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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第330話 サイチョウ再び

エルムンドの町にたどり着いたのは夜遅く。
さすがにこんな時間ではビアンキたちもいないだろうと思いつつも俺とローレルは一応冒険者ギルドに向かった。
すると冒険者ギルドの前でビアンキとエライザが立って待っていてくれていた。


「ビアンキっ。エライザっ」
ローレルは二人の姿を見た途端駆け出していく。
そして二人に抱きついた。


「二人とも待っててくれたのっ? ありがと~っ」
「あらあら、ローレルったら」
「無事だったようだな、ローレル」
三人が和やかムードの中、俺も追いつく。


「サクラ、エンペラードラゴンのうろこは手に入ったのか?」
「ああ、もちろん」
「お疲れ様でした、勇者様」
「ああ。そっちこそキングジャッカルの牙は手に入れたのか?」
「当たり前だ。ほら見ろ」
エライザが持っていた袋の中から一本の鋭い牙を取り出した。




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キングジャッカルの牙――生成魔法で武器や防具を作る際の素材として用いられる。


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「へー、本当だな」
「ビアンキ、エライザ、早く報酬貰って旅館に行こっ」
ローレルはそう言うとビアンキとエライザの腕をとって冒険者ギルドの中に入っていく。
俺も三人のあとをついて冒険者ギルドの中に入っていった。




☆ ☆ ☆




「皆様お疲れ様でした。それではこちらが報酬の金貨二十枚になります。ご確認ください」
「はーい」
受付嬢から差し出された金貨を目の前で数えだすローレル。
それを五枚ずつに分けて俺たちに配っていく。


「はい、ローレル。はいエライザ。でこれがあんたの分ね」
「はいよ」
俺は五枚の金貨を受け取ると不思議な袋の中にしまった。


ローレルのことだから自分の取り分を多くするんじゃないかと少し疑っていたが杞憂だったか。




「あれ? みんなどこ行くんだ? 新しい依頼探さないのか?」
エライザたち三人がギルドを出ていこうとするので俺は彼女らの背中に声をかける。


「ああ。最近依頼を受け続けで休んでいなかったからな。明日と明後日は休むことにしたんだ」
「なんだ、そうだったのか」
「申し訳ありません勇者様」
「いや、それは別にいいけどさ」
俺が訊く前に教えてくれたっていいんじゃないのか。


「あんたの顔を二日間見なくていいと思うとせいせいするわっ」
ローレルが意地悪い言葉を吐き捨てるとあっかんべーをした。
子どもか。


「では勇者様。おやすみなさいませ」
「ああ、おやすみ」


ふーん……明日、明後日は休みか。
何するかなぁ……。


俺はぼんやりと考えながら宿屋へと向かうのだった。




☆ ☆ ☆




翌日。
俺はエルムンドの町を適当にぶらついていた。


「別にやることもないしなぁ。俺一人でも依頼受けてようかなぁ……」
などとつぶやきながら歩いていると、


「おいサクラっ!」


遠くの方から俺の名前を呼ぶ声がした。
俺は声のした方を目を凝らしてよく見てみる。


するとそこには見覚えのある男の姿があった。


「あいつはたしか……サイチョウ?」


サイチョウとはベスパの町で出会った男だ。
S級の冒険者であるエレナさんたちのことが好きすぎて俺に紹介してくれとしつこくつきまとってきた過去がある。


「あんた、こんなところにいやがったのかっ!」
俺のところに叫びながら駆けてくるサイチョウ。


今度はなんなんだ一体……?


「お前サイチョウだったよな? なんだよ大声出して。びっくりするだろ」
「あんたが勝手にベスパの町からいなくなるからだろうがっ」
サイチョウは周りの通行人のことなどお構いなしに声を張り上げる。


「は?」
「あんたおれに約束したよなっ。エレナさんとミコトさんにおれのこと紹介してくれるって。だからおれはずっと待ってたんだぞ。なのにいつの間にかあんたはベスパの町からいなくなってるんだもんなっ。冗談じゃないぜっ、まったく」
「あー、そっか。それは悪かったな。俺にもいろいろ事情があったんだよ」
ビアンキたちと仲間になっていろんな依頼を引き受けたりしていたからな。


「事情って、おれは――」
「あれ~? あんたこんなとこで何してんの?」
サイチョウに腕を掴まれながら迫られていると背後から声をかけられた。
振り返るとそこにいたのはローレルとビアンキとエライザだった。


「おー、ローレル」
「あんた道の真ん中で何やってんの? 邪魔よ」
「いや、わかってるけどこいつが放してくれないんだよ」
俺はサイチョウに顔を向ける。


「誰そいつ? あんたの知り合い?」
「知り合いって訊かれれば一応知り合いだと思う――」
俺が話していると、
「おおーっ! なんて美しい人たちなんだっ!」
サイチョウが俺をどかして三人の前に立った。


そしてビアンキとエライザの手を取る。
「こんなきれいな女性たち見たことないぜっ。おいサクラ、この人たちあんたの知り合いなのかっ?」
サイチョウが目を輝かせながら訊ねてくる。


「ああ、知り合いっていうか冒険者仲間だよ。同じチームなんだ」
「なんだってっ! サクラ、あんた、お、おれをベスパの町に置き去りにしておきながら自分はこんなきれいな女性たちと楽しくやってたっていうのかっ! そりゃないぜっ!」
サイチョウは俺の肩に両手を置いてがくがくと揺すった。


そうしたかと思うと次の瞬間にはまたもビアンキとエライザに振り返り、二人の手を取って、
「おれはサイチョウ・リョウギシャ。シギシャサ村出身で十七歳のB級冒険者だ。いずれはS級になる男だっ」
と自己紹介を始める。


「ねえ、こいつなんなの? なんかムカつくんだけど」
一人蚊帳の外にされていたローレルがサイチョウを指差しながら俺を不満たらたらな目で見てきた。


「あの、勇者様……?」
「おいサクラ、こいつ斬ってもいいか?」
ビアンキは戸惑いの表情を、エライザは憮然とした表情を浮かべている。


「いや、多分悪い奴ではないんだ。斬らないでやってくれ」


「なあ、サクラ。この女性たちを是非このおれに紹介してくれっ」
周りが見えていないのか一人突っ走るサイチョウ。


「は? お前この前はエレナさんたちを紹介してくれって言ってただろう」
「それはもういいっ、忘れてくれっ。エレナさんたちとはいつ会えるかわからないんだからなっ。それより今は目の前の女性たちだっ。頼む、紹介してくれっ、この通りだっ!」
サイチョウは道の真ん中で土下座をした。


こいつ、エレナさんが好きだって言ってたけどただの女好きなだけなんじゃないのか……?

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