」
「ローレルは嫌なの?」
「嫌っていうかさ、だってお金持ってないんでしょ~、あんた?」
ローレルはアーチーさんに訊きにくいことを平然と訊く。


「は、はい……すみません」
申し訳なさそうに答えるアーチーさん。


「ほら~」
「あ、で、でもその代わりといってはなんですがもし森にひそむハウンドドッグたちを退治していただけたらエルフ族に伝わる秘伝の飲み薬を差し上げますっ」
「秘伝の飲み薬?」
「は、はい。どんな病気も治すことが出来る薬です」
「ふ~ん、どんな病気でもね~……」


ローレルが悪い顔をしている。
何かよからぬことを企んでいるんじゃないだろうな。


「仕方ないわね、わかったわっ。その依頼、あたしたちが直々に受けてあげようじゃないのっ」
さっきまでの態度が嘘のようにローレルは声を弾ませた。


「いいんですかっ?」
「もちろんよ。あたしたちは人助けが好きなのよっ。ラッキーだったわね、声をかけたのがあたしたちで」
「おい、ローレル。どういうつもりだ?」
俺は小声でローレルにささやく。
こいつがお金にならないことをやるわけがないのだが。


「何が?」
「今回の報酬はお金じゃないぞ」
「わかってるわよ。でもどんな病気も治せる薬なんて不治の病で困っているどっかの王族とか貴族に見せればいくらだってお金を払うわよ」


やっぱりお金が目当てだったか。


「エライザもそれでいい?」
ビアンキがエライザを見上げた。


「ああ。わたしは別に構わないぞ」
「というわけですので私たちはアーチーさん、あなたに協力しようと思います」
「ほ、本当ですかっ。ありがとうございますっ、みなさん」
「私はビアンキといいます。そして……」
「ローレルよ」
「エライザだ」
「佐倉です、よろしく」


こうして自己紹介を済ませた俺たちはアーチーさんに連れられてエルムンドの町を出た。




☆ ☆ ☆




「なあ、アーチー。ところでなんでわたしたちに声をかけたんだ?」
エルフの村があるという森へといく途中エライザが前を歩くアーチーさんに訊ねた。


「えっ?」
「冒険者ならわたしたち以外にも沢山いただろ。それにどうせ頼むならA級の冒険者よりS級の冒険者の方が確実じゃないのか」
「そ、それは……」
答えづらい質問だったのだろうかアーチーさんは言葉に詰まる。


「いやねエライザ。そんなのあたしたちが優しそうに見えたからに決まってるでしょ。ほかの冒険者たちなんて男臭くて声かける気にもなれないわよ。ねっ、そうでしょアーチー?」
「え、そ、そうですっ。すごくみなさん優しそうに見えたのでっ」


アーチーさんはそう答えたが苦笑いをしているように見えるのは気のせいだろうか。

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