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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第333話 見知った顔

「さっきのメイドはエルシーというのですが実はエルシーには恋人がいるんです」
ドゴールさんは神妙な面持ちで話を切り出す。


「そうですか」
「まあ、恋人くらいいたっておかしくはないんじゃないの」
お菓子をぼりぼり食べ散らかしながらローレルが口を開いた。


「それはそうなのですがその相手が問題で……エルシーの恋人はエッジャといってイバラマ家の執事なんです」
「まあ、それは……」
ビアンキが言葉をなくす。


「ドゴール家とイバラマ家はさっきも言いましたようにいがみ合っています。というよりイバラマ家の当主であるイバラマさんがうちを目の敵にしているのですが……そのせいでエルシーとエッジャは結婚できないんです。それどころかエッジャはイバラマさんから別れろと言われているようでして……」
「そうでしたか……それは大変ですね」
「そう? 二人とも仕事を辞めて結婚すればいいだけじゃん」
ローレルは指をなめつつ適当なことをほざいた。


「おい、ローレル。新しい仕事をみつけるのは結構大変なんじゃないのか」
この国の景気不景気などはわからないからなんとも言えないのだが。


「だったら冒険者になればいいじゃん」
「俺たちは冒険者で食べていけるけどさ、全員が全員そうできるとは限らないだろ」
俺がそう返すとローレルはぷいっとそっぽを向いてしまう。
なんだその態度は。


「ですからなんとしてでもあなた方にはイバラマ家の代表者に勝ってもらって長年の因縁を解消するとともにエルシーとエッジャの結婚をイバラマさんに認めてもらいたいんです。どうかよろしくお願いします」
ドゴールさんが立ち上がり頭を下げた。


「わかりました。私たちに任せてください」
ビアンキも立ち上がり自分の胸に手を置く。


「必ずエルシーさんとエッジャさんが結婚できるように相手方に勝利したいと思います」
「おお、ありがとうございます」


握手を交わすビアンキとドゴールさんを退屈そうに眺めるローレルだった。




☆ ☆ ☆




二日後、イバラマさんから一方的な通達が来て勝負は一対一の決闘方式となったとの連絡を受けた俺たちは指定された時刻に指定された場所へと向かっていた。


その道すがら、
「こっちの代表者は私が務めよう」
エライザが言い出す。


「別にあたしはそれで構わないわよ」
「ええ、私も」
「ああ、俺もエライザでいいと思うぞ」


こうしてドゴール家の代表者はあっさりとエライザに決まった。




☆ ☆ ☆




決闘の場所にたどり着くとそこにはすでにドゴールさんがいた。
さらには距離をとって見知らぬ男性が二人立っていた。
一人はドゴールさんと同い年くらいでもう一人は三十歳くらいだろうか剣と鎧を身につけている。
おそらくあれがイバラマさんとイバラマ家の代表者なのだろう。


すると、
「バスケスっ!」
「エライザっ!?」
エライザとイバラマ家の代表者と思しき男性がほぼ同時に口を開いた。
二人とも驚きの表情を浮かべている。


「なに、エライザ。あいつ知ってるの?」
ローレルがエライザを見上げた。


「あ、ああ。あいつはバスケスといってわたしが傭兵だった頃のチームリーダーだった男だ」
「え、それってエライザより弱いくせにリーダーだったって奴? そんでエライザをチームから追い出したっていう?」
「そうだ。わたしが作戦の異議を唱えたら女だからと馬鹿にして、挙句雇い主にわたしを解雇するよう仕向けた張本人だ」


エライザににらまれて目を泳がせるバスケス。
なんでこんなところにエライザがいるんだ、とでも思っているのかもしれない。


「おい、バスケス。まさか貴様がそっちの代表者だったとはなっ」
エライザが声を飛ばす。


「貴様には借りがあるからな。この場で返してもらおうかっ」
剣を抜くエライザ。


「ざ、ざけんなっ。オレは女と戦うつもりはこれっぽっちもないぜっ。お、女相手に本気が出せるかってんだっ」
そう言うとバスケスは、
「イバラマさん。悪ぃが今回の話はなしだぜ」
イバラマさんに顔を向けた。


「貴様はそんなフェミニストではないだろう。わたしの方が強いからそんなつまらん言い訳をするのかっ」
「う、うるせぇ黙れっ! 命拾いしたのはお前の方だぞ、エライザっ」
バスケスが顔を紅潮させて反論する。


「だったらこっちの代表者が女じゃなく男だったら貴様は逃げずに戦うんだな?」
「と、当然だぜっ!」


するとエライザは俺に向き直った。


「だそうだ。お前の出番だぞ、サクラ」


「え……俺?」

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